JavaScriptのクラスもどきで、getter/setter を使う

JavaScriptでクラスもどきを定義するとき、次のような書き方があります。

// パッケージ
var shape = {};
// コンストラクタ
shape.Point = function (x, y) {
 this.x = x;
 this.y = y;
};
// クラス変数やメソッド
shape.Point.prototype = {
 moveTo : function (toX, toY) {
           this.x = toX;
           this.y = toY;
          },
 // 以下略
};

僕はこのスタイルを使っていませんでした（代わりに大域変数を1つゴミにしている例は「JavaScriptで言語処理系の勉強をしましょう：字句解析編」）。特にこれといった理由はなくて、「インデントどうしたらいいかわかんない」とか、その程度の事情です。

しかし、プロパティのgetter/setterを使うときは、上の書き方しかないような気がします。（ひょっとすると、別な書き方でもgetter/setterが使えるのかもしれません； ご存知の方は教えてください。）

例題として、Pointクラスにcolorを追加したものを使いましょう。colorは、RGBを表す3つの数値からなる配列とします。

// パッケージ
var shape = {};
// コンストラクタ
shape.Point = function (x, y) {
 this.x = x;
 this.y = y;
};
// クラス変数やメソッド
shape.Point.prototype = {
 color : [0, 0, 0], // デフォルト値
 moveTo : function (toX, toY) {
           this.x = toX;
           this.y = toY;
          },
 // 以下略
};

これだけでも、Pointのインスタンスはcolorの初期値を持ちます。個別にcolorを設定したいなら、p.color = [255, 0, 0] のようにしてできます。

フィールドアクセスや代入を生で使うよりは洒落た方法を使いたいなら、IEを除くたいていのブラウザでgetter/setterが使えます。

// クラス変数やメソッド
shape.Point.prototype = {
 _color : [0, 0, 0], // デフォルト値
 get color() {
  return this._color;
 },
 set color(c) {
  this._color = c;
 },
 moveTo : function (toX, toY) {
           this.x = toX;
           this.y = toY;
          },
 // 以下略
};

こうすると、p.color （参照）とか p.color = [255, 0, 0] （代入）とかのタイミングで関数が呼び出されます。もっとも、これだけでは以前と変わりません。色名（文字列）を、RGB数値配列に変換する処理を入れてみます。

// クラス変数やメソッド
shape.Point.prototype = {
 _color : [0, 0, 0], // デフォルト値
 get color() {
  return this._color;
 },
 set color(c) {
  if (typeof(c) === 'string') {
   var col = this.colorValue[c];
   if (col) {
    this._color = col;
   }
  } else if (c instanceof Array && c.length === 3) {
   // 配列の各項目のチェックは省略
   this._color = c;
  }
  // その他は何もしない
 },
 colorValue : {
  "black" : [0, 0, 0],
  "white" : [255, 255, 255],
  "red"   : [255, 0, 0],
  "green" : [0, 255, 0],
  "blue"  : [0, 0, 255]
 },
 moveTo : function (toX, toY) {
           this.x = toX;
           this.y = toY;
          },
 // 以下略
};

これで、p.color = "red"; のような書き方もできるようになります。便利ですね。