「昔話の作者は誰か」と長男に聞かれました。「作者は誰か分からない」と答えるとさらに「全然わからないの?」、で、「全然分からない」。「でも、その人(作者)は生きているか死んでいるか、どっちかだな」と次男はバカなことを言う。
「xは生きている または xは生きていない(死んでる)」のように常に正しい文は恒真な文(トートロジー)といいます。恒真な文は推論の基礎となる点からはものすごく重要ですが、内容的にはものすごくつまらない。あまりにも正しいので、何の情報ももたらしません。「xは生きている または xは生きていない」と言われても、x(人間とする)についての知識は増えませんよね。
「あなたのお父さんは、死んでいませんね。」 -- こんな言い回しをご存知ですか? 占い師が使う手だそうで、父親が生きている人は「死んでいない=生きている」と解釈し、父親が死んだ人は「死んでいない=死んでしまって、既にこの世にいない」と解釈しがち。
これは、内容的には恒真な文を発言しているのです。表現の曖昧性から、聞く側が都合良く解釈してくれれば常に真だから必ず当たるってわけ。