僕は、本の紹介やら書評っぽいエントリーとか滅多に書かないのですが、この本は紹介します。
レスポンシブWebデザイン 制作の実践的ワークフローとテクニック
- 作者: 渡辺竜
- 出版社/メーカー: ソシム
- 発売日: 2012/12/20
- メディア: 単行本
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本は割と買うのですが、僕、通読しないのですよ。一部分であれ精読するならまだしも、行間を読むどころか2,3行飛ばしながら、だし。この本も通読はしてません。でも、320ページ中の176ページまでは読みました。177ページ以降、「第3部・実践編」ですが、ここは読んでませんし、今後もたぶん読まないでしょう。だって、僕がレスポンシブWebデザインを実践することなんてないですから。
Webデザインを実践することもなく、たいして興味も持ってない僕が、なぜ176ページまで読んだか?(176/320は、僕としてはすごく高い歩留まりです) それは、この本面白いんですよ。僕みたいに、Webデザインに知識もスキルもないシロートでも、「第1部・基本編」と「第2部・準備編」はスルスル読めるし、ときに考えこんだり唸ったり、なんとページをさかのぼって再読・再確認さえしてしまうと。
三部構成のうちの二部を、具体的なノウハウじゃなくて一般論に費やしている内容は珍しいと思います。この本では、「やり方」とか「技法」とかよりは、「考え方」「理念」「意味」といったことが語られています。著者の渡辺竜(わたなべ りょう)さんて、ケレン味のないホント正統派の人。Webやデザインに関する彼の態度、見識、ビジョンには清々しいものを感じます。
一箇所引用してみますね。
新しい技術が出てくるとつい小手先の技法に走ってしまうことがあります。しかし、「レスポンシブWebデザイン」は、スマホ対応のためにレイアウトを変更するだけで終わるものではありません。ユーザーの状況や環境にウェブサイトが呼応して、ユーザーにより良い体験を提供できるようにという意味合いを込めて命名されたものです。
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小手先の技法に走らず、その「意図」を汲み取ってウェブの将来を考えた制作をすれば、ウェブはユーザーにとっても制作者にとっても、より魅力的なものになると信じています。
渡辺さんは、コンテンツやモバイルの意味と意義を、過去・現在・未来のパースペクティブから語り、One Webの理想にも言及します。それでいて、「ビジネス視点から見たレスポンシブWebデザイン」(2.6節)とか「サイトのパフォーマンス最適化」(3.9節)とかも押さえています。
最初は「レスポンシブWebデザインって流行り言葉みたいだけど、なんなのそれ?」という程度の認識だったのですが、レスポンシブWebデザインが渡辺さんが語るような考え方や理念を背景とするものだとすれば、具体的な「やり方」や「技法」が変化したとしても、確かに次世代Webの基盤となり得るのかもしれません。