Mark W. Hopkinsのサイトが残っているとyoheiさんに教えていただいたので、発掘された遺跡巡りをしてます。
Markの書いたものに"Kleene Categories"(テキスト)というのがあります。これは、Kleene代数を圏論的に拡張する提案です。一方、id:m-hiyama:20050512で話題にした、木下佳樹さんの「不動点をめぐる代数構造たち」(PDF)という論文でもKleene圏を定義しています。
どちらも同じような動機でKleene代数の圏論的拡張を行い、それを「Kleene圏」と名付けているんですね。奇しくも、発表年も同じく2001年。そして、今日比べてみて驚いたのですが、この2つのKleene圏の概念は事実上同じです。お互いに参照したとは考えにくいので、偶然でしょう。(こういう一致は意外によくあったりする。)
MarkのKleene圏も木下さんのKleene圏も、ジョイン半束(join semilattice; sup semilattice)でenrichされた圏Cをベースにして、Cの対象AごとにEnd(A) = C(A, A)上のKleeneスターを与えています。Kleeneスターの公理が少し食い違っていますが、本質的な差はないように思えます。
面白いなー。この不思議な一致も、その内容も。