Nico Benschopさんが、「フェルマーの最終定理」と「ゴールドバッハ予想」を初等的に“証明”しちゃったわけですが、Benschopさんの証明が正しいかどうかが論点じゃなくて、その証明が本になって出版されたことがスキャンダルなんですね。
自費出版とかなら別にいいんだけど、版元がシュプリンガー(Springer Verlag)ですから。日本で言えば、岩波なのか共立なのか? よくわかんないけど、徳間書店よりは絶対に権威があるだろうと、そういう感じの(どういう感じだ?)出版社であるシュプリンガーが、オーソライズされてない内容を本にして出版したところが大問題なんでしょう。
それで、ブログ記事のコメント欄にBenschopさんご本人が登場しての議論が続いているのですが、コウイウ人って、国境を越えて類型的だなー、というのが僕の印象。
Benschopさんのプロフィールとか言動とかを適当に拾ってみると(正確さには全然自信がないです):
- 電子工学、特にVLSI分野ではそれなりに業績がある研究者である
- 工学由来の自分の手法が、整数論にも応用可能だと気が付いた
- 「フェルマーの最終定理」と「ゴールドバッハ予想」が証明できた
- 整数論の専門家からは無視される
- WikipediaとarXiv.orgで自分の証明を広報する(「WikipediaとarXiv.orgの危うさ」を参照)
- 工学系の専門書に、自分の証明をついでに載せる
- 本のタイトルとか概要では、例の証明を強調しない
- やたっ、シュプリンガーから出版された ← 今ココ
本が出たことで、ご本人は証明がオーソライズされたと思っているのかも知れません。ご本人よりずっとずっと問題なのは、事情を知らない多くの人が「フェルマーの最終定理」と「ゴールドバッハ予想」の初等的証明が得られたと勘違いすることでしょうね、なにしろシュプリンガーだから。
ブログのコメント欄でのやり取りがまた類型的で:
- Benschopさん:私の証明は短くて分かりやすい。まずは読んでみそ*1。
- 誰も積極的に読もうとしない、、、「んなことに付き合ってられっかよ」の雰囲気。
- Benschopさん:どうして自分で確認しようとしないんだ?
- (檜山の憶測・脚色入り)君らは権威主義的だ。自分の論理と理性で判断するのが数学者じゃないのか、エッ、ドウナンダ? 誰も間違いを指摘できないのか。それじゃ、私の勝ちだ。(「いいセンいってる南堂久史さん」の「私の理論を、専門家達も誰一人論破できない」のくだりを参照)
- (檜山の憶測・脚色入り)あー、ウゼーおっさんだなー。
それでも、GSさんて方が内容的なツッコミをしていて、Benschopさんの証明自体は置いといて、そこで使われている古典的な定理(ヘンゼルの補題というらしい)の解釈がまちがっている気配ですね。Benschopさんが反論を展開するのか、このまま議論が終結しちゃうかわかりませんが。
[追記 date="翌日"]英語がよくわからんけど、雰囲気だけ訳。Rather then は Rather than のtypoと解釈。
John Baez(ブログ主催者)
こんなにも重大な(しかも2つ)の結果を証明したと誰かが主張したとき、その誰かさんは、このテのコメントを見て考えを改めるなんてありそうにないと分かったよ。だから、もう2,3回のやり取りの後で、このスレッドのコメントをオフにするかもしれない。I've discovered that when somebody claims to have proved two such big results, they rarely reconsider after hearing comments such as these. So, after a few more rounds of discussion I may turn off comments on this thread.
Nico Benschop(ゴールドバッハ予想を“証明”した人)
ありがとう、ジョン。私もちょうど飽きてきたところさ。私がここで同じ説明を何度もするよりは、もし興味があるんなら、私の本を買って読めばいい。この本が役に立たなかったら、そりゃお気の毒様だけど。Thank you John. I'm getting a bit bored too;-) Rather then explaining for the m-th time, if one is interested, just buy the book. And if that is not worth it, too bad for you. -- NB
[/追記]