父親:「昔さ、君は逆上がりができないで泣いてたよな。できるようになった?」
長男:「結局、今でもできないよ」
父親:「なんだよぉー」
長男:「あの頃は子供だったから気にしていたけど、今はこだわってないから」
父親:「はっ?」
長男:「俺、もう逆上がりなんかにこだわってないの」
父親:「なんで?」
長男:「だってさ、逆上がりなんて将来使わないっしょ、俺、体操選手にならないし」
父親:「それを言っちゃオシマイだろ」
長男:「じゃ、大人になって逆上がり何に使いますか? おとうさん」
父親:「そういうことじゃなくてさ、運動能力をさ…」
長男:「その話は前も聞いたから、もういいよ」
父親:「… でも、カッコ悪くない? 逆上がりできないって」
長男:「大人になって『あなた、逆上がりできますか』って聞かれないでしょ」
父親:「女の子に聞かれたらどうすんだよ?」
長男:「そんときは『できます』とウソつく」
父親:「おまえなー、そんなウソはバレるぞ」
長男:「聞かれたとき、そこに鉄棒あるわけないでしょ」
父親:「鉄棒がある公園で聞かれたらどうすんだよ」
長男:「おとうさん、常識ないねー」
父親:「…」
長男:「そんときは『できません』って言うに決まってんでしょ」