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参照用 記事

2025-01-01から1年間の記事一覧

ニューラル拡散におけるセルラー層と層ラプラシアン

次の論文を斜め読みしました。 [BGCLB23-] Title: Neural Sheaf Diffusion: A Topological Perspective on Heterophily and Oversmoothing in GNNs Authors: Cristian Bodnar, Francesco Di Giovanni, Benjamin Paul Chamberlain, Pietro Liò, Michael M. Br…

包括関手と包括自然変換(混乱しがち)

「型理論などの引っ越し準備 その2 // 包括自然変換」にて: 「自然変換は関手」で述べたように、アロー圏への関手は自然変換を定義します。包括関手 $`\rho`$ から定義される自然変換を同じ名前で(オーバーロードして)$`\rho`$ とします。 包括関手と包括…

型理論などの引っ越し準備 その2

「型理論/論理/インスティチューション理論の引っ越し準備」の続きです。タイトルが長いので少し短くしました。「型理論など」は「型理論/論理/インスティチューション理論」のことです。包括圏の変種(ある種の双対)や包括圏に対する付加的構造につい…

親切に教えてあげている

Microsoft Edge 付属の Copilot、「なんでお前に親切に教えてあげないといかんのよ?」と思ってしまうが‥‥ 最後にオベッカ使ってとりなそうとすな。

レノボとThinkPadにはもうガッカリだぜ(サポートのメール全文公開)

僕は、ThinkPad がIBM製品だった時代から今まで、ThinkPad をずっと使い続けています。次の写真の下側のノートPCは ThinkPad X1 Carbon Gen 12 で、上に載っている汚れた箱は ThinkPad 701C (バタフライキーボード)の模型の箱です。模型は ThinkPad 10周年…

ヒルベルトのイプシロン記号とボトム

「ヒルベルトのイプシロン記号のうまい使い方」において、ヒルベルトのイプシロン記号を集合ではなくて集合族に作用させると具合がいい、という話をしました。このことを別な側面から見てみます。$`A`$ が空でない集合のとき、$`\varepsilon\, A`$ は、$`A`$…

また「普遍性」について

普遍性については過去に何度か述べています。 圏論の普遍性が難しい理由 カン拡張の普遍性とは? 圏論的な普遍構成の代表的な例 前層の表現可能性 再論:指標による記述 「普遍性」という言葉の使い方が無駄に難しいので、出来れば避けたほうがいいだろう、…

モノイド指標と自由拡張

“モノイド指標”や“等式を含むモノイド指標”は、デカルト圏のなかの代数構造の定義などによく使われます。必ずしもデカルト圏でなくても、“モノイド指標/等式を含むモノイド指標”は使えます。例えば、圏の自己関手達の関手圏は対称でさえないモノイド圏です…

圏論的コアージョン

コアージョン〈coercion〉とは、同じ名前・記号の意味を文脈に応じて変える行為のことです。「どんな文脈ではどんな解釈をするか」という規則はコアージョン規則といいます。ソフトウェアでコアージョンを実装する場合は、コアージョン・グラフというデータ…

米田原理とシーケント計算

エミリー・リエル〈Emily Riehl〉の講義動画の最初のほう(10分くらい)で、ベクトル空間の分配法則の圏論的証明が紹介されています。これは、証明原理としての米田の補題/米田埋め込みとシーケント計算の関連性を示唆していて、なかなか興味深いですね。$`…

とあるコンマ圏は要素の圏: 米田マジック

表題の「とあるコンマ圏」をちゃんと言うと: 圏 $`\mathcal{C}`$ の米田埋め込み $`よ_\mathcal{C}`$ と、$`\mathcal{C}`$ 上の前層 $`X`$ から作られるコンマ圏 $`(よ_\mathcal{C} \downarrow X)`$ 表題の主張は次の圏同値があることです。$`\quad (よ_\ma…

インデックス付きn-圏

インデックス付き圏〈indexed category〉の一般化として、インデックス付きn-圏を定義します。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}} \newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\msc}[1]{\mathscr{#1}} %\newcomman…

余域関手のデカルト射はプルバック四角形

過去記事「関手のデカルト射とファイバー付き圏」で次のように述べました。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} `$ 今詳しく説明はしませんが、次の事実は重要です。 圏 $`\cat{C}`$ のアロー圏 $`\mrm{Arr}(\cat{C})`$…

バンドル-ファミリー対応と随伴トリプル

「バンドル-ファミリー対応を簡潔に書く」で導入した簡潔な記法((-1)乗の書き方)により、随伴トリプルを記述してみます。内容: バンドルの随伴トリプル ファミリーの随伴トリプル バンドルとファミリー バンドルの随伴トリプル次はプルバック四角形です。…

バンドル-ファミリー対応を簡潔に書く

https://x.com/m_hiyama/status/1966421418729763136 にて: (-1)乗の記法はオーバーロードが激しいので「これ以上に用法を増やしたくない」という気持ちはあるのだが:ファイブレーション α のファミリー(あるいはインデキシング)は α^{-1} と書くのが一…

型理論、インスティチューション理論、構文モナドの概要

https://x.com/m_hiyama/status/1965268093120512343 にて: 異なる分野を対応付けると概念が節約できて覚えることが劇的に減る。 だけど、用語はまったく減らないし、用語法がシッチャカメッチャカになって混乱するのは永遠の悩み。 シッチャカメッチャカに…

相対モナドのアイレンベルク/ムーア圏 補遺

相対モナド $`T`$ を、記号の乱用をしないで書くと:$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} % \quad T = (C^T, \eta^T, \mrm{Ext}^T)/J `$ ここで、$`J:\cat{C}\to \cat{D}`$ はルート関手〈root functor〉とします。各構…

相対モナドのアイレンベルク/ムーア圏

相対モナドのクライスリ圏は簡単に作れます。が、アイレンベルク/ムーア圏はそれほど簡単ではありません。アイレンベルク/ムーア代数の定義はやや奇妙です。しかし、相対モナドの拡張スタイルの定義とは相性が良い定義になっています。$`\newcommand{\cat}…

アブラムスキーが語る、普通のデータベースで普通に起きる量子的現象

最近、データベースに関する記事「概念的に単純明快合理的なデータベース問い合わせ言語 その1」を書きました。それで、データベース関連のキーワードで検索しているうちに、すごく面白いモノを見つけてしまいました。とりあえず「コレは面白そうだ」と言っ…

概念的に単純明快合理的なデータベース問い合わせ言語 その1

データベースの話をしようと思ったのですが、そこで使う疑似コード用の疑似問い合わせ言語の説明が長くなってしまうので、独立した記事にしよう、と。この記事がそれです。が、1回分にはまだ長いので、この記事は「その1」です。データベースの問い合わせ言…

スケマティック系の振り返りと整理 その2

「スケマティック系の振り返りと整理」の続きです。前回触れなかった2つのことを述べます。 例外辺と例外ループの扱い方 スケマティック系の構成素達とその相互関係 $`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1}} \newcommand{\m…

スケマティック系の振り返りと整理

スケマティック系(最初の名前はスケマティック圏)を考え始めたのは2023年夏です。2024年はスケマティック系について考える機会はそれ程ありませんでした。スケマティック系に関する過去記事は、以下のハブ記事からリンクがあります。 スケマティック系のハ…

ボリソフ/マニン半グラフの圏: ハマったところ

半グラフに関する過去記事を見返していて、「これマズイな」と思ったところがあります。 半グラフの併置を余デカルト積〈圏論的直和〉だと書いていた。 半グラフ変形に切断〈cut〉を入れていた。 明白に間違っていた箇所は一箇所ずつで、追記で修正すれば済…

圏達の圏のなかのスパン達の二重圏(動機も)

「あー、なんか分かったかも」という気分。半グラフ達が作る圏や複圏〈オペラッド〉に関して長いことモヤモヤしてたのですが、霧が晴れそうです。これで、スケマティック系のまともな定式化も出来そう。要するに道具立てが足りてなかったのです。その道具立…

ボリソフ/マニン半グラフと半グラフ変形の形式的定義

最近また半グラフに興味を持っています。半グラフの定義は色々あるので、「半グラフの様々な定義」と「強化ファインマン・グラフとバタニン/バーガー半グラフ」で各種の定義を紹介しています。一番扱いやすい半グラフの定義は、ボリソフ/マニンによるもの…

集合、商集合、標準射影: 半グラフ変形のために

集合上に同値関係があると、商集合を作れます。もとの集合から商集合に向かって標準射影(と呼ばれる全射)が作れます。集合を対象として標準射影だけを射とする圏を作りたいと思います。なぜ標準射影だけを射とする圏が欲しくなったかと言うと、半グラフ達…

属性付き半グラフ

以下の過去記事達で属性付きn-グラフ(主に n = 0, 1, 2)について述べました。 属性付き2次元グラフ: 図式言語の基本 属性付き2-グラフのスノーグローブ現象 属性付きn-グラフはいけてる この記事では、グラフ〈有向グラフ〉を半グラフ〈無向半グラフ〉に…

モノイド圏の「装備〈supply〉」って言葉の使い方

サプライ〈supply〉は、フォングとスピヴァックにより定義された、対称モノイド圏に対する付加的構造のことです。 [FS19-20] Title: Supplying bells and whistles in symmetric monoidal categories Authors: Brendan Fong, David I Spivak Submitted: 7 Au…

単純レンズをグロタンディーク・レンズに埋め込む

状態遷移系に関する補足小ネタ その2:「状態遷移系達の二重圏の直接的定義」で定義したグロタンディーク・レンズの圏を $`\mathbf{Lens}`$ 、単純レンズ〈元祖レンズ〉の圏を $`\mathbf{SimpLens}`$ とします。$`\mathbf{SimpLens}`$ を $`\mathbf{Lens}`$ …

有限コレクションとスケマティックなシステム記述

直前の記事とそのひとつ前の記事に、注釈を追記しました。「マイヤースのシステム理論への違和感と代替案」への追記: 思いつきを記したのですが、この思いつきをちゃんとした形にするのはだいぶ難しいようです。入出力によって結合した複合システム $`\Phi;…