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参照用 記事

絵算(ストリング図)における池袋駅問題の真相

上下左右で悩むアノ問題を「池袋駅問題」と呼ぶことにしたいと思います。「池袋駅」をはじめて引き合いに出したのは「モノイド閉圏、オダンゴ、留め金、池袋」です。左右(や上下)を逆転するのは「東口に西武線、西口に東武線」がある池袋駅みたいに混乱のもとだ、という話。最近だと、「用語法/記号法/図示法は、ほんっとうーに方言が多い」とかでも愚痴っています。

絵算(ストリング図)はすごく便利なんですが、人によって描き方がバラバラ、絵に限らずテキスト記法もバラバラ、それが混乱や誤解をまねくし、いろいろな流儀に慣れるのも大変だ、ってことです。

さて、昨日の記事「絵算したい人のためにオススメする3つのストリング図解説 (とオマケ)」で、ストリング図の解説をいくつか挙げました。もう一度繰り返します。

キュリア:

メリス:

ストリート:

ウィラートン:

セリンガー:

これらの人々が、どういう絵の描き方をしているか調べてみますが、もう少し調査対象を追加します。「フローチャートを復権させよう -- 2020年代のプログラミングへ」などで(他のエントリーでも何度か)参照している長谷川真人さんの論文; 「ボブ・クックの「お絵描き大好き 量子絵図主義」」で紹介したボブ・クックの論文; 「バエズとステイのロゼッタストーン論文と現代のヒエログリフ」で紹介したジョン・バエズとマイク・ステイの論文です。[追記]ガーナー/シュルマンの論文も追加。[/追記]

長谷川:

クック:

バエズ/ステイ:

ガーナー/シュルマン:


結果は次のとおりです。

人名 図:射の結合 図:テンソル テキスト:射の結合 テキスト:テンソル まとめると
キュリア 上から下↓ 左から右→ 右から左← 右から左← ↓→←←
メリス 下から上↑ 左から右→ 右から左← 左から右→ ↑→←→
ストリート 下から上↑ 左から右→ 右から左← 左から右→ ↑→←→
ウィラートン 下から上↑ 右から左← 右から左← 右から左← ↑←←←
セリンガー 左から右→ 下から上↑ 右から左← 左から右→ →↑←→
長谷川 左から右→ 下から上↑ 右から左← 左から右→ →↑←→
クック 下から上↑ 左から右→ 右から左← 左から右→ ↑→←→
バエ/ステ 上から下↓ 左から右→ 右から左← 左から右→ ↓→←→
ガー/シュル 左から右→ 上から下↓ 右から左← 左から右→ →↓←→

自然変換(一般に2-セル)が入る計算では、射の結合が縦結合(垂直結合)で、テンソル積が横結合(水平結合)です。みごとにバラバラ。ですが、今回調査対象の人々は、テキスト記法での射の結合は右から左で一致してます。コンピュータ方面だと左から右も使います。

[追記]ちなみに僕は

人名 図:射の結合 図:テンソル テキスト:射の結合 テキスト:テンソル まとめると
檜山 上から下↓ 左から右→ 左から右→ 左から右→ ↓→→→

ただし、f(x) という記法をなかなか排除できない事情で、テキストでは右から左を併用せざるを得ないときもあります。f(x) の代わりに x.f、あるいはいっそ x;f を使いたいのですけど。[/追記]

それぞれの一部をコピーした画像を下に貼り付けます。


キュリア:

メリス:

ストリート:


ウィラートン:

セリンガー:


長谷川:

クック:

バエズ/ステイ:


ガーナー/シュルマン: