いかにも敬遠されそうなネタだよね。でもかまわんのだ。今日も書くよ、っと。
また今日も書くよ、っと。今日はドトールの紙ナプキンで計算したこと。
Uが有限次元ベクトル空間で、φ:U×U→K が双線形形式のとき、Φ:U→U* と Ψ:U→U* を次のように定義します。
- Φ = λx.λy.φ(x, y)
- Ψ = λy.λx.φ(x, y)
「片側非退化性から両側非退化性を導く」で述べたことから、次の6つのことは同値です。
もっと具体的に、次の等式が成立します。
- Ψ = Φ*・Θ
- Φ = Ψ*・Θ
Θは、「ベクトル空間の二重の双対はどうなるか」で述べた、UとU**のあいだの同型です。
以下φは非退化と仮定。ΦもΨも可逆なので、Ψ-1・Φ:U→U と Φ-1・Ψ:U→U が考えられます。Ψ-1とΦ-1をイプシロン記法で書けば:
- Ψ-1(f) = εy.[∀t.(φ(t, y) = f(t))]
- Φ-1(f) = εx.[∀t.(φ(x, t) = f(t))]
これをもとに、Ψ-1・Φ と Φ-1・Ψ を書き下すと:
- (Ψ-1・Φ)(x) = εy.[∀t.(φ(t, y) = φ(x, t))]
- (Φ-1・Ψ)(y) = εx.[∀t.(φ(x, t) = φ(t, y))]
これを見ると、上の対応で x ←→ y と入れ替わるx, yは、同じ“働き”を持つことがわかります。xはφの左の引数として働き、yは右の引数として働きますが、線形形式 U→K としては同じものを定義します。本来、U→K の“働き”といえばU*の元(コベクトル)がありますが、左からのx, 右からのyと同じ働きをfとすると、任意のt∈Uに対して次が成立します。
- φ(x, t) = φ(t, y) = f(t)
φが対称性(φ(x, y) = φ(y, x))を持つなら、xとyは一致しますが、非対称ならxとyは別物かもしれません。別物でもxとyは双子の兄弟のようなもので、左から/右からの作用で同じ機能を実現します。xとy、それと鏡の世界の住人であるfが三位一体*1なんです。
非対称な双線形形式はちょっと扱いが面倒ですが、左右の違いがあるのがかえって面白いですね。