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参照用 記事

ベル状態、少し分かった、がやっぱりよくは分からん

# まだ東京にいるわ。

酒井さんが既に書いているが、id:hiroki_fさん(a.k.a. ジョニー)に物理的な背景を説明してもらえるのが非常にありがたい @圏論勉強会。

バエズ、アブラムスキー、ボブ・クックなどの論文で、物理的なことが出てくると、僕はとたんにアポケー、つうか「阿呆けー」状態で頓挫してしまう。ベル状態つうのも、サッパリちっともイチミリもわかんなかった。が、“アリスとボブ”の話で少しだけ分かったような気がしなくもない。

そもそも、ベル状態って「状態」じゃなくて、特殊な条件(エンタングル)を満たす
状態の対(ペア)
だったのね。最初にそう言って欲しいよ、もう。

そういうことなら、エンタングル(もつれ)の条件を含めたベル状態対は、圏論の単位/余単位の対に完全に対応するエンタングルの条件は、圏論では三角恒等式、ジグザグ恒等式、剛性(rigidity)恒等式なんて、いろんな呼び名がある(僕はジグザグを採用)。スター関手(2回やると戻るような自己反変関手)*1を持ち、それが上記の {三角|ジグザグ|剛性}恒等式 を満たすようなモノイド圏は、堅い圏(rigid category)とか自立圏(autonomous category)とか呼ぶ。スター自立圏*2、コンパクト閉圏は自立圏の例。もっと具体的な例は古典テンソル算。

少しだけ分かった気がしたが、まーだ、どうも腑に落ちない。スピンの例を考えるとして、状態空間は|0>と|1>から複素係数で張られたC|0>+C|1>として、それをAとする。「Aのベクトル=C→Aの射=Aの状態」がスピンを表現する。スピンという属性(観測可能な量)を持つ粒子1個がAのベクトルで表現される、と考えていいよね(ここで違っていたらミもフタもない)。粒子2個ならA(×)A(テンソル積)。

で、ベル状態の片割れは A*(×)A に入るが、これはいったいなに?「スピンの観測装置(コベクトル、余状態)」と「スピンという属性」を組み合わせたモノ? もうひとつの相方は、A(×)A* だが、これも状態と余状態の組み合わせ(の重ね合わせ)。量(この場合はスピン)を観測する方法が指定された粒子ってことか?

それはそうとして、酒井さん曰く:

Categorical Quantum Mechanics は記法が紛らわしくて

うん、まぎらわしい! ほとんどむかつく。だーから、僕は上下左右神経症なのだ!

さらにそれはそうとして、デカルト閉圏上でカリー/ハワード対応を作ると、ゲンツェンNJとラムダ計算の対応が付く。コンパクト閉圏や自立圏で同じような手続きが遂行できれば、量子的NJと量子的ラムダ計算に関するカリー/ハワード対応が作れるはずだ。その計算体系は、ミクロな現実世界で実際に起きている計算現象の定式化に使えるのかもしれない。アブラムスキー一派は、そのへんを(も)ねらっているのだろうか?

[追記]「EPRペア」という言葉もあるみたいね。ベル状態と同義? 別物?[/追記]

*1:スターは、対象に対してだけ定義されていれば関手に拡張できる。が、そのへんは技巧的な話なので、あまりこだわらないほうがいいよ。

*2:スター自立圏では、双対化対象という特別な対象を底とする指数によりスター関手が定義できる。