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参照用 記事

まだある、カリー/ハワード/ランベック対応の辞書

まだあるの? まだあります!

カリー/ハワード/ランベック対応〈Curry-Howard-Lambek correspondence〉は、「型理論(ラムダ計算を含む)」「論理」「圏論」の三分野のあいだの対応ですが、今回は、抽象的・一般的な圏ではなくて、集合圏と位相空間の圏を取り上げます。主に、依存型理論の概念を、論理、集合圏、位相空間の圏で何に対応するかをまとめます。

先に、幾つかの言葉の説明をしておきます。

  • バンドル〈bundle〉: 多様体上のベクトル・バンドルなどとは違って、単なる連続写像 $`f:E \to B`$ のことです。全射であることも仮定しません。逆像 $`f^{-1}(b)`$ に注目します。
  • 自明バンドル〈trivial bundle〉: 直積とその射影をバンドルとみなしたものです。
  • 居住者〈inhabitant〉: 型理論で使われる用語で、型に所属するモノのことです。「要素」でもいいと思います。
  • 論域〈domain of discourse〉: 述語論理の用語で、述語の域のことです。
  • 個体〈individual〉: 論域の要素のことです。
  • 具体化〈instantiation〉 : パラメータ/インデックス/個体を特定値にして評価したモノです。
  • 証拠〈witness | evidence〉 : 原則的に証明と同義ですが、公理命題にも証拠は付いていると考えます。命題のラベルは、実際は命題の証拠の名前です。
  • 背景〈background〉: 当面の興味の対象ではないが、暗黙に仮定されているものという意味で使っています。

概念・用語の対応表:

型理論 論理 集合圏 位相空間の圏
命題 集合 空間
計算/関数 証明/定理 写像 連続写像
型の居住者 命題の証拠 集合の要素 空間の点
パラメータ付き型 述語/命題関数 集合族 バンドル
パラメータの型 論域 インデックス集合 底空間
パラメータ 個体 インデックス 底空間の点
シグマ型 存在命題 総直和集合 バンドルの全空間
パラメータ具体化型 述語の個体具体化命題 集合族の成分集合 バンドルのフィイバー空間
- 命題値スコーレム関数 タプル セクション
パイ型 全称命題 総直積集合 セクション空間
一般化型判断 一般化シーケント 一般化依存関数 (底空間固定の)バンドル射
型判断 シーケント 依存関数 自明バンドルを域とするバンドル射
型コンテキスト 前提 依存関数の域 バンドル射の域である自明バンドル
背景コンテキスト 背景前提 依存関数の背景引数 自明バンドルのファイバー空間
ターゲット型 結論命題 依存関数の余域 バンドル射の余域
依存ラムダ抽象 全称導入 依存カリー化 バンドル射のセクション空間への持ち上げ