オプティックに関する文書を読んでいると、ラテン文字を丸で囲んだ記号が登場するんですよね。まず、MathJaxでどうやって書いたらいいのだろう? enclose というMathJax拡張があるので、それを使ってみます。
次のようにマクロ〈ユーザー作成コマンド〉を定義しておきます。
\require{enclose} \newcommand{\act}[1]{ \enclose{circle}{\mathrm{#1}} }
[tex: \require{enclose} \newcommand{\act}[1\]{ \enclose{circle}{\mathrm{#1}} } ]
\act{M}
のレンダリングは次のようになります。
まん丸じゃないのが気になりますが、まーいいとしましょう。
さて、この丸付き文字 は何を表すのかというと、アクテゴリー〈actegory〉を表します。アクテゴリーには次の別名があります。
- 加群圏〈module category〉
- 圏論的モノイド作用〈categorical monoidal action〉
- モノイド作用〈monoidal action〉(圏論的モノイド作用の省略)
- 作用〈action〉(モノイド作用の省略)
アクテゴリー(左アクテゴリー)は次の構成素からなります。
- モノイド圏 (記号の乱用、一部の構成素を省略)
- 圏
- 双関手〈二項関手〉
- 作用の結合律を表す自然変換
- 作用の単位律を表す自然変換
法則〈公理〉としては、マックレーンの五角形/三角形法則(の類似物)を要求します。
アクテゴリーをラテン大文字ローマン体〈立体〉 で表すとします。アクテゴリーの構成素には、右肩に を乗せるとすると、次のように書けます。
モノイド作用の本体とも言える双関手〈二項関手〉 を で表すことにします。すると:
ここから、オプティック界隈特有の記号の乱用をします。
そうすると:
2つのアクテゴリーがあるときは:
しかし実際には次のように書くときが多いです。(他にも色々な書き方のバリエーションがあります。)
こういう分野・コミュニティに特有な記号の乱用の習慣は、明示的に説明されないので、解読するまでけっこう時間がかかったりします。集団があれば必ずジャーゴン〈隠語〉が生まれるので仕方ない現象だけど、めんどくせーよ、ホント。
[追記]丸付き文字を中置演算子記号として使うときは、次のようにするほうがいいですね。
\require{enclose} \newcommand{\actop}[1]{ \mathop{\scriptstyle \enclose{circle}{\mathrm{#1}}} }
レンダリングは次のようになります。
まん丸じゃないのはどうにもならないなー。位置が下すぎるけど調整してないです。
[/追記]