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参照用 記事

「ベクトル」の3つの解釈:要素、ポインター、線形ポインター

「基底とフレーム、丸く収まる妥協案」の続きです。VはR上のベクトル空間で dim(V) = m とします。写像 φ:{1, ..., m} → V を最初に考えて、写像φの像 Im(φ) はVの部分集合になり、写像φの線形拡張 φ∧:Rm → V は線形写像です。次の状況を考えます。 φ∧:Rm → …

基底とフレーム、丸く収まる妥協案

一昨日の記事: ベクトル空間の基底とフレームは違う 昨日の記事: 基底変換、なにそれ? 世間一般では、「基底」「フレーム」が何を意味するかは曖昧だけど、まーしょうがないよね、という話をしました。僕は区別したいけど、習慣は変わりませんからね。で…

基底変換、なにそれ?

某所で「『基底変換』という言葉は曖昧語だから、意味を確認してから使ってね」と言ったのですが、どのくらい曖昧かを述べます。そもそも、基底の話じゃなくてフレームの話なので「フレーム変換」です。フレームのことも基底と呼ぶ習慣は一般的なのでしょう…

ベクトル空間の基底とフレームは違う

「ウワーッ、間違えた!」という事態が今日発生しました。何を間違えたかと言うと、ベクトル空間の基底とフレームを混同してました。基底とフレームは、世間の皆さんも混同してますよね(たぶん)。フレームのことも基底と呼ぶ(意図的混同、あるいはオーバ…

絵算をはじめた人への注意

圏論で使う絵算〈{graphical | pictorial | diagrammatic} {calculation | computation}〉については、次の記事で詳しく説明しています。 圏論の随伴をちゃんと抑えよう: お絵描き完全解説 上記過去記事にしたがって多少のトレーニングをすれば圏論的絵図の…

マルコフ圏から付点構成/合同商構成でダガー対称モノイド圏を作る

過去の記事「マルコフ圏におけるベイズの反転定理」の最後で次のように言いました。 「ベイズ反転は、ほんとの逆射ではないから inversion と呼ぶのは不適切」という意見はもっともですが、適当なセッティングのもとでは、ベイズ反転を逆射と考えることが出…

モナド、クライスリ圏、随伴 の落ち穂拾い

昨日書いた記事「確率的圏における期待値と雑音」で、記法の選び方をしくじりました。 圏M上のジリィモナドを'G'と書くことにした。 Gのクライスリ圏Sの射をラテン文字大文字で書くことにした。 Sの射を、'F', 'G' と書いた。 文字'G'の使用が衝突した。 絵…

確率的圏における期待値と雑音

確率的圏〈stochastic category | 確率圏〉の暫定的定義については「確率的圏、存在命題とスコーレム・コンビネータ // 確率的圏」で述べました。確率的圏は、事実上ジリィモナドのクライスリ圏です。こう定義してみても、期待値の概念は現れません。期待値…

Emacsとお別れして、僕は辛い

テキストエディタをEmacsからVSCodeに切り替えました。僕は、EmacsマニアでもなければEmacs LOVEでもない、単に長期間普通に使ってきたユーザーです。なので、Emacsを捨てることに心情的な抵抗はないです。が、長い期間で身体に染み付いたEmacs脊髄反射はな…

確率的圏、存在命題とスコーレム・コンビネータ

以前に書いた記事「圏論的確率論におけるCタイプとAタイプ」と、昨日書いた記事「マルコフ圏におけるベイズの反転定理」に対する補足を書きます。内容: 確率的圏 確率的圏の事例 存在命題 スコーレム・コンビネータ 確率的圏確率的圏〈stochastic category…

マルコフ圏におけるベイズの反転定理

ベイズの定理とかベイズの公式が何を指すかはいまいちハッキリしませんが、「マルコフ圏、ベイズの定理、陰関数定理」の最初の節で引用した定理のことだと言って間違いにはならないでしょう。フリッツ〈Tobias Fritz〉の"A synthetic approach to Markov ker…

文書処理:ソフトウェアAliceの設計方針

「文書処理:20年前の課題は今でも課題」より: 上記の問題群をすべて詳細に解説することは、僕に残されたエネルギー量ではとても無理です。幾つかを選んで、おおよその状況を語ろうかと思います。とりあえずは、今後の(散発的な)ブログ記事で3回くらいを…

簡約多圏とシーケント計算

昨日書いた記事「対称モノイド多圏(簡約版)」に関連しての雑多なお話。過去の記事で何度か触れたように、多圏〈polycategory〉は難しくて閉口します。そんな難しい多圏を何で必要とするのか? というと、僕の主たる動機は“シーケント計算のモデル”としてで…

対称モノイド多圏(簡約版)

単なる圏ではなくて多圏〈polycategory〉という概念が必要になることがけっこうあります。例えば、シーケント計算、テンソル計算、データベース理論などの圏論的定式化には多圏が欲しいところです。しかし、多圏をちゃんと定義するのはなかなかに難しい。そ…

文書処理:20年前の課題は今でも課題

僕は、人生のかなりの時間と労力と情熱を文書処理に費やしました。なので、文書処理のことを書いたり話したりしたことはあります。ですが、文書処理の実際のプロジェクトやソフトウェアの話をしたことはありません。守秘義務の問題もありますし、仮に守秘義…

VSCodeのEmacsキーバインド

「Google日本語入力のコマンドと状態遷移を解明する」にて: 色々と事情がありまして、Google日本語入力のキーバインドを変更しようと思いました。...[snip]... その事情は別なブログ記事に書くかも知れません。 ...[snip]... 今まで[変換キーを]トグル方式…

高校レベルの微積分、こんな書き方はやめて欲しい

表題の「こんな書き方」とは:「積分には不定積分と定積分があります」は認めるとして、積分区間(上端と下端)が書いてないので、左辺が関数の形をしているので、上記の積分記号は不定積分を表すことになります。不定積分の意味は、おおよそ「微分の逆」で…

Google日本語入力のコマンドと状態遷移を解明する

色々と事情がありまして*1、Google日本語入力のキーバインドを変更しようと思いました。付属ツール〈Google日本語入力のプロパティ〉のGUIからも変更できますが、テキストエディタを使ったほうが楽なので、タブ区切り形式のテキストファイルとしてキー設定を…

プログラミング言語としての AutoHotKey

AutoHotKeyは、ユーザーがホットキー(OSやバックグラウンドプロセスが処理する特殊なキーコンビネーション)を自由に設定できるWindowsソフトウェアです。スクリプト言語としても使用できます。が、スクリプト言語としての使用はおすすめはできません。ホッ…

マルコフ圏の一族から典型例を7つ

マルコフ圏の一族(昨日の記事「マルコフ圏の一族」参照)から、典型例となる圏をいくつかピックアップしましょう。まずは、確率論で使うマルコフ圏を3つ。 SBorelStoc : 標準ボレル空間〈standard Borel space〉を対象として、マルコフ核を射とするマルコ…

マルコフ圏の一族

ひと月ほど前(6月初旬)にマルコフ圏を知って以来、いくつかのブログエントリーを書きました。 マルコフ圏 A First Look -- 圏論的確率論の最良の定式化 マルコフ圏って、いいんじゃないのコレ マルコフ圏、ベイズの定理、陰関数定理 圏論的確率論におけるC…

マルコフ核と確率密度関数

確率統計の理解のために、僕がジリィモナド、マルコフ核、マルコフ圏などをおすすめするのは、見通しがよくなり、必要な概念が実は少数なことが分かるからです。少数の概念に対する膨大な呼び名(同義語、類義語、曖昧語)が無節操にとっ散らかっています。…

線形代数の発展を一枚の絵にしてみた

扱う対象が、より一般的で複雑になっていきます。*1 対象 圏 備考 ベクトル空間 K-Vect Kは体 ベクトルバンドル K-VectBdl[X] Kは体、Xは底空間 加群 R-Mod Rは可換環 加群層 Φ-Mod-Sh[X] Xは空間、Φは空間X上の可換環層 *1:Graphvizのソース:https://bit.l…

モナドを使って多線形写像の圏を作る

多ベクトル空間〈poly-vector space〉と多線形写像〈poly-linear map〉の圏PLを作りましょう。テンソル計算をモダンにやりたいとき、PLが必要になります。また、PLを作る過程で、ちょっと変わったモナドが現れます。内容: 圏CMLの定義 CML上の線形化モナド…

ストリング図と因子グラフ

f:X×Y→Z という関数〈写像〉をストリング図で表すと、次のようになります。描画方向は上から下で、関数のノードは四角です。*1とあるコミュニティーでは、次のような図を因子グラフ〈factor graph〉と呼ぶようです。ストリング図と同様、描画方向を前もって…

有限離散マルコフ核に関する注意

「マルコフ核: 確率計算のモダンな体系」にて: 積分記号 と“微分”記号 を使って書いてますが、離散の場合でも通用する話なので、離散の場合は和分記号〈総和記号〉 と“差分”記号 または に書き換えてください。 これを実行するときの注意を幾つか述べてお…

圏論的確率論におけるCタイプとAタイプ

「マルコフ圏 A First Look -- 圏論的確率論の最良の定式化」にて: 比較的最近、フリッツ〈Tobias Fritz〉は、確率と統計を圏論的かつ統合的〈synthetic〉に扱うための枠組みとして、マルコフ圏〈Markov category〉を提案しています。...[sinp]...統合的〈s…

マルコフ核: 確率計算のモダンな体系

この記事は、5年前(2015-06-04)に書いた次の記事を再整理・敷衍したものです。もとの過去記事を参照する必要はありません*1。 測度的積分核と随伴構造 まず、「マルコフ核」の同義語が山のように(少なくとも20個は)あることは、次の記事を参照: ベイズ確…

フォングは何故「確率変数」と呼んだのか

あっ、そうか! そういうことか。昨日・一昨日と、フォングの因果セオリー論〈theory of causal theories〉を紹介しました。フォング論文で使われている語法・記法・図法が混乱・誤解をまねく〈confusing / misleading〉ものなので、「どうなの? コレ」と疑…

因果セオリー論の語法・記法・図法(修正案付き)

因果セオリー論〈theory of causal theories〉という奇妙な言葉については直前の記事「フォングの“因果セオリー”の理論」を見てください。直前の記事において、フォングのストリング図は「視認性が悪く、おすすめできませんね。」と否定的な言い方をしたので…