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参照用 記事

グラフ理論の基本概念 誤用例はなしっ

昨日のエントリーにて:

批判めいた事ばかり書いても建設的じゃないので、グラフ理論の基本概念/基本用語の解説を織り交ぜます(目的を二つにするのがロクな結果を生まないことは僕も知っているのだけどさ)。

実際、ロクな結果を生まなかった。2つの話題が交互に入れ替わるので、長くて読みにくい。スッパリと2つのエントリーに分ければよかったなぁ。「…は僕も知っている」 -- なら、やるなよ>自分 (自分にグチ愚痴)

んで今日は、田辺さんのコメントに答えながら、思いついたことをダラダラ書いてみます。


こだわり力に感服します。
原文読みましたが、3分と持ちませんでした。
#人生の1分1秒でも自分の時間として使いたい、駄文は却下的な。。

「こだわり」ってのはVOODOOへのこだわりのことなのかな? 僕は、“原文”のアレみたいなのは好きなんですよ。だから、別に苦痛なく読めます。本気で理解(解釈)しようとするとエネルギーが要ります(例:objectさん)が、今回のアレは、書いた人が単に「言ってみたかっただけ」ですから(つまり、VOODOOとしても二流以下です)。


数学(下手の横好きな)私もトポロジーとグラフは
別物と考えていましたが、
http://blog.tri-b.tv/topo/index.php?itemid=9
でもグラフとトポロジーとを同じ様に扱われています。
そんなもんなんでしょうか。

トポロジーグラフ理論はかなり違いますよ。定義の上では、グラフは1次元複体なので、トポロジーの結果はすべて使えます。が、一般的図形(位相空間)を扱うトポロジーでは汲み取れないような1次元複体特有の性質を調べるのがグラフ理論でしょう。

一人だけグラフ理論を専門的にやっていた知り合いがいまして、彼は次のようなことを言ってました; コホモロジーとかしゃれた道具使ってもトリビアルなことしか出ない。絵をイッパイ描いて、組み合わせ的な直感を使って、勘で予想を立てる。論文になっちゃうと、数学的帰納法しか使ってなかったりするなー。

グラフ理論は、道具も手法も目的もトポロジーとは違うような印象を受けました。そもそも、トポロジーとは言っても、単体複体の組み合わせ的議論と偏微分方程式論をバキバキ使う議論では、いいかげんかけ離れてますしね。


下手な想像でいうのですが
指数を実数に拡張すると同様に
点と線を拡張すると面になるというような拡張が
グラフ理論でも考えられるのでしょうか。

高次元複体ということではなくて、グラフ理論内部での拡張ですよね。それだと、ハイパーグラフがありますね。

無向単純(undirected simple)のケースで説明します; 普通のグラフは、頂点集合Vと辺集合Eで定義されますが、AとBを結ぶ辺eは、{A, B}という2元(ときに1元に退化する)の“Vの部分集合”です。つまり、e∈Pow(V)(Powはベキ集合)、E⊆Pow(V)。辺eをVの部分集合と考えたとき、その基数は2(または2以下)に制限しますが、この制限をはずすと、無向単純なハイパーグラフになります。(定義の字面は、やっぱり高次元複体になっちゃうなー(苦笑))

ハイパーグラフ理論がはなばなしく発展したとか応用されているという話をあまり聞かないので(僕が知らないだけかもしれないが)、普通の定義のほうが深くて豊かな構造を持つのかも知れません。

ところで、圏はグラフの上にモノイド演算を載せたものなのですが、高次圏(いまだ定義も確定してない)は、だいたい高次グラフに複数の演算を載せたものと思えます。その意味で、高次圏のベースとなるべき“グラフ理論の拡張版”はあり得る気はします。


グラフ理論でいうところの次数が実数にもしくは複素数に拡張できたり。。

これもいろいろな方向性があります。頂点と辺に、なんらかの値を付けることは多いです。その値を、色(color)、ラベル、重み(weight)、流量とか呼びます。それぞれ、言葉から連想されるインフォーマルなイメージが定義の由来と考えていいと思います。

次数を連続量に拡張すると言えば、確率遷移系かな。普通の有向グラフの入次数を正規化(適当な分母で割り算)して、粒子が他のノードから入り込む確率、出次数のほうは粒子が他のノードに出て行く確率とすると、グラフ上のランダムな運動を定式化できます。この状況を連続化すると確率遷移系(あるいは類似の構造)になるでしょう。