「イデアルと論理」のネタになるかもしれないし、そうでないかもしれない。
環AのイデアルIが「素」であることの定義、関連事項など:
- 標準的な定義:R/Iが整域(聖域じゃないよ)
- Iの補集合R\Iが積閉(1∈R\Iも含む)
- アフィン代数集合Xとの関係では、Xが既約⇔I=I(X)が素
- しかし、既約元と素元は違う概念。用語法が悪い。しかたないけど(下に説明)。
- 整域の主イデアルI=(a)が素⇔生成元aが素元
- 既約元と素元が一致する環=GCDが存在する環
既約元の「既約」は積に関して非自明な分解(因数分解)が存在しないこと。既約代数集合の「既約」は集合和に関して非自明な分解(成分分解)が存在しないこと。「それ以上分解できない」という点では同じだが、代数的積と集合論(or 幾何)的和ではだいぶ違う。既約イデアルの既約は、代数集合の既約性のほぼ双対かな。
体の拡大のとき、代数的数に対して、k[x]→K=k(α)の核(イデアル)の生成元も既約多項式と言ったりする -- 最小(定義)多項式という用語もあるにはあるが。多項式環の既約元を既約多項式と呼んだりすると、もろにバッティングだ。毎度毎度、用語法は頭痛の種。
ついでに:「剰余環」と「商環」も混乱する。記号的にはA/IとS-1Aで混乱はないけど、「商環」はどっちともとれる。曖昧な用語「商環」はやめて、剰余環A/Iと分数環(分数体)S-1Aにしたほうがいいと思う。整域Aに対するS-1A(SはAの零以外)は、まさに小学校で習った“分数そのもの”だし。