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代数系と準同型写像の絵を描いてみました

みずすまし(id:Mizusumashi)さんのエントリー(「圏論メモ」と「関数型言語Haskellとの関係」)からトラックバックをいただきました。なかなか力が入ったエントリーだな、と感心しました。少し応答したいのですが、コメント蘭に書くには長過ぎるので、エントリーを起こします。とりあえず、代数系(代数構造)の例に一言。



せっかく具体的で面白い例を出しておられるので、説明芸の観点からは、もう一工夫あると良かったかな、と。で、僕も絵を描いてみました。みずすましさんが使っていた記号「I」をintegerのIと勘違いして(実際は、Iは非負整数でした)、オリジナルと少し変わってしまったのですが、描き直すのがめんどうなんで、ご容赦を*1

整数{..., -2, -1, 0, 1, 2, 3, ...}を無限に延びた数珠<じゅず>だと思って、それを円筒に丁寧<ていねい>に巻き付けると螺旋<らせん>になります。「ジャックと豆の木」に出てくるツルのようなもんです。整数を 0, 1, 2, ... とたどっていくと、グルグルとまわりながら無限に上に登れます。(地面を0とするなら、負の数はないほうがやっぱり落ち着きますね。みずすましさんのオリジナルのほうが良かった。)

さて一方、目盛りが、0分、15分、30分、45分だけの時計盤を考えます。0分、15分、30分、45分を0, 1, 2, 3で置き換えておけば、1を足していくと、0, 1, 2, 3, 0, 1, 2, 3, 0, ... と循環して無限にグルグル回ります。

僕が描いた絵は、螺旋階段の影を時計盤に落としたものです。螺旋階段(あるいは豆の木)にいる誰か(ジャックでしょうね:-))の影を、分針<ふんしん>の代わりの目印だと思いましょう。ジャックが螺旋階段を1ステップずつ昇る行為は、影である時計盤の分針を1ステップ(15分だけ)進めます。ジャックがドンドン螺旋を限れば、影はグルグル回り続けます。

これが、「整数と、1を足す演算」からなる代数系から、「{0, 1, 2, 3}と、1を足す演算(ただし循環する)」からなる代数系への射(準同型写像)の図解です。たしか『らせん』と『リング』って恐い小説/映画がありましたよね。ここでは、整数(記号Z)がラセン、時計盤(記号Z4)がリングです。ちっとも恐くないです*2



「{0, 1, 2, 3}と、1を足す演算」の代数系から「{true, false}と、tureとfalseを入れ替える演算」の代数系への射(準同型写像)は次のような図解でどうでしょう。

{true, false} は{0, 1}としても本質的な差はないので、{0, 1}のフリップ(入れ替え、反転)と考えましょう。これは、0分と30分にしか目盛りがない時計盤とも思え、分針は、0, 1(30分), 0, 1, ... と2つの目盛りを交互に指すだけの運動をします。

4目盛りの時計盤と2目盛りの時計盤を歯数2:1の歯車で繋いでおくと、4目盛り側の0, 1(15分), 2(30分), 3(45分), 0, ... という運動は、2目盛り(フリップ)側の 0, 1(30分), 0, 1(30分), 0, ... という運動になります。この連動が「{0, 1, 2, 3}と、1を足す演算」代数系から「{0, 1}と、0と1を入れ替える演算」代数系への準同型写像を与えます。



圏論の概念や用語で少し気になる点もあるんですが、それは次の機会(があれば)にしましょう。それと、長文記事を読んでもらいたい人は印刷向けスタイルシート設定した方がいいよ

そうそう、みずすましさんところのコメント欄に書いておいたのだけど、ここにも再掲:

絵はなにを使って描いたのですか? モノグサの僕でも手軽に手早く描けるツールがありましたら教えてください。



[追記]螺旋階段て、時計回りで昇るものなのかな? と疑問に思って、イメージ検索してみました。

この写真(鉄創庵さん:http://www.tessoan.com/cate1/03/7_12/tenjin.html より)は時計回りだけど、逆向きもあったので決まってはいないみたい。[/追記]

*1:あれっ、デッサンも狂ってる、けど、シロートの僕にそれは言わないでよ。

*2:いやっ、僕は高所恐怖症なので、やっぱり無限螺旋階段はコワイ!