「組み合わせ的対象物の位相的実現」より:
天下りかつ抽象的構成で定義されると、$`\mathrm{Realiz}(X)`$ が、ほんとに直感的に想定している位相的・幾何的形状を表現しているのか? と疑問になります。その疑問を解消するには、抽象的構成をアンパックして具体的手順として書き下す必要があるでしょう。それは各自やってみてください(後で別記事にするかも知れない)。
形状付き集合(という組み合わせ的構造物)の位相実現〈幾何実現〉について、具体的で詳しい記述はあまり見つからないようです。この記事で、グロタンディーク構成と余極限で位相実現がほんとに出来ることを事例により極めて具体的に説明します。
またこの記事により、組み合わせ幾何的対象物とは、位相化可能構造を備えた組み合わせ的構造物だということがハッキリするでしょう。組み合わせ幾何的対象物(幾何グラフとも呼ぶ)は、組み合わせパートと幾何パートに明白に分離できます。位相化可能構造を担う幾何パートは、“位相化関手を備えたリーディ圏”により提供されます。$`
\newcommand{\cat}[1]{ \mathcal{#1} }
\newcommand{\mbf}[1]{ \mathbf{#1} }
\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} }
%\newcommand{\mfk}[1]{\mathfrak{#1}}
%\newcommand{\msc}[1]{\mathscr{#1}}
%\newcommand{\mbb}[1]{\mathbb{#1}}
%\newcommand{\u}[1]{ \underline{#1} }
\newcommand{\id}{ \mathrm{id}}
\newcommand{\op}{ \mathrm{op}}
\newcommand{\In}{ \text{ in }}
\newcommand{\hyp}{\text{-} }
\newcommand{\Iff}{ \Leftrightarrow }
%\newcommand{\Imp}{ \Rightarrow }
\newcommand{\twoto}{\Rightarrow }
\newcommand{\Ang}[1]{\langle{#1}\rangle }
\newcommand{\o}[1]{ \overline{#1} }
`$
内容:
- 有限次元ギャップ1生成順行リーディ圏
- 反対圏と反変関手の問題
- 一般化グラフと一般化幾何グラフ
- 具体例: 特定されたコスパングラフ
- 幾何的受肉化の方針
- 前層のグロタンディーク構成 具体的作り方
- 前層のグロタンディーク構成 一般的作り方
- 位相化可能リーディ圏
- ややこしくもバカバカしい話
- 貼り合わせプラン
- 余極限による貼り合わせ
有限次元ギャップ1生成順行リーディ圏
リーディ圏〈Reedy category〉の構成素〈constituent〉達について、「圏論で使う「図式」と「形状」// リーディ圏」から引用します。
リーディ圏は小さい圏 $`R`$ で、次の構造を持ちます。
- 広い部分圏 $`R_{+}`$
- 広い部分圏 $`R_{-}`$
- 次数関数 $`\mrm{deg} : |R| \to |\mbf{Odnl}|`$
$`\mbf{Odnl}`$ はすべての順序数からなる大きな圏です。
リーディ圏は $`(R, R_{+}, R_{-}, \mrm{deg})`$ と書けますが、$`\mrm{deg}`$ の別名として $`\mrm{dim}`$ を使います。よくある記号の乱用により、次のようにも書きます。
$`\quad R = (R, R_{+}, R_{-}, \mrm{dim}_R)`$
$`\mrm{dim}`$ の下付き $`R`$ は、他のリーディ圏の次元関数と区別するためで、必要がなければ省略可能です。
組み合わせ幾何の文脈で我々が扱うリーディ圏 $`R`$ は次の条件を満たすものです。「圏論で使う「図式」と「形状」// リーディ圏」の用語・記法は仮定します。
- 順行リーディ圏である。 つまり、$`R = R_{+}`$ 。
- ギャップ1(後述)の射達で生成される。
- 有限次元である。つまり、$`\mrm{Dim}(R) \lt \omega`$ 。$`\omega`$ は最初の無限順序数。
リーディ圏の有限次元性に関しては、「位相的形状付き集合 再論 // 有限次元リーディ圏達の圏」で変更しています。
リーディ圏が有限次元であることは、$`\mrm{Dim}(R) \lt \omega`$ ではなくて、
$`\quad \forall r\in R.\, \mrm{dim}_R(r) \lt \omega`$
に変更しました。この記事の有限次元は有界有限次元〈bounded finite dimensional〉と改名しています。
[/追記]
$`R`$ は有限次元であることから、次元関数は次の形で考えます。
$`\quad \mrm{dim}_R : |R| \to \mbf{N} \In \mbf{Set}`$
さらに、次のような自然数 $`D`$ が存在します。
$`\quad \forall r\in |R|.\, \mrm{dim}_R(r) \le D`$
そのような自然数 $`D`$ の最小値が $`R`$ の次元 $`\mrm{Dim}(R)`$ です。
リーディ圏の射に対して、そのギャップ〈gap〉という整数値を定義します。
$`\quad \mrm{gap}_R : \mrm{Mor}(R) \to \mbf{Z} \In \mbf{Set}`$
$`\mrm{gap}`$ の定義は:
$`\text{For }f \in \mrm{Mor}(R)\\
\quad \mrm{gap}_R(f) := \mrm{dim}_R(\mrm{cod}(f)) - \mrm{dim}_R(\mrm{dom}(f))
`$
$`R`$ が順行リーディ圏であることは次のように表現できます。
$`\quad \forall f\in \mrm{Mor}(R).\, \mrm{gap}_R(f) \ge 0`$
リーディ圏の定義から、次は常に成立します。
$`\quad \forall f\in \mrm{Mor}(R).(\, \mrm{gap}_R(f) = 0 \Iff f \text{ is iso}\,)`$
'$`\text{ is iso}`$' は「恒等射である」です。
ギャップがちょうど $`k`$ である射達の集合を $`\mrm{Mor}_{=k}(R)`$ と書きます。ギャップが $`k`$ 以下である射達の集合は $`\mrm{Mor}_{\le k}(R)`$ です。集合 $`\mrm{Mor}_{=1}(R)`$ に属する射はギャップ1〈gap 1〉の射です。
リーディ圏 $`R`$ の任意の射が、ギャップ1の射達の結合で書けるとき、$`R`$ はギャップ1生成〈gap 1 generated〉のリーディ圏といいます。ギャップ1生成なリーディ圏を図示するときは、ギャップ1の射を辺とする有向グラフを描けば十分です。ただし、リーディ圏が有向グラフの自由圏とは限りません(ほとんどの場合、自由圏ではない)。
目的によっては、超限順序数となる次元や、負のギャップを持つ退化アローが必要となるときもありますが、組み合わせ幾何における形状圏として使うリーディ圏は、たいてい有限次元ギャップ1生成順行リーディ圏〈finite dimensional gap 1 generated direct Reedy category〉で間に合います。$`\mbf{s}, \mbf{g}, \mbf{c}`$ は無限次元*1ですが、有限次元で打ち切って大丈夫な場合が多いです。
反対圏と反変関手の問題
「反対圏と反変関手はややこしい」に書いてますが、反対圏〈opposite category〉と反変関手〈contravariant functor〉の存在が、圏論をややこしくしています。反対圏も反変関手も、それ自体は非常に簡単な概念です(矢印を逆向きにするだけ! それだけ!!)。「あまりにも簡単なので、素直に受け入れられない」ということがあるようです。例えば、「集合圏の反対圏 $`\mbf{Set}^\op`$ の射とはいったい何だろう?」と考え込んでしまう人がいます。「いったい何だろう?」じゃなくて、反対圏の定義にあるとおりです! その定義以上でも以下でもないのです*2。
ややこしさに拍車をかけているのは、図式順記法と反図式順記法です。「$`f`$ の後に $`g`$ を結合〈合成 | compose〉する」を $`f;g`$ と書くか $`g\circ f`$ と書くかの問題です。どっちでも別にかまいません。書き方の約束は、単に人間のあいだの約束事〈規約〉であり、記述する内容とは何の関係もありません。自然言語でも、ラテン語系では左から右に書きますが、ヘブライ語は右から左に書きます。それは言語的・文化的違いであり、どっちが正しいわけでもなく、差異は解消できないし、差異があっていいのです。
現在の標準的な記述・定式化では、“ほんとの反変関手”(「反対圏と反変関手はややこしい」参照)の代わりに、反対圏からの共変関手(稀に、反対圏への共変関手)を使います。これは便利な方法ですが、記述・定式化のひとつの手法・流儀に過ぎません*3。人によっては、この手法・流儀に違和感をいだいたり、「なかなか慣れない」ということがあるのではないでしょうか。
前層の理論がそうであるように、圏 $`\cat{C}`$ からの関手として、共変関手より反変関手を中心にすることはままあります。たとえば、とある圏 $`\cat{S}`$ から位相空間達の圏 $`\mbf{Top}`$ への反変関手 $`F`$ があるとします。
$`\quad F:\cat{S}^\op \to \mbf{Top}\In \mbf{CAT}`$
ここで $`F`$ は、“ほんとの反変関手”ではなくて、反変関手を表すつもりの“反対圏からの共変関手”です。習慣的に、“反対圏からの共変関手”を反変関手と呼びます。
さて、$`f:\alpha \to \beta \In \cat{S}`$ に対して、$`F(f):F(\beta)\to F(\alpha)\In \mbf{Top}`$ が位相埋め込み(単射で、域と像の位相同型を与える連続写像)だとします。関手による行き先が埋め込みなのだから、関手の根本〈ねもと〉になる $`\cat{S}`$ の射も“埋め込みらしい名前”を付けたくなります。例えば「埋め込みアロー」とか。しかし、$`F`$ が反変関手であるから、習慣により「余」を付けて「余埋め込みアロー」としようか? ‥‥ とか悩みます。
これが、「組み合わせ的対象物の位相的実現」に書いた悩みです。
「余面ソート」の「余」を付けるかどうかは悩むところです。これは反対圏と反変関手のややこしさに起因する悩みです(「反対圏と反変関手はややこしい」参照)。反変性により、関手の行き先では「余」が取れると考えて、「余面ソート」とします。「余」は反変性のマーカーに過ぎません。一度仕掛けが分かってしまえば、「余」なんてどうでもいいのですがね。
$`\cat{S}`$ と $`\cat{S}^\op`$ の区別と関係性をハッキリさせるには、「状態遷移系としての前層・余前層・プロ関手」で使用した上線〈オーバーライン〉を使う記法*4が有効です。$`f\in \mrm{Mor}(\cat{S})`$ と実体としては同じ射を、$`\cat{S}^\op`$ の射と解釈したものを $`\o{f}`$ と書きます。
上線〈オーバーライン〉は、「反対圏と反変関手はややこしい」で述べた“ほんとの反変関手”である裏返し関手〈reversing functor〉$`\mrm{Rev}_\cat{S}`$ の短縮記法です。
$`\text{For }f\in \mrm{Mor}(\cat{S})\\
\quad \o{f} := \mrm{Rev}_\cat{S}(f) \;\in \mrm{Mor}(\cat{S}^\op)
`$
この記事内でも上線〈オーバーライン〉を使うことにします。対象に関しては $`\o{\alpha} = \alpha`$ なので、上線はあってもなくても同じです。必要に応じて上線を付けたり取ったりします。
いずれにしても、反対圏と反変関手と反図式順記法が、圏論を無駄に(ほんとに無駄に!)ややこしくしているので、よくよく考えて十分に注意する必要があります。
一般化グラフと一般化幾何グラフ
組み合わせ幾何では、有限次元ギャップ1生成順行リーディ圏を域とする関手を考えます。以下では、単にリーディ圏と言ったらそれは有限次元ギャップ1生成順行リーディ圏のことだとします(ローカルな約束)。例えば $`\mbf{g1}`$ はそのようなリーディ圏です。
念のため、リーディ圏 $`\mbf{g1}`$ を定義しておきます。
- 対象達の集合 : $`|\mbf{g1}| = \{0, 1\}`$
- 射達 :
- $`\id_0 : 0\to 0`$
- $`\id_1 : 1\to 1`$
- $`s : 0\to 1`$
- $`t : 0\to 1`$
- 次元関数 :
- $`\mrm{dim}(0) = 0`$
- $`\mrm{dim}(1) = 1`$
射の結合は自明でしょう。
$`s, t`$ はイタリック体文字(フォントを変えるのが面倒なので)ですが、$`\mbf{g1}`$ という個別特定の圏の射を表す固有名です。イタリック体小文字一文字の名前なので、固有名と一般名〈変数名〉がコンフリクト〈バッティング〉する事故がほぼ確実に起きるでしょう。別にいいです、だってコンフリクトを完全に避けるなんて無理だから。
$`0, 1`$ は自然数ですが、リーディ圏 $`\mbf{g1}`$ の対象です。リーディ圏の対象とその次元がどちらも同じ自然数なので、混乱が起きるリスクはあります。対象としての $`0, 1`$ の用途は、セルのソート(種類)を表します。後で「0-セル」「1-セル」のような用語を使います。セルのソート名(種類の識別子)と次元(自然数値)が一致してるのは便利なのであえて一致させているのです。
リーディ圏 $`\mbf{g1}`$ は:
- 有限次元 : $`\mrm{Dim}(\mbf{g1}) = 1`$
- ギャップ1生成 : $`s`$ と $`t`$ で生成される。
- 順行 : $`\mrm{gap}(\id_0) = 0`$, $`\mrm{gap}(\id_1) = 0`$, $`\mrm{gap}(s) = 1`$, $`\mrm{gap}(t) = 1`$ である。負のギャップを持つ射は存在しない。
リーディ圏 $`\mbf{g1}`$ 上の前層(反変関手)は、通常の意味の有向グラフ〈directed graph〉です。多くの場合、有向グラフを単にグラフ〈graph〉と呼びます。
$`\quad X \in |[\mbf{g1}^\op, \mbf{Set}]| \Iff X \text{ is-a graph}`$
この特殊例を一般化して、リーディ圏上の前層を一般化グラフ〈generalized graph〉と呼ぶことにします。
$`\quad (X \in | [\cat{S}^\op, \mbf{Set}] | \text{ for some } \cat{S})\Iff X \text{ is-a generalized-graph}`$
$`\cat{S} = \mbf{g1}`$ と特殊化した事例が通常のグラフ〈有向グラフ〉です。一般化グラフは、形状付き集合〈shaped set〉と呼んでいたモノとまったく同じ(同義語)です。
同様なネーミングポリシーで、一般化グラフが幾何的対象物(位相空間)を伴うとき一般化幾何グラフ〈generalized geometric graph〉と呼びます。一般化幾何グラフの幾何〈位相〉的側面はこの後で述べます。
一般化幾何グラフ(ときに、単に幾何グラフ〈geometric graph〉と呼んでしまうかも知れない)は、組み合わせ幾何的対象物〈combinatorial geometric object〉と呼んでいたモノとまったく同じ(同義語)です。
具体例: 特定されたコスパングラフ
この節で、個別特定なリーディ圏である $`\mbf{g1}`$ 上の個別特定な前層を考えます。その個別特定な前層を $`A`$ と呼びます。$`A`$ の定義は以下のとおり。
- $`A(0) := \{1, 2, 3\} \;\in |\mbf{Set}|`$
- $`A(1) := \{ (1), (2)\}\;\in |\mbf{Set}|`$
- $`A(\o{s}) : \{ (1), (2)\} \to \{0, 1, 2\} \In \mbf{Set}`$
- $`A(\o{s})( (1) ) := 1`$
- $`A(\o{s})( (2) ) := 3`$
- $`A(\o{t}) : \{ (1), (2)\} \to \{0, 1, 2\} \In \mbf{Set}`$
- $`A(\o{t})( (1) ) := 2`$
- $`A(\o{t})( (2) ) := 2`$
'$`A`$' はイタリック体大文字一文字(めんどくさいから)ですが、個別特定の前層を指す固有名です。
$`A`$ は前層なので反変関手です。反変関手とは(現在の多数派流儀では)、反対圏からの共変関手です。$`\mbf{g1}`$ の反対圏 $`\mbf{g1}^\op`$ は次のようです。
- 対象達の集合 : $`\{\o{0}, \o{1}\}`$ ただし $`\o{0} = 0, \o{1} = 1`$
- 射達の集合 :
- $`\o{s} : \o{1} \to \o{0}`$
- $`\o{t} : \o{1} \to \o{0}`$
- 恒等射は省略
$`A(\o{s})`$ のプロファイルは、
$`\quad A(\o{1}) \to A(\o{0}) \In \mbf{Set}`$
ですが、$`\o{0} = 0, \o{1} = 1`$ なので、
$`\quad A(1) \to A(0) \In \mbf{Set}`$
したがって、
$`\quad \{1, 2, 3\}\to \{(1), (2)\}\In \mbf{Set}`$
です。
$`A(0)`$ の要素〈0-セル〉である裸の番号は、グラフの頂点です。グラフの頂点に貼るラベルではなくて、グラフの頂点〈0-セル〉そのものです。$`A(1)`$ の要素〈1-セル〉である括弧囲み番号は、グラフの辺です。グラフの辺に貼るラベルではなくて、グラフの辺〈1-セル〉そのものです。
個別特定のリーディ圏 $`\mbf{g1}`$ 上の個別特定の前層である $`A`$ は、それ自体で完全にグラフです -- 組み合わせ的構造物として何も欠けていません。
しかし我々は、次のような絵を描きたくなります。コスパン〈cospan〉の形状ですね。

そして、絵(視認可能な図形)があたかも本体であり、組み合わせ的構造物である $`A`$ は、絵に貼るラベル達のように扱います。組み合わせ的構造物と絵(幾何的・位相的構造物)が癒着しているのです。
直感的認識は癒着していてもかまいませんが、形式的には、組み合わせ的構造と幾何的・位相的構造は分離して扱います。今定義した $`A`$ は、幾何的・位相的側面は一切持たず、純組み合わせ的構造物〈purely combinatorial structure〉です。「グラフ=形状付き集合」という名前に反して、視認可能な幾何的・位相的な形状は持っていません。
ここから先の話は、純組み合わせ的構造物〈形状付き集合 | グラフ〉である $`A`$ に対して、どうやって視認可能な姿形〈幾何的・位相的な形状〉を与えるかです。「直感的に」ではなくて「形式的に」姿形を与えます。
幾何的受肉化の方針
「組み合わせ的対象物の位相的実現 // 位相的形状付き集合の位相実現」で述べたように、「位相実現〈topological realization〉」という言葉のほうが正確だと思いますが、「幾何実現〈geometric realization〉」が圧倒的多数派です。そこでここでは、「位相{的}?」「幾何{的}?」は入れ替え可能な言葉として扱い、「位相的〈幾何的〉」「幾何的〈位相的〉」のような表記も使います。
視認可能な姿形を一切持たない純組み合わせ的構造物である $`A`$(特定されたコスパングラフ)に姿形(位相空間)を持たせることが幾何〈位相〉実現ですが、もっと印象的な言葉を使えば、幾何的〈位相的〉受肉化〈{geometric | topological} incarnation〉です。キリスト教のかたに怒られそうなので、テクニカルタームに使う気はないですが、「我々の目に見えるように顕現させる」ってことだから、話はちょっと宗教っぽくなるよね。
幾何的受肉化〈幾何実現〉の最後のステップでは、ピースである位相空間達を貼り合わせて単一の位相空間を作ります。貼り合わせは余極限〈colimit〉により実行します。
ピースの位相空間達と貼り合わせ方の情報は、とある関手として定式化されます。この関手は貼り合わせプラン〈gluing plan〉と呼ぶことにします。貼り合わせプランは関手なので、域があります。関手の域は役割りとしては“形状”とか“スキーマ”と呼ぶのでした。貼り合わせプランの形状〈スキーマ〉は、純組み合わせ構造だけから構成可能です。幾何的〈位相的〉情報は、貼り合わせプランの形状〈スキーマ〉とは独立にアタッチできます。
貼り合わせプランの形状(位相空間ではなくてスキーマ〈域〉)を構成する方法は、形状付き集合〈グラフ〉(実体は前層=反変関手)のグロタンディーク構成です。
作業ステップを逆順に述べましたが、頭から手順を書けば:
- 形状付き集合〈グラフ〉 $`A`$ にグロタンディーク構成を施す。これは $`\int A`$ または $`\mrm{El}(A)`$ と書く。
- それとは別に、幾何的〈位相的〉情報を、関手 $`\mrm{G} : \mbf{g1} \to \mbf{Top}`$ として準備する。
- $`\mrm{El}(A)`$ (組み合わせ的情報)と $`\mrm{G}`$ (幾何的情報)を組み合わせて、貼り合わせプラン $`A\ltimes \mrm{G} : \mrm{El}(A) \to \mbf{Top}`$ を作る。
- 余極限を使って、貼り合わせプランを実行する。$`\mrm{Realiz}(A) := \mrm{colim}\,(A\ltimes \mrm{G})`$
この手順は「組み合わせ的対象物の位相的実現 // 位相的形状付き集合の位相実現」で述べた手順です。次節から、個別特定な具体的グラフ〈形状付き集合〉である $`A`$(特定されたコスパングラフ)に対して上記の手順を具体的に遂行していきます。
前層のグロタンディーク構成 具体的作り方
一般論や正式な定義は後回しにして、前層の具体例 $`A:\mbf{g1}^\op \to \mbf{Set}`$ に対して、そのグロタンディーク構成〈Grothendieck construction〉(と呼ばれる圏)を作ってみます。作業手順を述べます。
集合 $`A(\o{0})`$ と $`A(\o{1})`$ を下のように描きます。$`A(\o{s})`$ により対応付けられる二元〈2つの要素〉のあいだを矢印 '$`\mapsto`$' (LaTeXの \mapsto)で結び、$`\o{s}`$ でラベルしておきます。同様に、$`A(\o{t})`$ で対応する二元のあいだも、ラベル $`\o{t}`$ を付けた\mapsto矢印で結びます。

次に、矢印の向きを逆にして '$`\to`$' の形(普通の矢印)に描き直して、ラベルを $`s,t`$ に付け替えます。

出来上がった図は、$`A`$ のグロタンディーク構成(あるいは $`A`$ の要素の圏〈category of elements〉) $`\mrm{El}(A)`$ を表します('El' は category of elements から)。
$`\mrm{El}(A)`$ の対象達の集合は次の5元集合です。
$`\quad \{1, 2, 3, (1), (2)\}`$
恒等射以外の射は、$`\Ang{s, 1, (1)}`$ のようなトリプル〈3つ組〉で表します。山形括弧を使ったのは視認性の問題で、他意はありません。トリプルの成分の順番は次のように約束します。
- 1番目は、矢印のラベルである $`\mbf{g1}`$ の射
- 2番目は、矢印の根本〈ねもと〉である $`A(0)`$ の要素〈0-セル〉
- 3番目は、矢印の先端である $`A(1)`$ の要素〈1-セル〉
$`\mrm{El}(A)`$ の対象であるトリプルを全部列挙すると、$`\mrm{El}(A)`$ の射達の集合になります。
$`\quad \{
\Ang{s, 1, (1)}, \Ang{t, 2, (1)}, \Ang{t, 2, (2)}, \Ang{s, 3, (2)}
\}`$
トリプルの第二成分が射の域、第三成分が射の余域です。恒等射ではない射を結合することが出来ないので、圏として面白みがないですが、面白くなくても幾何実現にとっては重要な圏です。
前層のグロタンディーク構成 一般的作り方
前層のグロタンディーク構成は、インデックス付き圏のグロタンディーク構成の非常に特殊なものです。その特殊性を理解するために、インデックス付き圏のグロタンディーク構成を知っていたほうがいいかも知れません。以下に過去記事:
この節(の文脈/スコープ)での $`\cat{S}`$ は、リーディ圏とは限らない小さな圏とします。一般的グロタンディーク構成を特に前層 $`F:\cat{S}^\op \to \mbf{Set}`$ に施して作った圏〈要素の圏〉を $`\mrm{El}(F)`$ とします。以下、$`\mrm{El}(F)`$ について説明します。
$`\mrm{El}(F)`$ の対象達の集合は、集合達の総和〈シグマ型〉で与えます。
$`\quad |\mrm{El}(F)| :=
{\displaystyle \sum_{\xi\in |\cat{S}|} } F(\xi)\\
= {\displaystyle \bigcup_{\xi \in |\cat{S|} } } (\{\xi\}\times F(\xi) )
`$
集合 $`|\mrm{El}(F)|`$ の要素は、$`|\cat{S}|`$ の要素 $`\alpha`$ と $`F(\alpha)`$ の要素 $`x`$ のペア $`(\alpha, x)`$ として書けます。第一成分 $`\alpha`$ の選び方に依存して、第二成分 $`x`$ の選び方〈選べる範囲〉が制限されるので、依存ペア〈dependent pair〉と呼びます。
集合 $`|\mrm{El}(F)|`$ の2つの要素(つまり、圏 $`\mrm{El}(F)`$ の2つの対象)$`(\alpha, x)`$ と $`(\beta, y)`$ のあいだの射はトリプル〈3つ組〉 $`\Ang{f, x, y}`$ です。ただし、任意のトリプルではなくて、次の条件を満たすものです。
$`\quad x = F(f)(y)`$
$`F`$ は反変関手だったので、この記事の習慣なら $`f`$ に上線を付けるべき(下)ですが、ときに上線が抜けるのは許容とします。
$`\quad x = F(\o{f})(y)`$
前節の例($`F = A`$ の場合)で状況を確認してみてください。
トリプルの代わりに、第二成分に条件の等式そのものを書けば、$`(f, x = F(f)(y) )`$ となります。さらに、等式に左から右への方向を持たせると、$`(f, x \twoto F(f)(y) )`$ 。これは、「組み合わせ的対象物の位相的実現 // 位相的形状付き集合の位相実現」で使った記法です。
この圏 $`\mrm{El}(F)`$ における恒等射と結合〈合成 | composition〉は見当がつくでしょう(なので、詳細は割愛します)。
この節で述べた $`\mrm{El}(F)`$ の作り方は、目と手の作業には依存してないので、形式的な定義〈formal definition〉です。
位相化可能リーディ圏
特定されたコスパングラフ $`A`$ に対して、先に作った要素の圏 $`\mrm{El}(A)`$ は、その図示(下に再掲)を見ると、なんとなく貼り合わせの記述になっている気がします。 気がするだけで実際には、要素の圏が持っているのは 純組み合わせ的情報で幾何的〈位相的〉情報を持ってません。幾何的〈位相的〉情報を準備する必要があります。

幾何的〈位相的〉情報はリーディ圏から位相空間達の圏 $`\mbf{Top}`$ への関手として定式化します。今の場合は $`\mbf{g1} \to \mbf{Top}`$ という関手(共変関手)です。
一般に、圏 $`\mrm{Top}`$ への適切な関手を備えたリーディ圏は位相化可能リーディ圏〈topologizable Reedy category〉と呼ぶことにします。「組み合わせ的対象物の位相的実現」では「位相的リーディ圏」と呼んでいた構造です。
「組み合わせ的対象物の位相的実現」より:
ところで、「位相的◯◯◯」と呼ぶと、◯◯◯が位相構造を持っているように思われそうですね。「位相化可能〈topologizable〉」とか「プレ位相的〈pre-topological〉」とかの形容詞のほうが良かったかも。
位相化可能リーディ圏 $`\cat{S}`$ を、記号の乱用で次のように書きます。
$`\quad \cat{S} = (\cat{S}, \mrm{G}_\cat{S})`$
ここで、$`\mrm{G}_\cat{S}`$ は $`\cat{S} \to \mbf{Top}`$ という関手で、「組み合わせ的対象物の位相的実現 // 位相的形状付き集合」で述べた様々な条件を満たすとします。関手 $`\mrm{G}_\cat{S}`$ は、位相化可能リーディ圏 $`\cat{S}`$ の位相化関手〈topologize functor〉と呼びます。
さて、リーディ圏 $`\mbf{g1}`$ を位相化可能リーディ圏に仕立て上げましょう。$`\mbf{g1}`$ を台〈carrier | underlying category〉とする位相化可能リーディ圏も同じ $`\mbf{g1}`$ と書きます(記号の乱用)。
$`\quad \mbf{g1} = (\mbf{g1}, \mrm{G}_{\mbf{g1}} )`$
$`\mrm{G}_{\mbf{g1}}`$ の定義は以下のとおりです。
- $`\mrm{G}_{\mbf{g1}}(0) := \{0\} \;\in |\mbf{Top}|`$
- $`\mrm{G}_{\mbf{g1}}(1) := [0, 1] \;\in |\mbf{Top}|`$
- $`\mrm{G}_{\mbf{g1}}(s) := \{0 \mapsto 0\} \;: \{0\} \to [0, 1]\In \mbf{Top}`$
- $`\mrm{G}_{\mbf{g1}}(t) := \{0 \mapsto 1\} \;: \{0\} \to [0, 1]\In \mbf{Top}`$
ここで、$`[0, 1]`$ は実数直線の単位区間です。単元集合 $`\{0\}`$ も単位区間 $`[0, 1]`$ も通常の位相を入れて位相空間と考えます。
以下、位相化可能リーディ圏 $`\mbf{g1}`$ について考えるので、$`\mrm{G}_{\mbf{g1}}`$ を $`\mrm{G}`$ と略記します。もともとは、位相化可能リーディ圏という抽象的構造の構成素役割り名であった $`\mrm{G}`$ が、ここから先の文脈では、個別特定の位相化可能リーディ圏である $`\mbf{g1}`$ の位相化関手という個別特定の関手(上で定義済み)を表す固有名として使うことに注意してください。
ややこしくもバカバカしい話
少し長くなりますが、「組み合わせ的対象物の位相的実現」から引用します。
形状付き集合 $`X:\cat{S} \to \mbf{Set}`$ の形状圏 $`\cat{S}`$ の対象と射は次のように呼びます。
- $`\cat{S}`$ の対象をセルソート〈cell sort〉と呼ぶ。
- $`\cat{S}`$ の射を余面ソート〈coface sort〉と呼ぶ。
「余面ソート」の「余」を付けるかどうかは悩むところです。これは反対圏と反変関手のややこしさに起因する悩みです(「反対圏と反変関手はややこしい」参照)。反変性により、関手の行き先では「余」が取れると考えて、「余面ソート」とします。「余」は反変性のマーカーに過ぎません。一度仕掛けが分かってしまえば、「余」なんてどうでもいいのですがね。
「セルソート」、「余面ソート」(「面ソート」でもかまわない)と名付けるココロは、$`\cat{S}`$ の対象はセルの種類を表し、$`\cat{S}`$ の射は面(と呼ばれる写像)の種類を表すからです。$`\cat{S}`$ は、セルと面の種類(を識別する名前)達の圏です。
今の具体例で言えば、圏 $`\mbf{g1}`$ も反対圏 $`\mbf{G1} = \mbf{g1}^\op`$ も、「集合/集合の要素/写像/位相空間/連続写像」などの種類〈ソート〉を対象・射とする圏です。習慣と反対圏と反変関手の問題があるので、ネーミングがとてもややこしいことになっています。
- 圏 $`\mbf{g1}`$ の対象は、関手の行き先〈値〉である集合〈セルセット〉とその集合の要素〈セル〉の種類〈ソート〉を表す。したがって、セルソート〈cell sort〉と呼ぶ。
- 圏 $`\mbf{g1}`$ の射は、反変関手の行き先〈値〉である写像〈面写像〉の種類〈ソート〉を表す。したがって、面ソート〈face sort〉なのだが、反変関手に渡すことをマークするために「余」を付けて余面ソート〈coface sort〉と呼ぶ。
- 圏 $`\mbf{G1}`$ の射は、共変関手の行き先〈値〉である写像〈面写像〉の種類〈ソート〉を表す。したがって、面ソート〈face sort〉と呼ぶ。
- 具体例 $`\mbf{g1}`$ の余面ソート〈射〉は $`s,t`$ である。
- 具体例 $`\mbf{G1}`$ の面ソート〈射〉は $`\o{s},\o{t}`$ である。
要素の圏 $`\mrm{El}(A)`$ の“対象=セルセットの要素=セル”と“射=余面ソートと0-セルと1-セルのトリプル”に対して、そのソート〈sort〉とは $`\mbf{G1}`$ の対象と射であると約束します。
$`\mrm{El}(A)`$ の対象または射を受け取ってソートを返す関数を $`\mrm{sort}_A`$ とします。例えば、
$`\quad \mrm{sort}(2) = 0\; \in |\mbf{G1}|\\
\quad \mrm{sort}( \Ang{t, 2, (2)} ) = \o{t}\; \in \mrm{Mor}(\mbf{G1})
`$
上線を引くのがバカバカしいのですが、「ソート関数は写像に対して(余面ソートではなくて)面ソートを返す」と言いたいならこうなります。もちろん、「ソート関数は写像に対して余面ソート($`\mbf{g1}`$ の射)を返す」なら上線は不要です。
どっちに決めようとどうでもいいバカバカしい話なのですが、反対圏と反変関手の問題は、そういったバカバカしさで我々を消耗疲弊させてくれます。
なお、今定義したソート関数は、グロタンディーク構成に伴う標準射影と事実上同じものです。余域が $`\mbf{g1}`$ か $`\mbf{G1}`$ かといった、またまたどうでもいい違いは生じますが。
貼り合わせプラン
特定されたスパングラフ $`A`$ に対して、要素の圏 $`\mrm{El}(A)`$ はもとの $`A`$ と同じだけの組み合わせ的情報を持っています。一方、位相化関手 $`\mrm{G}`$ は、リーディ圏 $`\mbf{g1}`$ の対象と射の位相的〈幾何的〉解釈を指定します。これらをガッチャンコしましょう。
関手 $`A\ltimes \mrm{G}: \mrm{El}(A) \to \mbf{Top}`$ を次のように定義します。前節の $`\mrm{sort}_A`$ を単に $`\mrm{sort}`$ と略記します。括弧の入れ子には十分に注意して読んでください。
- $`(A\ltimes \mrm{G})( 1 ) := \mrm{G}(\mrm{sort}(1)) = \mrm{G}(0) = \{0\}`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( 2 ) := \mrm{G}(\mrm{sort}(2)) = \mrm{G}(0) = \{0\}`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( 3 ) := \mrm{G}(\mrm{sort}(3)) = \mrm{G}(0) = \{0\}`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( (1) ) := \mrm{G}(\mrm{sort}( (1))) = \mrm{G}(1) = [0, 1]`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( (2) ) := \mrm{G}(\mrm{sort}( (2))) = \mrm{G}(1) = [0, 1]`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( \Ang{s,1,(1)} ) := \mrm{G}(\mrm{sort}(\Ang{s,1,(1) })) = \mrm{G}(\o{s}) = \{0\mapsto 0\}`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( \Ang{t,2,(1)} ) := \mrm{G}(\mrm{sort}(\Ang{t,2,(1) })) = \mrm{G}(\o{t}) = \{0\mapsto 1\}`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( \Ang{t,2,(2)} ) := \mrm{G}(\mrm{sort}(\Ang{t,2,(2) })) = \mrm{G}(\o{t}) = \{0\mapsto 1\}`$
- $`(A\ltimes \mrm{G})( \Ang{s,3,(2)} ) := \mrm{G}(\mrm{sort}(\Ang{s,3,(2) })) = \mrm{G}(\o{s}) = \{0\mapsto 0\}`$
テキストで列挙しただけでは分かりにくいので絵を描いておきましょう。

この絵は、位相空間達の圏 $`\mbf{Top}`$ のなかに描かれていると考えられます。つまり、組み合わせ的情報だけでなく幾何的〈位相的〉情報もちゃんと持っています。具体的に言えば、$`(1)`$ の区間の終点と $`(2)`$ の区間の終点は、$`2`$ で識別される一点空間を糊代にして貼り合わせる指示がこの図です。
位相空間達の台である点集合達を“寄せ集め”たり“点と点を同一視”したりして、新しい位相空間を作り出すことができます。上の絵は、新しい位相空間を作り出すための設計書なのです。
余極限による貼り合わせ
今までに出てきた具体的な関手をもう一度挙げます。
- 特定されたコスパングラフ(反変関手) $`A: \mbf{g1}^\op \to \mbf{Set}`$
- 位相化可能リーディ圏としての $`\mbf{g1}`$ の位相化関手(共変関手) $`\mrm{G}: \mbf{g1}^\op \to \mbf{Top}`$
- 特定されたコスパングラフの貼り合わせプラン(共変関手) $`A\ltimes \mrm{G} : \mrm{El}(A) \to \mbf{Top}`$
関手の域を形状圏と呼ぶので、
- 特定されたコスパングラフ $`A`$ の形状圏は $`\mbf{g1}`$ (あるいは $`\mbf{G1}`$)
- 位相化関手 $`\mrm{G}`$ の形状圏は $`\mbf{g1}`$
- 貼り合わせプラン $`A\ltimes \mrm{G}`$ の形状圏は $`\mrm{El}(A)`$
同じ言葉「形状圏」でも、文脈により指すモノは変わります。「形状圏」が役割り名であり固有名でも種類の名前でもないからです。
貼り合わせプラン $`A\ltimes \mrm{G}`$ の余域は $`\mbf{Top}`$ なので、“$`\mrm{El}(A)`$ を形状とする $`\mbf{Top}`$ 内の図式〈diagram〉”です。この図式の余極限が、貼り合わせの結果 -- すなわち位相〈幾何〉実現〈{topological | geometric} realization〉です。
位相空間達の圏 $`\mbf{Top}`$ における余極限の構成は、集合圏〈集合達の圏〉 $`\mbf{Set}`$ における構成とほとんど同じです。余極限については以下の過去記事を参照してください。
*1:[追記]「位相的形状付き集合 再論 // 有限次元リーディ圏達の圏」の定義では、有界有限次元ではないが有限次元。[/追記]
*2:反対圏と圏同値となる圏を具体的に構成するのは興味ある問題ですが。
*3:反対圏を使う手法・流儀が主流になったのは歴史的偶然です。“ほんとの反変関手”を禁止する必然性はありません。
*4:使用例は例えば "(Co)ends for representations of tensor categories" by Noelia Bortolussi, Martín Mombelli 。