Cがデカルト圏だとは次のことです。
- Cには終対象がある。
- Cには二項の直積がある。
この2つのことから、すべての有限離散図式の極限の存在は保証できます。
上記のデカルト圏の定義を言い換えてみましょう。この言い換えは、次の概念を確認するために良い練習問題です。
- デカルト圏
- 圏の直積(圏のなかの直積ではなくて、2つの圏の直積)
- 随伴関手
まず、1を単一対象の自明な圏とします。
- Obj(1) = |1| = {*}
- Mor(1) = {id*}
圏Cから圏1への関手は一意的に決まるので、それをSとします。S:C→1 。
次に、圏Cの自分自身との直積(自乗)C×C を作り、対角関手をDとします。D:C→C×C 。
まとめると:
- S = λx.* : C→1
- D = λx.(x, x) : C→C×C
関手SとDは、どんな圏に対しても定義できます。Cがデカルト圏であることは、次のように言えます。
- S:C→1 に右随伴関手が存在する。
- D:C→C×C に右随伴関手が存在する。
Sの右随伴をT、Dの右随伴をPとすると、次のように書けます(イコールは自然な同型)。
- 1(S(X), *) = C(X, T(*))
- (C×C)(D(X), (A, B)) = C(X, P(A, B))
T(*)がCの終対象、P(A, B)がAとBの直積を与えます。