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参照用 記事

クライスリ拡張手

昨日の記事「一般化クライスリ構成を探して」の補足。

一般化クライスリ構成でやりたいことは、2つの自己関手F, Gを使って「射」の概念を拡張することです。A→B から F(A)→G(B) に拡張するわけですね。当初僕は、このような (F, G) をモナドと呼んでいました。

なぜかと言うと、Fがコモナド(余モナド)(F, ν, ε) で、Gがモナド (G, μ, η) のケースを考えていたからです。FとGがまったく無関係だとクライスリ結合がうまく定義できないので、σ::FG⇒GF という自然変換があって、これによりベックの分配法則(と類似の法則)が成り立つことを仮定してました。

上記の状況では (F, G) を両モナドと呼ぶのは自然だと思います。しかし、F, Gがモナドやコモナドじゃないこともあるのです。(F, G) がメイヤー代数由来のときがその例です。もはや両モナドと呼ぶのは抵抗があります。あー困った。

(F, G) は、入力(射の域)と出力(射の余域)を拡張するので拡張関手と呼べばいいかな? もっと短くして拡張手(extender)。2つが組になっていることを強調するなら、拡張手対(extender pair)とか両拡張手(di-extender)とか呼べばいいでしょう。一般化クライスリ拡張の文脈であることを明示するには形容詞として「クライスリ」を付ければいいかと。

どうしてこういうモノに名前が要るかというと、クライスリ拡張手を対象とする圏を考える必要があるからです。圏の対象に呼び名がないのはとても不便です。クライスリ拡張手を対象とする圏の射は、クライスリ拡張構造を保つような自然変換です。拡張手の(関手としての)結合は、この圏の非対称モノイド積になるでしょう。

クライスリ拡張手を対象とする圏は、対応するクライスリ圏をインデックス(パラメータ)で束ねた構造を導くので、インデックス付きフレイド圏と似たような議論ができるんじゃないかと期待してます。