バタニン/マークル〈Michael Batanin, Martin Markl〉のオペラディック圏は、オペラッドを定義するための道具ですが、“ファイバーの計算”を抽象化したものだともみなせます。この記事では、抽象化する前の具象的な“ファイバーの計算”、つまり集合圏の部分圏…
圏 $`\mathcal{C}`$ とその対象 $`c`$ に対して、スライス圏〈オーバー圏〉$`\mathcal{C}/c`$ を定義できます。このとき使われるスラッシュは、二項演算子記号のように見えます。そうだとすると、スラッシュの実体(セマンティクス)である演算とはどのよう…
久々に論理の話をします。論理とはいっても、形式化された論理〈formal logic〉の話ではなくて、“ちゃんと考えるための技法”といった意味の論理です。「命題と判断は区別しましょう」が僕がこの記事で言いたいことです。$`\newcommand{\Holds}{ \mathrel{|\!…
n-圏達を対象とする(n + 1)-圏を $`n{\bf Cat}`$ と書きます。特に、$`{\bf Cat} = 1{\bf Cat}`$ です。$`{\bf Cat}`$ は、1-圏達を対象とする(1 + 1)-圏です。また、$`{\bf Set} = 0{\bf Cat}`$ です。$`{\bf Set}`$ は、0-圏達を対象とする(0 + 1)-圏です…
「双遷移系達の3次元の圏」で述べた3次元の圏類似代数系のプロ射(プロ方向の1-射)は双遷移系です。プロ射のプロ方向への結合は、双遷移系のテンソル積で与えられます。この記事で、双遷移系のテンソル積を定義します。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1}…
「丹原プロ関手の二重圏、いやっ三重圏?」において、とある3次元の圏が存在しそうだ、と述べました。しかし、その3次元の圏の構成はかなり手間がかかる作業です。設定を単純化して、手間を減らしましょう。「丹原プロ関手の二重圏、いやっ三重圏?」で「モ…
「ヒューズ・アローと丹原プロ関手」では早とちりをやらかしてしまいました。丹原プロ関手を2-射〈二重射〉とする二重圏の(特別な形の)モノイドがヒューズ・アローになるかと思ったんですが、それは違うようです(追記の節「追記: 誤認と間違い」参照)。…
最近のマイブームは二重圏です(「二重圏、縦横をもう一度」参照)。既存の概念を二重圏ベースで再考してみるとちょっと楽しいです。アローは、ジョン・ヒューズ〈John Hughes〉が考案した関数プログラミングの道具・手法です。ヒューズのアローを二重圏ベー…
二重圏に関する用語は、「二重圏、縦横をもう一度」を見てください。2-圏の図式順演算子記号は次のようにします。 1-射の結合と2-射の横結合 : $`*`$(アスタリスク) 2-射の縦結合 : $`;`$(セミコロン) 1-射と2-射のヒゲ結合〈whiskering〉: $`*`$(ア…
「関手は自然変換」という記事で、関手の射パートが自然変換になることを指摘しました。この記事では、自然変換が関手として解釈可能なことを説明します。自然変換が関手であることを、アロー構成〈Arr構成〉に関する“とある公式”の特別なケースと位置付けま…
「圏論におけるフレーム充填問題」で、二重圏や2-圏におけるフレーム充填問題の事例を挙げました。1-圏、つまり通常の圏でもフレーム充填問題とその解を考えることができます。通常の圏における重要な概念も、フレーム充填問題の“最良の解”として定義できま…
最近の記事「添加仮想二重圏」で、添加仮想二重圏〈augmented virtual double category〉を定義しました。添加仮想二重圏の2-射の形状をこの記事でまとめておきます。2-射のソースとターゲットは、プロ射のパスです。ただし、ターゲットのパスは長さ1以下で…
「添加仮想二重圏」において、「フレーム」という言葉を出しました。フレームは、2-射(2次元の射)の境界のことです。境界は幾つかの1-射達/0-射達の組み合わせです。境界全体ではなくて、境界の一部分のことも「フレーム」と呼ぶことにすると、与えられた…
二重圏の拡張である仮想二重圏〈virtual double category〉、添加仮想二重圏〈augmented virtual double category〉に興味がわいて、次の2つの論文をポチポチと拾い読みしています。 [Kou19-22] Title: Augmented virtual double categories Author: Seerp R…
「カン拡張/カン持ち上げと上ホム対象/下ホム対象、充填三角形」への補遺です。内容: ペースティング図の充填問題 ストリング図で描くと ペースティング図の充填問題以下は「カン拡張/カン持ち上げと上ホム対象/下ホム対象、充填三角形」で出した右カン…