表題の「こんな書き方」とは:
「積分には不定積分と定積分があります」は認めるとして、積分区間(上端と下端)が書いてないので、左辺が関数の形をしているので、上記の積分記号は不定積分を表すことになります。
不定積分の意味は、おおよそ「微分の逆」ですが、もう少し正確に記述してみます。
高校レベルだと、扱う関数は R→R の連続的微分可能関数が多いでしょうから、そのような関数の集合を次のように定義します。
D:C1(R)→C0(R) は微分作用素とします。そして、Dの逆像を次のように定義します。
- For f∈C0(R), Integ(f) := {g∈C1(R) | D(g) = f}
一般的な記法として、Dの逆像(逆写像ではない!)を D-1 と書くので、
- Integ(f) = D-1(f) ⊆C1(R)
g0∈Integ(f) を任意に選んで固定します。すると、
- Ineg(f) = {g∈C1(R) | 適当な実数Cが在って、g = g0 + C と書ける}
さて、冒頭の表現の解釈ですが、
- Fは、関数 g0∈Integ(f) を表す。
- Fは、関数の集合 Integ(f) を表す。
どっちなんでしょうか? 意味がハッキリするように書くなら:
積分の下端を0に固定した関数を g0 として選んでいます。
上の2つの書き方は意味がハッキリしていると思いますが、ちょうど中間のような書き方をよく見ます。
冒頭の書き方よりマシに見えますが、マシに見えてしまうぶんだけ余計タチが悪いかも知れません。結局、意味不明のままです。以下のどれ?
- F∈Integ(f) であり、Fは、Cを固定した特定の関数 を表す。
- Fは集合Integ(f)上を走る変数(関数を表す変数)であり、特定の関数を表すわけではない。
- F = Integ(f) であり、Fは関数の集合を表す。