このブログの更新は Twitterアカウント @m_hiyama で通知されます。
Follow @m_hiyama

メールでのご連絡は hiyama{at}chimaira{dot}org まで。

はじめてのメールはスパムと判定されることがあります。最初は、信頼されているドメインから差し障りのない文面を送っていただけると、スパムと判定されにくいと思います。

参照用 記事

バエズがお薦めするアウディのホット(HoTT)論文

昨日紹介したバエズの記事には、たくさんのコメントが付いています。現時点(2013-12-05)で48個のコメント。

最初の数個のコメントに目を通してみたら、"Notions of Sameness" に関連する解説として、スティーブ ・アウディの論文が参照されていました。バエズ自身が次のように推奨しています。

If you want to read something more about what I just said, I strongly recommend this:



私(バエズ)がこの記事で書いた内容に興味を持って、もっと資料を読んでみたいなら、この論文がとてもお薦め:

アウディの論文はHoTT(ホット、Homotopy Type Theory)の入門になっています。技術的な予備知識はほとんど仮定せずに、HoTT、特にヴォエヴォドスキー(Voevodsky)のユニバレンス公理(the Univalence Axiom)を説明しています。単なるお話ではなくて、「等しい」とか「同じ」という概念(same, equal, identical, isomorphic, equivalent, etc.)の奥深い謎を読者に突きつける迫力に満ちています。

歴史的な話も散りばめられていて、ラッセル(Russell)、ウィトゲンシュタイン(Wittgenstein)、カルナップ(Carnap)、タルスキー(Tarski)、マーティン-レフ(Martin-L\"of)なんて名前が登場します。これらの人々は割と最近の人ですが、ライプニッツLeibniz)の原理「A = B とは ∀P.(P(A) ⇔ P(B))」のライプニッツだけは17世紀、ふーむ、ライプニッツってすんごい先進的だったんだなー。

集合の場合、所属関係しかないので、A = B とは ∀x.(x∈A ⇔ x∈B) ですが、一般的には、A = B とは「Aの構造 = Bの構造」のことだ -- と、アウディはまとめています。これはユニバレンス公理の帰結なので、ユニバレンス公理は一般化された外延性の原理(extensionality principle)だとも言っています。

ザッと眺めただけですが、集合や空間という概念が、なんだかどんどん相対化されているような印象を持ちました。