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参照用 記事

2023-01-01から1年間の記事一覧

貼り合わせ代数

今年〈2023年〉の夏くらいから、絵図的手法のフレームワークとして、スケマティック系というものを考え始めました。スケマティック系に関連する記事は「スケマティック系のハブ記事」からたどれます。スケマティック系の素材として、半グラフやバエズ/ドー…

カン拡張の左右: 混乱する原因がわかった!

カン拡張の左右について何度も書いています。 カン拡張における上下左右: 入門の前に整理すべきこと ガーッ! また左と右が。カン拡張 カン拡張の左右の憶え方をもうひとつ それでもカン拡張の左右を忘れてしまう 右カン拡張の eval は run これだけ左右を話…

原子射と末端射

2012年に「デジタルなモノイド」という記事を書きました。モノイド $`M`$ に「原子的な要素」という概念があり、$`M`$ が原子的な要素で生成されているとき、$`M`$ はデジタルっぽいよね、という話です。「原子的なもので生成されている」ということを、モノ…

斜め射と斜め圏

「亜群をベースとする圏類似構造: コステロの事例」において次のように書きました。 ケビン・コステロが定義した“グラフの圏”は、実際には圏になってません。しかし、ほとんど圏と同様に扱えますし、役に立ちます。 「コステロの半グラフ圏から二重関手意味…

バエズ/ドーラン茂みの対称モノイド亜群

ここしばらく、半グラフを調べていたのですが、半グラフだけを考えていてもダメそうだ、と思いました。半グラフが描かれているキャンバスも一緒に考えないと辻褄が合わないようなのです。半グラフを調べていた動機は、ワイヤリング図の下部構造になりそうだ…

メタ計算メカニズムとしての半グラフ変形

「半グラフの二重圏と半グラフ変形」において、半グラフ変形をアルゴリズム的に捉えるために、基本変形を指令〈instruction〉と呼び、指令ニモニック(指令を表す記号)を組み合わせたある種のプログラムコードとして指令半グラフを導入しました。指令や指令…

プッシュアウトによる半グラフ接合の定義

「半グラフに関わる諸概念 // 半グラフの接合」において、マッチャー(「半グラフに関わる諸概念 // マッチャー」参照)を使った半グラフの接合の定義を与えました。もっとカッコイイ定義を思いつきました。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand…

強化ファインマン・グラフとバタニン/バーガー半グラフ

「幾何半グラフの組み合わせ的表現(新方式)」で提案した組み合わせ半グラフを、ジョイアル/コック半グラフと比較してみます。新しい方式は、ジョイアル/コック方式より表現力が高くなっています。また、バタニン/バーガー半グラフを紹介し、新しい方式…

幾何半グラフの組み合わせ的表現(新方式)

具体例として、$`X`$ と名付けられた次の幾何半グラフを考えます。幾何半グラフについては、「半グラフのあいだのエタール射 // 幾何半グラフと組み合わせ半グラフ」を参照してください。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\bdry}{\partial }…

半グラフに関わる諸概念

「スケマティック系のために: 雑多な予備知識」の最後で次のように述べました。 スケマティック系を定義するために必要そうな雑多な予備知識は他にもあります。 ...[snip]... これらについては「その2」として述べるかも知れません。 この記事は「その2」に…

半グラフのあいだのエタール射

半グラフのあいだの準同型写像(半グラフ変形ではない)がエタールであることを、近傍関手とデカルト四角形〈プルバック図式〉により特徴付けます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\In}{\text{ in } } \newcommand{\bdry}{\partial } \new…

順列・組み合わせと群作用の軌道空間

高校数学の順列・組み合わせについて聞かれると「それよく知らないんだよ」と答えていたのですが、「知っていたほうがいいかもな」と思って調べてみました。で、“組み合わせの数”の公式を正確に記述するのはけっこう難しいな、と感じました。“組み合わせの数…

群作用の自由性:「論理式で書いてくれ」の続き

群の作用がナントカ -- おぼえられない んもう、どっちなんだよ? 論理式で書いてくれ "group free action"に対するGoogleの生成AIの応答は:$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1} } \newcommand{\Imp}{\Rightarrow }`$ すべての安定化子が単純であること 「…

んもう、どっちなんだよ? 論理式で書いてくれ

「群の作用がナントカ -- おぼえられない」において、(脚注で)次のように書きました。 自然言語だと曖昧だし...[snip]... 実際、自然言語文が曖昧で free の意味を論理式に翻訳するのに苦労しました。 で、その曖昧な free の定義というのは、だいたい次の…

半グラフ変形とDead-Or-Alive構造

半グラフとその変形を理解したいと思っているわけですが、その手段として、半グラフ上のDead-Or-Alive構造が有効そうです。Dead-Or-Alive構造が何であるかは本文で述べるとして、注目すべきことは、半グラフ $`\alpha`$ をとると、その上のDead-Or-Alive構造…

半グラフの二重圏と半グラフ変形

ここのところ、半グラフに関する記事を幾つか書いています。それらは、次のハブ記事から参照できます。 スケマティック系のハブ記事 // 半グラフ すべての半グラフ達により形成される社会は、いったいどういう構造なのだろう? と考えてみると; 圏でも2-圏…

モノイド圏から作る複圏と多圏

モノイド圏があると、それから複圏と多圏が作れます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\In}{\text{ in } } \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\Lis}[1]{\langle {#1} \rangle} \newcommand{\MComp}[1]{ \mathop{;_{#1}} } \n…

開放ツリー: 半グラフ・ベースのツリー

半グラフは、グラフの拡張概念で、辺の両端に頂点があることを要求しません。片側しか頂点がない辺、頂点と接続してない辺も認めます。ツリーは、グラフのなかでも特によく使われるものです。ツリーを半グラフ・ベースで考えたらどうなるでしょうか? グラフ…

複余有向コンテナ〈オペラッドコンテナ〉によるオペラッドの定義

アーマン/チャップマン/ウウスタル〈Danel Ahman, James Chapman, Tarmo Uustalu〉による有向コンテナは、圏と同値な構造です。コンテナをベースにした定義であることから幾つかのメリットがあります。有向コンテナの“ある種の双対”をとった余有向コンテナ…

ハイパーグラフが要らない理由

「ハイパーグラフって要らないよなー」と、なんとなく思っていました。なんで要らないのだろう? と考えてみました。ハイパーグラフを、なんらかの事物・概念を表す描画法と捉えたとき、もっと有能で使い勝手がいい描画法があるので要らない、ってことです。…

複グラフが定義するモノイド多項式関手

有向グラフであって、有向辺のソースとして“複数の頂点のリスト”を許す構造が複グラフ〈multigraph〉です。複グラフがあると、それからある種の多項式関手を定義できます。その多項式関手は、複グラフの頂点集合をインデキシング集合としてモノイド圏に値を…

コステロの半グラフ圏から二重関手意味論へ

直前の記事「コステロの半グラフ圏によるシステム記述」で使用したコステロの半グラフ圏はホントに使い勝手が良いです。半グラフ圏の部分圏をとったり、半グラフ圏の変種を考えることにより、色々な応用ができます。しかし、その定義にやや曖昧なところもあ…

コステロの半グラフ圏によるシステム記述

2ヶ月半ほど前に「半グラフからシステムの記述へ」という記事を書きました。半グラフ(関連記事へのリンクは「スケマティック系のハブ記事 // 半グラフ」)は、ワイヤーに向きがないワイヤリング図/ストリング図だと思ってかまいません。無向ワイヤリング図…

スケマティック系のハブ記事

この記事には内容的な記述はありません。スケマティック系関連の記事へのリンク集となります。スケマティック系の概略と目的は、「スケマティック系のために: 雑多な予備知識 // 絵図的手法とスケマティック系」に書いています。 スケマティック系 半グラフ…

亜群をベースとする圏類似構造: コステロの事例

ケビン・コステロが定義した“グラフの圏”は、実際には圏になってません。しかし、ほとんど圏と同様に扱えますし、役に立ちます。射の結合可能性条件を等式から同型に緩めた事例として興味深く示唆に富みます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcomma…

集合の操作と基数の性質

集合論で許されるありとあらゆる集合の集まりを $`\mathbb{V}`$ と書くことにします。$`\mathbb{V}`$ は集合ではないし、その外を考えることは許されないので、集合達の絶対的大宇宙と言えます。$`\mathbb{V}`$ は集合ではないので、集合のように扱うことは…

亜群上の豊穣複グラフ: 豊穣化・基礎強化の例

圏の概念を一般化する方法として、豊穣化と内部化があります。例えば、圏達の圏で豊穣化した豊穣圏は厳密2-圏です。圏達の圏に内部化した内部圏は二重圏です。豊穣化ではホムセットが集合以外のモノになり、内部化では対象集合/射集合が集合以外のモノにな…

ローヴェア・セオリーとその周辺

ローヴェア〈William Lawvere〉は、彼の学位論文で「セオリー」という概念を導入しました。現在、ローヴェアのセオリーに対する色々な呼び名がありますが(「用語のバリエーション記述のための正規表現 // ウンザリする例」参照)、ここではローヴェア・セオ…

オペラッドの話

「オペラッド〈operad〉」という言葉は非常によく使われるのですが、僕は「オペラッド」の同義語として「複圏〈multicategory〉」を好んで使っていました。その理由は、「圏〈category〉 → 複圏〈multicategory〉 → 多圏〈polycategory〉」というきれいな拡…

圏スタンピング・モナドの代数は前層/余前層

「左加群は前層、右加群は余前層、双加群はプロ関手」の続きです。余前層としての右加群(または前層としての左加群)が、ファミリー〈集合族〉の圏上のモナドのアイレンベルク/ムーア代数になってるよ、という話です。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}…