「抽象微分多様体、もうチョット」で、マリオス微分幾何をやっている“マリオス本人以外の人”として名前を挙げたエフスタッヒオス・バシリウー〈Efstathios Vassiliou〉が次の論文を書いています。
- Title: Transformations of Sheaf Connections
- Author: Efstathios Vassiliou
- Pages: 17p
- URL: https://www.emis.de/journals/BJGA/v01n1/B01-1-VA.PDF
ところが、数式が文字化けしちゃってるんです。こんな(↓)感じ。
文脈で判断すると、バックスラッシュは'n'のようです。一部分が、換字式暗号〈かえじしきあんごう〉になっちゃってます。
化けている(置き換えられている)文字を列挙すると:
- バックスラッシュ
- ゲーデル左括弧: 鉤形。ゲーデル符号化に使う括弧の左のように見えます。
- 角キャップ: キャップ記号('∩')の角ばったヤツ。
- 角カップ: カップ記号('∪')の角ばったヤツ。
- テンソル積: のテンソル積記号です。文脈的におかしい。
- 無限大: 同じく の指数の無限大記号です。
- 右波括弧: 文脈的におかしい。
- 随伴記号: Tを時計回りに90度回転したような形。関手の随伴を表すときに使えます。
TeXで使っている欧文フォントに起因するんじゃないかと、調べてみました。次の記事のフォント一覧で事情が分かりました。
数式で使う欧文フォントが色々ありますが、mathhcalというフォントでは、英字〈ラテン文字〉小文字のところに、特殊な記号が割り当ててあるんですね。
これを参考にすると、次の対応表ができます。テンソル積と無限大は、文脈からの判断です。
番号 | 化けた文字 | もとの文字 |
---|---|---|
1 | バックスラッシュ | n |
2 | ゲーデル左括弧 | d |
3 | 角キャップ | u |
4 | 角カップ | t |
5 | テンソル積 | Ω |
6 | 無限大 | 1 |
7 | 右波括弧 | f |
8 | 随伴記号 | a |
化けた文字をもとの文字に置き換えれば:
比較のために再度化けたバージョン:
バシリウーさん、出来上がった論文を印字してチェックしなかったのかなー? まさか?? この現象は環境依存なのかも知れません。