伝統的(因習的)微分幾何の記法は、不合理の塊です。不合理な記法をやめられないのは、確かに便利だからです。xとyが多様体M上の2つの局所座標だとして、xからyへの座標変換のヤコビ行列(の成分)は、 と書きます。一方、f:M→N を多様体のあいだの(なめら…
MとNはなめらかな多様体で、なめらかな写像 f:M→N があるとします。fから、fと同じ方向に誘導された写像や関手を f* 、fと逆方向に誘導された写像や関手を f* と書く習慣があります。しかし、“誘導された写像や関手”(あるいは“構成された写像や関手”)は色…
思い付いた事があるんですが、ほっておくと忘れそうなので、ここに書いておきます。指標の一部をパラメータにするという行為が、いったい何をしているのだろう? この行為を合理的に説明する枠組みは何だろう? ということがずっと分からなくてモヤモヤして…
「モナドFのクライスリ圏は、F-自由代数の圏とみなせる」と言われます。おおよその状況は次のようです Fのクライスリ圏 F-自由代数の圏 ⊆ F-代数の圏 = Fのアイレンベルク/ムーア圏 この事実に対する正確な説明や実例をあまり見ないので(僕が目にしてない…
専門用語においても、同義語・類義語、表記のゆれなどは相当にあります。「こんな言い方もある、あんな言い方もある」と列挙していると、ときに長大なリストになってしまうことがあります。列挙する代わりに正規表現を使うとコンパクトに記述できます。正規…
構造、例えばモノイドを書き表すとき、どう書くか? 省略や記号の乱用も含めたルールをどうするか? 毎回悩みます。ある程度の方針を決めたいと思います。内容: 素材だけの指標 説明的な名前 インスタンスの書き方 追記 (翌日): もっとバリエーション さら…
過去の記事「リー微分は共変微分か? -- 代数的に考えれば」において、「リー微分は共変微分である」という間違ったことを書いていました。「間違った! リー微分は共変微分じゃない」に、間違いだと気付いた経緯が書いてありますが、その経緯はすごい回り道…
「リー微分は共変微分か? -- 代数的に考えれば」で、「リー微分も共変微分の一種だ」と書いたのですが間違いでした。リー微分は共変微分じゃないです。ごめんなさい。過去記事を読み直していてミスを見つけた、とかではなくて、別な計算をしているときに、…
「訂正予告: バンドルの圏とグロタンディーク平坦化」で予告したように、記事「ベクトルバンドル射の逆写像: 記法の整理をかねて」を修正しました。修正箇所は、次の1行だけです。 修正前: インデックス付き圏 VectBdl[-] のグロタンディーク平坦化圏が V…
昨日の記事「ベクトルバンドル射の逆写像: 記法の整理をかねて」で、記法を整理すると言いながら、未整理、あるいは曖昧なところがありました。当該記事に修正を入れるか、別記事(この記事ではない)で訂正します。なにがマズイかと言うと; ナントカバン…
一昨日の記事「接ベクトル場の定義:補遺」の続きをちょっと書こうかと思ったら、記号の説明がけっこうめんどくさいことに気づきました。とりあえず、後で参照できるように記法を整理しておくことにします。記法は、過去の記事(↓)とできるだけ(完全に、では…
多様体上の一点での接ベクトル、あるいは接ベクトル場の定義は何種類もあります。もちろん、どれも同値なので、どれをプライマリーな定義に選ぶかは趣味の問題になります。僕は微分作用素としての接ベクトル/接ベクトル場の定義をプライマリーにします。こ…
だいぶ前から、はてなブログのTeX数式サポートはMathJaxを採用しています(昔はサーバー側で画像にレンダリングしていました)。ブラウザ側JavaScriptで数式レンダリングを実行するので、ページ表示が重くなってしまいますが、これは致し方ありません。はて…
ん? あれ? ひょっとして … 一昨日書いた記事「なぜにテンソル記法は意味不明なのか」を読み直していて、気付いたことがあります。テンソル記法の「意味不明問題」は、解決できるようです。思いついたときに書いておかないと、二度と書かない(書けない)こ…
先日、「テンソル記法の決定版は(たぶん)これだ!」という記事を書きました。テンソル記法/テンソル計算に関しては、過去にも色々書いています。 2007年 テンソル:定義とか周辺の話とかナニやら 2007年 テンソル:なぜ難しいのか 2008年 伝統的テンソル…