雑記/備忘
バエズ/ドーラン・ツリー〈Baez-Dolan tree〉は、オフィシャルには組み合わせ的構造です、視覚化のために3次元または2次元の空間のなかに描き出し〈レンダリングし〉ます。3次元空間内に、幹や枝がパイプになっているツリーとして描くことが標準的描画法で…
小ネタです。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}}\newcommand{\hyp}{\text{-} }`$ 「米田テンソル計算 3: 米田の「よ」、米田の星、ディラックのブラケット 再論 // 米田の星と米田埋め込み」で次のように書きました。…
絵図的手法とは、視覚化可能な組み合わせ構造〈visualizable combinatorial structure〉を使って代数系や現実のシステムを記述・計算する方法・技術です。視覚化可能な組み合わせ構造の重要な種別として半グラフ〈semi-graph〉があります。半グラフは1次元の…
ストリング図を描く際に、ボックス〈ノード〉は基本的かつ重要な描画要素です。絵に描いたボックスに対応する組み合わせ構造はいったい何なのでしょう? ボックスは、色付きコレクションの視覚化なのだとみなすのが良さそうです。なので、この記事では色付き…
すべての小さい2-圏(厳密2-圏とは限らない)達を対象とする3-圏 $`{\bf 2Cat}`$ があります。$`\mathcal{K}, \mathcal{L} \in |{\bf 2Cat}|`$ のとき、ホム2-圏 $`{\bf 2Cat}(\mathcal{K}, \mathcal{L})`$ が構成できます。ホム2-圏のk-射を(2, k)-変換手〈…
一応書き終わってはいるのですがまだ投稿してないブログ記事があります。そのなかで、ちゃんと定義するのがめんどうなので雰囲気的な説明だけした上で、“生〈なま〉の2-関手”と“生〈なま〉の2-自然変換”という言葉を使っています。気持ちとしては、「料理の…
スケマティック系〈schematic system〉というものを考えているのですが、そのために(たぶん)必要なことを順不同で書いていきます。ひとつの節でひとつのトピックを扱います。節から節へ、ゆるい流れはありますが、節と節とのあいだに強い関係性はないです…
この記事内では、「型」と「集合」は同義語です。つまり、sets-as-types の立場をとります*1。集合〈型〉のファミリー〈族〉があったとき、それからシグマ型とパイ型を構成できます。この構成は、次のような写像を与えます。$`\quad \sum, \prod: |{\bf Fam}…
「代数」は色々な意味で使われる曖昧多義語です。代数学という数学の分野を「代数」と呼ぶことがあります。掛け算を持つベクトル空間(より一般には加群)を「代数」と呼ぶこともあります。ここでの「代数」は、特定の代数系(例えば群とか環とか)ではなく…
「抽象テンソルシステムは縮約付き色彩的モノイド・スピシーズ」において、キッシンジャー〈Aleks Kissinger〉の抽象テンソルシステムを、色パレットとスピシーズを用いて再定義しました。再定義された抽象テンソルシステムは、色概念を導入しているので色彩…
アーレクス・キッシンジャー〈Aleks Kissinger〉の抽象テンソルシステムは、テンソル計算の手順的側面の抽象化として便利です。が、ラベル集合とリラベリング写像の扱いがイマイチな感じがします。アンドレ・ジョイアル〈André Joyal〉のスピシーズ〈組み合…
「絵図的手法: 中間整理」を書いた後で、つまり昨日、ダンクソ/ハラーチェバ/ロバーツォンの次の論文を見つけてザッと眺めてみました。 [DHR20] Title: Circuit algebras are wheeled props Authors: Zsuzsanna Dancso, Iva Halacheva, Marcy Robertson S…
以下は、最近書いた記事のリスト(並びは日付順)です。内容は、絵図的〈pictorial | graphical | diagrammatic〉手法に関するものです。 テンソルの可視化のための半グラフ 型付き半グラフと指標 半グラフからシステムの記述へ 入れ子の半グラフとバエズ/…
「半グラフからシステムの記述へ」においてスケマティック圏という概念を述べました。しかし、ハッキリした定義を提示したわけではなくて、曖昧に導入しています。 スケマティック圏〈schematic category〉は、特定の圏の固有名ではなくて、圏の種類です。公…
この記事は、後で書く予定の記事から参照されることを意図しています。2つの不動点なし対合に対して、ある種の結合(オペラッド結合と呼ぶのですが)を定義して、それが再び不動点なし対合になることを示します。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newco…
階層的なシステムの絵図的〈pictorial | graphical | diagrammatic〉記述として入れ子の半グラフがあります。入れ子の半グラフについては、「半グラフからシステムの記述へ」で述べました。入れ子の半グラフと概念的には同じですが、別な描画法としてバエズ…
次の2つの過去記事で半グラフ/型付き半グラフについて述べました。 テンソルの可視化のための半グラフ 型付き半グラフと指標 半グラフ/型付き半グラフの使いみちとして、システムの記述があります。システムは階層的に構成されることがあります。階層的な…
小ネタ。$`V`$ をベクトル空間として、$`A, B`$ は $`V`$ の部分空間〈部分ベクトル空間〉だとします。そのとき、$`\quad A + B = V \Leftrightarrow A \oplus B \cong V`$という話をします。ここで、$`\oplus`$ はベクトル空間の直和です。$`+`$ は後で説明…
「テンソルの可視化のための半グラフ」において、半グラフの定義をひとつに決めました。素の半グラフ〈plain semi-graph〉だけでなくて、様々な構造を追加した半グラフ〈structured semi-graph〉も必要になります。ここでは、ポートに(必然的にワイヤーにも…
以下の2つの過去記事で半グラフ〈semi-graph〉を扱っています。 半グラフの様々な定義 サークルを持つ半グラフ 心づもりとしては、キッシンジャー〈Aleks Kissinger〉の抽象テンソルシステム〈abstract tensor system〉(本文内の[Kis13])や物理で出てくる…
「だいたい圏になる: 概圏」において次のように書きました。 $`\mathcal{C}`$ から $`\mathcal{D}`$ を作る行為は、ダイアレクト構成〈dialect construction〉と呼ばれる構成法の一部です。 「ダイアレクト構成」に言及したものの、「それって何だっけ?」…
「だいたい圏になる: 概圏」の概圏の事例の記述がグダグダでした。修正を入れましたが、もとの文言をできるだけ残して修正・追記しているので読みにくいかも知れません。整理してもう一度最初から述べます。概圏の3つの事例を、3つの構成〈construction〉と…
「スパンの圏って定義できるの?」において、素朴に「スパンを射とみなす」だけでは圏にならないことを注意しました。しかし、“圏もどき”にはなっています。スパンの圏以外でも、「けっこう圏に近い圏もどき」が出てきます。このとき、何の断りもなく圏扱い…
随伴系〈adjunction | adjoint system〉は既に知られているとして、随伴系をカン拡張の枠組みで解釈できるでしょうか? できます。やってみます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\twoto}{\Rightarrow …
米田の補題は既に知られているとして、米田の補題を左カン拡張の枠組みで解釈できるでしょうか? できます。やってみます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\twoto}{\Rightarrow } \newcommand{\In}{\t…
過去記事「アドホック随伴系と自由対象・台対象」において、次のように書きました。 抽象的構造を記述する際に、その構成素〈constituent〉達の名前(記号ラベルと役割り名)をどう付けるかはどうでもいいのです...[snip]... 名前のズレがあると「どうでもい…
米田の補題から言えることのひとつに、「自然変換はそんなに多くはない」ことがあります。2つの関手 $`F, G`$ のあいだの“すべての自然変換”というと、初見では、そもそも通常の集合〈小さい集合〉になるのかさえ不安ですが、たいていは通常の集合として記述…
「データベース:: テーブル構造とデータベース構造」において: 関係データベースは、テーブルのあいだの参照(外部キー)メカニズムを持っています。システムが組み込みで持っているメカニズムを、数理モデルに取り込まないわけにはいかないので、参照はデ…
圏論の「普遍性」という言葉は、曖昧多義で何を言っているか分からなくなるリスクがあるので、個人的には使わないようにしています。「普遍性」「普遍対象」などの代わりに、(とある圏)の終対象または始対象である旨を明示することが多いです。とはいえ、…
割とよく使われる概念であっても、合意された名前がないと、ソレについて語ることが困難です。随伴系〈adjunction | adjoint system〉にはなっていない“随伴系もどき”はけっこう登場するのですが、これといった名前はないようです。ここでは、ソレをアドホッ…