このブログの更新は Twitterアカウント @m_hiyama で通知されます。
Follow @m_hiyama

メールでのご連絡は hiyama{at}chimaira{dot}org まで。

はじめてのメールはスパムと判定されることがあります。最初は、信頼されているドメインから差し障りのない文面を送っていただけると、スパムと判定されにくいと思います。

参照用 記事

自然演繹の再構築への道

5日前の記事「自然演繹はちっとも自然じゃない -- 圏論による再考」において、次のように書きました。

自然演繹に対する再考は出来たと思います。でも、再構築には至っていません。
...[snip]...
いずれ別記事としてストリング図と多圏を準備した上で、自然演繹の再構築ができたらいいな、と思っています。

目論見としては出来ると思ってます。が、実際に遂行する気力が続くか? はまた別な問題です。自然演繹の再構築に何が必要かは見当がついているので、それについて書いておきます。

まず、セマンティクスとしては多圏(polycategory)を使いたい -- 長年、言及するだけで定義も構成も不十分という状態なので、多圏をちゃんと構成したいですね。

モノイド圏Cから、対応する多圏Poly(C)を構成するのですが、いきなり多圏は難しいです。準備として、Cから別なモノイド圏Spid(C)を作ります。Spid(C)はモノイド圏Cのスパイダー圏と呼んでいるものです。

もとのモノイド圏Cとそのスパイダー圏(これもモノイド圏)Spid(C)の関係を調べるには、モノイド関手、モノイド自然変換、モノイド同値などの道具を揃える必要があります。また、モノイド圏における一般化された結合律や単位律も使います。ここらは、モノイド圏の一般論に関する準備となります。

スパイダー圏Spid(C)が構成できて、その基本性質が明らかになれば、多圏Poly(C)の構成は容易です。もとのモノイド圏Cが対称なら、Poly(C)にも対称性を持ち込めるし、Cが対称でなくてもPoly(C)は作れます。

セマンティック駆動の立場では、圏/多圏を作っておいて後から構文構造である形式的体系を作ります。したがって、形式的体系は一意には決まりません。推論規則や公理の選び方には恣意性がある、ということです。とはいえ、何かを選んで形式的体系(演繹系、論理システム)を組み立てる必要があります。複数の形式的体系を作ってもいいかも知れません。

今まで述べた手順をまとめると:

  1. モノイド圏の一般論の準備
    1. モノイド同値 →「モノイド自然変換とモノイド同値関手
    2. モノイド圏が作る2-圏
    3. マックレーンの一貫性定理 →「ツリー書き換え系とマックレーンの一貫性定理
  2. モノイド圏からのスパイダー圏の構成
  3. モノイド圏からの多圏の構成
  4. 形式的体系の構成

これらの大項目をさらに細分する必要があるかも知れません*1が、項目を実行した記事が書けたら、ここからリンクを張ることにします。

*1:[追記 date="2016-07-20"]実際に、1番目を細分しました。[/追記]