2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧
次の2つの過去記事で半グラフ/型付き半グラフについて述べました。 テンソルの可視化のための半グラフ 型付き半グラフと指標 半グラフ/型付き半グラフの使いみちとして、システムの記述があります。システムは階層的に構成されることがあります。階層的な…
小ネタ。$`V`$ をベクトル空間として、$`A, B`$ は $`V`$ の部分空間〈部分ベクトル空間〉だとします。そのとき、$`\quad A + B = V \Leftrightarrow A \oplus B \cong V`$という話をします。ここで、$`\oplus`$ はベクトル空間の直和です。$`+`$ は後で説明…
「テンソルの可視化のための半グラフ」において、半グラフの定義をひとつに決めました。素の半グラフ〈plain semi-graph〉だけでなくて、様々な構造を追加した半グラフ〈structured semi-graph〉も必要になります。ここでは、ポートに(必然的にワイヤーにも…
以下の2つの過去記事で半グラフ〈semi-graph〉を扱っています。 半グラフの様々な定義 サークルを持つ半グラフ 心づもりとしては、キッシンジャー〈Aleks Kissinger〉の抽象テンソルシステム〈abstract tensor system〉(本文内の[Kis13])や物理で出てくる…
「だいたい圏になる: 概圏」で、概圏〈almost category〉という概念を提案しました。概圏が通常の圏〈局所小圏〉と違う点は: [ホムセットのサイズ] ホムセットが小さくなくてもよい。 [法則の緩さ〈ゆるさ〉] 法則〈公理〉が等式的でなくてもよい。 「概圏…
「だいたい圏になる: 概圏」において次のように書きました。 $`\mathcal{C}`$ から $`\mathcal{D}`$ を作る行為は、ダイアレクト構成〈dialect construction〉と呼ばれる構成法の一部です。 「ダイアレクト構成」に言及したものの、「それって何だっけ?」…
「だいたい圏になる: 概圏」の概圏の事例の記述がグダグダでした。修正を入れましたが、もとの文言をできるだけ残して修正・追記しているので読みにくいかも知れません。整理してもう一度最初から述べます。概圏の3つの事例を、3つの構成〈construction〉と…
「スパンの圏って定義できるの?」において、素朴に「スパンを射とみなす」だけでは圏にならないことを注意しました。しかし、“圏もどき”にはなっています。スパンの圏以外でも、「けっこう圏に近い圏もどき」が出てきます。このとき、何の断りもなく圏扱い…
随伴系〈adjunction | adjoint system〉は既に知られているとして、随伴系をカン拡張の枠組みで解釈できるでしょうか? できます。やってみます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\twoto}{\Rightarrow …
米田の補題は既に知られているとして、米田の補題を左カン拡張の枠組みで解釈できるでしょうか? できます。やってみます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\twoto}{\Rightarrow } \newcommand{\In}{\t…
過去記事「アドホック随伴系と自由対象・台対象」において、次のように書きました。 抽象的構造を記述する際に、その構成素〈constituent〉達の名前(記号ラベルと役割り名)をどう付けるかはどうでもいいのです...[snip]... 名前のズレがあると「どうでもい…
米田の補題から言えることのひとつに、「自然変換はそんなに多くはない」ことがあります。2つの関手 $`F, G`$ のあいだの“すべての自然変換”というと、初見では、そもそも通常の集合〈小さい集合〉になるのかさえ不安ですが、たいていは通常の集合として記述…
「データベース:: テーブル構造とデータベース構造」において: 関係データベースは、テーブルのあいだの参照(外部キー)メカニズムを持っています。システムが組み込みで持っているメカニズムを、数理モデルに取り込まないわけにはいかないので、参照はデ…
圏論の「普遍性」という言葉は、曖昧多義で何を言っているか分からなくなるリスクがあるので、個人的には使わないようにしています。「普遍性」「普遍対象」などの代わりに、(とある圏)の終対象または始対象である旨を明示することが多いです。とはいえ、…
割とよく使われる概念であっても、合意された名前がないと、ソレについて語ることが困難です。随伴系〈adjunction | adjoint system〉にはなっていない“随伴系もどき”はけっこう登場するのですが、これといった名前はないようです。ここでは、ソレをアドホッ…