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専門用語も野生の言葉
専門用語〈テクニカルターム〉は、特定の分野/特定の集団内において国語辞書の意味とは別な意味で使われる言葉です(国語辞書には載ってない言葉のこともあります)。世間で通用する一般的な日本語ではありませんが、厳密な秩序や強い統制があるわけじゃないです。けっこうグジャグジャ。
専門用語といえども野生の言葉なんですね。人工的な環境内で管理され飼い慣らされた言葉ではないのです。秩序や統制がないのは致し方ない、そういうもんなんです。同義語・多義語は避けようがない。
とはいえ、同義語・多義語に起因するコミュニケーションのトラブルはとても困る。対策として、野生の言葉である専門用語とは別に、人工的な環境内で完全に管理された人工的な名前を準備しよう、と。管理された名前が指す対象物は一意的で多義性/曖昧性がないようにします(あくまで努力目標ですが)。
「管理された人工的な名前をコミュニケーションに使え」ということではありません。コミュニケーションのトラブルが発生したときの対処として、あるいはトラブルを未然に防ぐ手段として、管理された名前の体系を使おう、ということです。
用語索引
デジタル語彙目録の語彙エントリーの主題となる言葉には、(野生ではない)人工的な名前が付けられて、その名前は名前空間ツリー内に配置することにより管理されます。野生の言葉である用語は、そのような管理はしません。
しかし、野生の用語と人工的な名前との関係はハッキリさせます。以下の画面キャプチャ画像は、ObsidianとDataviewプラグインをゴニョゴニョして作った用語索引(まだまだ不完全)です。
これを見ると、「Dedekind ring」「デデキント環」「デデキント整域」という用語が、/Algebra/DedekindRing
の同義語らしいと見当が付きます(リンク先を見ないとホントのところはわかりませんが)。「台集合」という用語が2回出現してますが、片一方は /Algebra/CommRing
に関連して、もう一方は /Algebra/LinearAlgebra/Module
に関連してです -- 異なる文脈で似たような意味で使われます。
管理された人工的な名前を準備することにより、同義語・多義語の状況がハッキリと把握できます。同義語・多義語の認識と解決は、用語が出現した文脈を見るしかないのですが、上記のような用語索引(と語彙目録の総体)は認識と解決の助けにはなるでしょう。