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参照用 記事

個人デジタル出版で儲け、られそうにない

書籍風のデジタルコンテンツを有料で販売しようか、と考えました。なんでそんなことを考えたかは今日は割愛。一部3千円で10部、売り上げ3万円が目標 -- セコーイッ。でも、冷静に考えてみると、せいぜいそんなもんだろう、と。売り上げ予測が3万なのはまーしょうがないのですが、3万円売り上げるために3万円以上かかりそうなのが問題です。

●使いやすいデジタルコンテンツの条件

まず、僕が書籍風デジタルコンテンツに要求する条件を列挙します。

1. 特殊なビューワーを必要としない

かつて1回だけ、アマゾンからeBook版の技術書を買ったことがあります。そのときに深くフカーク刻み込まれた印象は、eBookは最悪! もう絶対に買わねーーぞ!! 特殊なアプリケーションと一体化したようなファイルフォーマットは絶対ダメです。

「どこでも誰でも閲覧できる」となると、HTMLかPDFでしょう。読みやすさと印刷の都合を考えるとPDFかな。

2. いくらでもコピーできる/印刷できる

eBookのコンテンツはものすごくきついプロテクトがかかっていて、印刷も制限付き。こんなもん使いものになりません。DRMももってのほか。デジタルデータのいいところは、コピーや引用(部分コピー)が自由にできることなんだから、それを禁止しては利便性が極端に失われます。

コピーを認めたら、著者や出版社の権利が守れない -- それはそうなんだろうけど、利便性と折り合いがつかないからね、どっちか(権利か利便性)はあきらめざるを得ないと思います(ここで言ってるコピーはファイルの物理的コピーのことで、著作権とは別問題です。*1。)

3. 無闇と高くない

infoナントカで扱っているような、いわゆる“情報商材”は、1万円、2万円は当たり前だけど、常識的に考えて高すぎるでしょうよ。「モテる/毛が生える/大儲け/痩せる」みたいなネタだと、高くても買う人は買うんでしょうけど、なんか健全じゃない気がします。

普通の書籍との比較で言えば、2,3千円が適当でしょう。高くても5千円くらいまでかな。僕自身、2,3千円までの本なら買おうと思いますが、5千円越えるとチョット買う気なくなりますもん*2

4. 立ち読み可能

前書きと目次は当然として、全体の10%から30%程度は事前に閲覧できないと内容を判断できません。中身を見せないで煽り文句だけはいただけない。

5. レビュー、フィードバックができる/見れる*3

立ち読みと共に、既に読んだ人の感想や評価は購入時の判断に役に立ちます。ブログのコメント/トラックバックみたいな仕掛けが欲しいですね。

紙の書籍/出版は、著者に権威付けをして、著者が無謬であるかのごとき印象(幻想)を与えるキライがあります。もちろん、著者の事実誤認、見落とし、ケアレスミスはあります。指摘されれば謝罪、訂正、改善もできます(次の条件にも関係する)。

6. バージョンアップ/メンテナンス付き

技術情報などだと、半年/一年たつと古くなる部分もあります。また、間違いの訂正や追加の記述、レビュー/フィードバックの反映など、ソフトウェアのバージョンアップ/メンテナンスのようなサービスがあるとうれしい。このような継続的なサポートは、紙の書籍では困難です。デジタルコンテンツの優位性なのだからやるべきだと思います。

●提供者は苦しいのだが…

上に挙げた条件が揃えば、そして内容に価値があれば、僕は利用者(読者)として満足です。

では、提供者(著者や出版者*4)の立場ではどうでしょう。まず、コピー可能な単なるファイルという点でハナからショーバイにならないと考える人が多いでしょうね。でも、コピーできないのは余りにも不便すぎるので、ここは利用者の良識を信頼するしかないような気がします。僕は、物理的なファイルコピーと著作権の関係がわかってないのですが、著作権を尊重しながらも利用者の利便性を損なわない(常識的範囲のコピーを認める)ルールはあるんじゃないのかな。

それより当面の問題は課金・決済のほうです。銀行振り込みってテはあるけど、僕が利用者だったら「それじゃ買わねーよ」って感じ。少額決済の環境は整っているとは言いがたいので、現実的な選択肢はクレジットカードしか残らないでしょう。クレジット決済代行サービスは、安いところでも月額固定で5千円くらいかかります(さらに売り上げがあれば、その10%前後は持っていかれる)。サーバー/Webサイトの維持費と合わせると月1万くらい。3万円の売り上げに3ヶ月かかると、(著者への報酬は度外視しても)その他の経費で赤字。ムーッ。

というわけで、提供者が一人ではきびしいのですけど、提供者が何人か集まって、一人当たりの負担が月千円くらいなら、3ヶ月間で3千円の本1部、または千円の本3部で実費は回収できる*5ので、「もっと売れるかも」の期待感とある種の自己満足を加えれば、著作のモチベーションになるんじゃないでしょうか。

*1:別問題だと思うけど、ひょっとして同じ問題なのか? よくわかりません。

*2:非常に稀に1万円以上の洋書を注文したりしますが、例外的なことです。

*3:ラ抜き言葉使っちゃったよ。でも「見られる」だとリズムが悪いでしょ。

*4:会社とは限らないので「者」にしました。

*5:著述の労力がまったく酬われませんが。