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参照用 記事

米田埋め込みの書き方(色々ありすぎ)

米田テンソル計算 3: 米田の「よ」、米田の星、ディラックのブラケット 再論」でも触れたことですが、米田埋め込み/余米田埋め込み/ホムセットの記法が色々ありすぎます。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}}
\newcommand{\hyp}{\text{-}}`$

$`\text{ハイフン記法}`$ $`h\text{記法}`$ $`y\text{記法}\\ \text{上下添字}`$ $`y\text{記法}\\ \text{累乗}`$ $`\text{よ記法}\\ \text{ロージエン}`$ $`\text{よ記法}\\ \text{ロマン}`$
$`\cat{C}(\hyp, B)`$ $`h_B`$ $`y_B`$ $`B^y`$ $`よ_{\cat{C}}B`$ $`よ^B`$
$`\cat{C}(A, \hyp)`$ $`h^A`$ $`y^A`$ $`y^A`$ $`よ^\vee_{\cat{C}}A`$ $`よ_A`$
$`\cat{C}(\hyp, \hyp)`$ $`よ`$
$`\cat{C}(A, B)`$ $`h_B A, h^A B`$ $`y_B(A), y^A(B)`$ $`B^A`$ $`よ^B_A`$

h記法は、表現可能関手の記法としてよく使われます。表現可能関手は米田埋め込み(または余米田埋め込み)の値のことです。例えば次は、nLab項目 "hom functor" からの引用(コピー画像)です。



累乗形式のy記法は、例えばスピヴァック/ニウ〈David I. Spivak, Nelson Niu〉の "Polynomial Functors: A General Theory of Interaction" から引用すると:



関連することは「スピヴァックの指数記法(米田不定元)」にも書いています。

文字 'y' に上下の添字を使う記法は伝統的です。文字 'y' を大文字にしたしたりフォントを変えたりはします。例えば、nLab項目 "Yoneda embedding" では大文字 'Y' を使っています。



よ記法の起源については米田の「よ」 ≒ ディラックの「δ」に書いています。ロージエン〈Fosco Loregian〉の教科書で広く知られるようになりました。

よ記法に上下の添字を組み合わせたのはロマン〈Mario Román〉あたりでしょう。ただし、添字の上下がそれまでの習慣とは逆です。ロマンの "Profunctor optics and traversals" から引用すると:



ニンジャ米田の補題なら、次のように表記します。



米田の「よ」とニンジャ米田の補題」などに書いたように、米田の「よ」は、クロネッカー/ディラックのデルタと似てる(下図、形だけの話ではない)ので、$`\delta`$ をそのまま使うという選択肢もあるでしょう。

「よ」を使うにしろ「$`\delta`$」を使うにしろ、上下の添字の約束をどうするかで悩みます。他の記法・図法との兼ね合いの問題なんですけどね。