忘却関手とは何であるか? を、一般的に定義するのはけっこう難しいことです。
ですが、構造を忘れる忘却関手なら定義できなくもないようです。
P. V. Golubtsov, S. S. Moskaliuk "Method of Additional Structures on the Objects of a Monoidal Kleisli Category as a Background for Information Transformers Theory" (http://arxiv.org/abs/math-ph/0211067) に、次のような定義が載っています。
- ∀X, Y ∈ Ob(C) the map F : C(X, Y) → C'(F(X), F(Y)) is injective,
- ∀X ∈ Ob(C), Y ∈ Ob(C') and an isomorphism u : Y → F(X) there is an object Y~ ∈ Ob and an isomorphism u~ : Y~ → X such that F(Y~) = Y and F(u~) = u.
これは、「構造を忘れる」タイプの忘却関手の条件です。F:C→C' が構造忘却関手であるとは、Fが忠実関手であり(1番目の条件)、C'内の同型の余域がCに持ち上がるなら、同型全体がCに持ち上がる(2番目の条件)ことです。
位相空間を単なる集合とみなすとか、群をモノイドとみなすとかが構造忘却関手ですが、確かに上の条件は満たしていますね。