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参照用 記事

文字や記号はいつだって足りないのだ

ここのところ、記号論理のエントリーを何本か書いた。

「論理とはなにか? (2)」より引用:

Powf(S)をS'と書いて、S'のメンバー(Sのメンバーの有限集合)をΓ、Δなどと書くことにしましょう(だんだん記号が足りなくて苦しくなっている)。

記号論理について書いていると、文字や記号が不足して往生する。印刷物だと、ボールドやイタリックはもちろん、花文字や特殊な記号を使ったりするけど、HTMLベースではそこまではできないしね。

ローマ字のアルファベットでは足りなくなると、ギリシャ文字(α、βなど)を使うが、ある時ある人が「ギリシャ文字が出てくると、もうダメですね」と語っていた。ギリシャ文字を使わざるを得ない状況では、扱う対象の種別(タイプ、ソート)が増えているわけだから、ギリシャ文字出現はモノゴトが複雑化している証拠かもしれない。

でも、単にあまり見たことない文字が出てきたことに対する嫌悪感(?)ってのもあるかもね。読み方さえ分からないと余計に抵抗があるだろうから、ギリシャ文字一覧表をどうぞ。

いずれにしても、文字や記号は有限、いや少数しかないので、結局は使い回し(オーバーロード)することになる。文脈に応じて解釈を変えなくてはならない。これはやっぱり混乱や違和感の原因になる。例えば、大文字A, Bを変数に使ったり、小文字x, yで集合を表したりすると戸惑ったりイヤな感じをいだく人は多いだろう。が、特定の文脈ではそういうこともよくあるのだ。

もっとタチが悪いのは、「π(パイ)は円周率」、「Σ(大文字シグマ)は総和記号」というような刷り込みだ。πやΣを他の用途に使いたくはないのだけど、背に腹は替えられない。実際、πは射影(projection)を表すのによく使うし、型式言語理論ではアルファベット集合をΣと記すのが慣例だ。それどころか、πもΣも単なる変数として使うケースもある。

文字/記号の使い方に関して、暗黙のゆるいガイドラインがあるにはあるが、それはしばしば破られる。結局、その場その場の状況ごとのローカル・ルールで解釈をするしかない。常識や前例を過剰に適用するとロクなことはないよ。