とあるキッカケがあって、マッテーオ・カプチとディビッド・ジャズ・マイヤースの講演アブストラクトを眺めてみました。 [CM23] Title: Constructing triple categories of cybernetic processes Authors: Matteo Capucci, David Jaz Myers Date: 2023/11/11…
この記事は、他の記事で述べていなかった(抜け落ちていた)事項を説明します。他の記事(過去記事も含む)から参照することを目的にしています。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} } \newcommand{\cat}[1]{ \mathcal{#1} } \newcommand{\In}{\text{ in }…
ファイバーの計算(「ファイバーの計算 基本概念」参照)において、バンドル-ファミリー対応は基本となる事実です。これは、スライス圏〈オーバー圏 | バンドルの圏〉とファミリーの圏が圏同値となることです。バンドル-ファミリー対応を短く書けば $`\mathc…
ファイバーの計算に関する一連の記事(「ファイバーの計算 基本概念」参照)を書いているのですが、この記事は他の記事を参照しなくても(なるべく)独立に読めるようにします。ファイバーの計算は、関数のファイバー〈逆像〉に関する具体的な計算と、それを…
「木と林(有向グラフ)」より: 頂点〈ノード〉の高さと林/ツリーの高さは、関連してますが別な概念なので混同しないようにしましょう。 別な概念は別な名前を付けたほうがいいですね。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} }\newcommand{\cat}[1]{\mathca…
「木と林(有向グラフ)」で、有向グラフの特別なものである木〈ツリー〉と林について述べました。(主に“ファイバーの計算”への)応用のためには、まだ必要なことが残っているので、そのまま続きと補足を書きます。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} } \…
“ファイバーの計算”(「ファイバーの計算 基本概念」参照)に関する一連の記事のひとつとして、木と林の話を書き始めたのですが、独立した話題として扱えるので、シリーズ記事からは外れた記事にします。木と林は有向グラフの種類のことで、現実世界の植物の…
“ファイバーの計算”に必要な幾つかの圏同値を示します。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} } \newcommand{\hyp}{\text{-} } \newcommand{\In}{\text{ in }} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\F}[1]{ {{#1}^{-1}} } % fiber \newcommand{…
「ファイバーの計算 基本概念」で、バンドル-ファミリー対応を実現するファイバー関手などの基本概念を紹介しました。もちろん、“ファイバーの計算”には続きがあります。基本概念に引き続く内容に入る前に、“ファイバーの計算”の全体像を概観しておきます。…
バタニン/マークル〈Michael Batanin, Martin Markl〉のオペラディック圏は、オペラッドを定義するための道具ですが、“ファイバーの計算”を抽象化したものだともみなせます。この記事では、抽象化する前の具象的な“ファイバーの計算”、つまり集合圏の部分圏…
圏 $`\mathcal{C}`$ とその対象 $`c`$ に対して、スライス圏〈オーバー圏〉$`\mathcal{C}/c`$ を定義できます。このとき使われるスラッシュは、二項演算子記号のように見えます。そうだとすると、スラッシュの実体(セマンティクス)である演算とはどのよう…
久々に論理の話をします。論理とはいっても、形式化された論理〈formal logic〉の話ではなくて、“ちゃんと考えるための技法”といった意味の論理です。「命題と判断は区別しましょう」が僕がこの記事で言いたいことです。$`\newcommand{\Holds}{ \mathrel{|\!…
n-圏達を対象とする(n + 1)-圏を $`n{\bf Cat}`$ と書きます。特に、$`{\bf Cat} = 1{\bf Cat}`$ です。$`{\bf Cat}`$ は、1-圏達を対象とする(1 + 1)-圏です。また、$`{\bf Set} = 0{\bf Cat}`$ です。$`{\bf Set}`$ は、0-圏達を対象とする(0 + 1)-圏です…
「双遷移系達の3次元の圏」で述べた3次元の圏類似代数系のプロ射(プロ方向の1-射)は双遷移系です。プロ射のプロ方向への結合は、双遷移系のテンソル積で与えられます。この記事で、双遷移系のテンソル積を定義します。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1}…
「丹原プロ関手の二重圏、いやっ三重圏?」において、とある3次元の圏が存在しそうだ、と述べました。しかし、その3次元の圏の構成はかなり手間がかかる作業です。設定を単純化して、手間を減らしましょう。「丹原プロ関手の二重圏、いやっ三重圏?」で「モ…
「ヒューズ・アローと丹原プロ関手」では早とちりをやらかしてしまいました。丹原プロ関手を2-射〈二重射〉とする二重圏の(特別な形の)モノイドがヒューズ・アローになるかと思ったんですが、それは違うようです(追記の節「追記: 誤認と間違い」参照)。…
最近のマイブームは二重圏です(「二重圏、縦横をもう一度」参照)。既存の概念を二重圏ベースで再考してみるとちょっと楽しいです。アローは、ジョン・ヒューズ〈John Hughes〉が考案した関数プログラミングの道具・手法です。ヒューズのアローを二重圏ベー…
二重圏に関する用語は、「二重圏、縦横をもう一度」を見てください。2-圏の図式順演算子記号は次のようにします。 1-射の結合と2-射の横結合 : $`*`$(アスタリスク) 2-射の縦結合 : $`;`$(セミコロン) 1-射と2-射のヒゲ結合〈whiskering〉: $`*`$(ア…
「関手は自然変換」という記事で、関手の射パートが自然変換になることを指摘しました。この記事では、自然変換が関手として解釈可能なことを説明します。自然変換が関手であることを、アロー構成〈Arr構成〉に関する“とある公式”の特別なケースと位置付けま…
「圏論におけるフレーム充填問題」で、二重圏や2-圏におけるフレーム充填問題の事例を挙げました。1-圏、つまり通常の圏でもフレーム充填問題とその解を考えることができます。通常の圏における重要な概念も、フレーム充填問題の“最良の解”として定義できま…
最近の記事「添加仮想二重圏」で、添加仮想二重圏〈augmented virtual double category〉を定義しました。添加仮想二重圏の2-射の形状をこの記事でまとめておきます。2-射のソースとターゲットは、プロ射のパスです。ただし、ターゲットのパスは長さ1以下で…
「添加仮想二重圏」において、「フレーム」という言葉を出しました。フレームは、2-射(2次元の射)の境界のことです。境界は幾つかの1-射達/0-射達の組み合わせです。境界全体ではなくて、境界の一部分のことも「フレーム」と呼ぶことにすると、与えられた…
二重圏の拡張である仮想二重圏〈virtual double category〉、添加仮想二重圏〈augmented virtual double category〉に興味がわいて、次の2つの論文をポチポチと拾い読みしています。 [Kou19-22] Title: Augmented virtual double categories Author: Seerp R…
「カン拡張/カン持ち上げと上ホム対象/下ホム対象、充填三角形」への補遺です。内容: ペースティング図の充填問題 ストリング図で描くと ペースティング図の充填問題以下は「カン拡張/カン持ち上げと上ホム対象/下ホム対象、充填三角形」で出した右カン…
レナート・ベッチ/ロバート・ウォルターズ〈Renato Betti, Robert F.C. Walters〉のとある論文を眺めていて、カン拡張/カン持ち上げの記述で戸惑ってしまいました。右カン持ち上げだと記されていたペースティング図が間違っていて左カン持ち上げになってい…
以下の2つの記事で、二重圏の縦横、上下左右の問題を述べました。 二重圏、縦横をもう一度 二重圏の縦横 補遺 二重圏のタイト射 $`f`$ に対して、その分身であるようなプロ射が対応することがあります。それを、$`f`$ の同伴〈コンパニオン | companion〉と…
プロ関手の説明として、「関手 : プロ関手 = 関数 : 関係」という“比例式”がしばしば引き合いに出されます。一方で、「圏 : 関手 = 順序集合 : 単調関数」という“比例式”もあります。これらの比例式達を合わせると: 圏 : 関手 : プロ関手 = 順序集…
「二重圏、縦横をもう一度」において言い忘れたことがあります。ペースティング図/ストリング図の射の並びや結合をテキストに書き出すときの順番のことです。これも人により場合によりバラバラです。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} } \newcommand{\In…
ここ2,3年「二重圏がきてる」印象があります。応用圏論を牽引している一人であるイバン・パターソン〈Evan Patterson〉は今年の1月、トポス・インスティチュートのブログ記事に次のように書いています。 Lately I’ve been fixated on double categories, pur…
「集合・関数係数行列の2-圏、モナドも添えて」において、「アスタリスクで総和をとり、ハイフンでラムダ抽象〈関数抽象〉をする」記法を導入しました。これ、なかなかに使いやすいですね。この記法を他の場面でも使いたくなりました。「複余有向コンテナ〈…