昨日は、謙譲語とか奇妙な過去形とかに対し、なんか小うるさいことを言っているのだが、実際のところ僕は、言葉の由来だの正当性とかに興味はない。正統的な用法が少数派になってしまえば、かつては誤用であっても多数派の用法が“正しい”のだと思う。
そういう意味では、先週の土曜にやっていたテレビのクイズが実にバカバカしかった。漢字の正しい読みを問うクイズ。実際には、たしか「本来の読み」と言っていたようだが、出演者も視聴者も「正しい読み」と解釈してしまう状況だった*1から、正しい読みを問うクイズと捉えていいだろう。
「発足」が「ほっそく」か「はっそく」かあたりはまだ現実性があったけど、「七日」は「なぬか」が正解だってのはあきれた。その理由がまた「広辞苑にはそう出ている」と。月曜の朝には、「『七日』は、正しくは『なぬか』って読むんだぞ、ウソだと思うなら広辞苑引いてみな」とか得意げにしゃべっている人が全国では二十六人くらいはいたろう。
さらには、「今度の会議はなぬかにします」とか言ってしまう課長とかね。そのとき課員がどういう顔するか想像できるでしょ -- そういうのが正しい言葉使いなの?
*1:「言葉の歴史に関する問題」というような雰囲気じゃなくて、「本来の用法」が規範であるような印象を与えていた。