このブログの更新は Twitterアカウント @m_hiyama で通知されます。
Follow @m_hiyama

メールでのご連絡は hiyama{at}chimaira{dot}org まで。

はじめてのメールはスパムと判定されることがあります。最初は、信頼されているドメインから差し障りのない文面を送っていただけると、スパムと判定されにくいと思います。

参照用 記事

普遍的なグロタンディーク構成?

ここ数日の僕のブームはスピヴァックの関手的データモデルです。

スピヴァックのホームページ http://math.mit.edu/~dspivak/ からたどれる彼の論文を、チラホラ斜め読み/拾い読みしているのですが、圏論のネタとしてもちょっと面白そうな記述があります。そのひとつが、関手 D:CSet からファイブレーションを作る話。

ベキ集合ファイブレーション」にも書きましたが、集合を離散圏とみなせば、関手 D:CSet は、D:CCat だと考えていいので、インデックス付き圏に対するグロタンディーク構成が適用できて、その結果が要素の圏(category of elements)です。関手Dの要素の圏を el(D) と書いて、それに伴うファイブレーションを el(D)→C とします。

スピヴァックは、el(D)→C が「ある“普遍的な”ファイブレーションのDによる引き戻し」で得られることを注意しています。これは、上記のnLab記事にも書いてある事実の引用にすぎないですけどね。ここで出てきた“普遍的な”ファイブレーションとは、SetSet という形のものです。以下にこのファイブレーションを説明します。

Xが集合で x∈X のとき、組 (X, x) を付点集合(pointed set; 点付き集合)と呼びます。(X, x) と (Y, y) を付点集合とするとき、写像 f:X→Y で f(x) = y であるものを付点集合の準同型だとします。すると、付点集合を対象、付点集合の準同型写像を射とする圏ができます。これをSetとします。Setは、Maybeモナドのクライスリ圏であると同時にアイレンベルク/ムーア圏だったりもします。

付点集合 (X, x) を、台集合(underlying set)X上の構造だと考えて、基点xを忘れる忘却関手をUとします。

  • U((X, x) in Set) = (X in Set)
  • U(f:(X x)→(Y, y) in Set) = (f:X→Y in Set)

U:SetSet は、矢印の向き(反変/共変)の調整をするとファイブレーションとみなせます。任意の関手 D:CSet に対して、次の図式が引き戻し図式になる、という事実があります。

el(D) ---> Set
| |
| |
v D v
C -----> Set

さて、そうすると、一般的なインデックス付き圏 F:CCat に関しても同じような事実が成立しているといいな、と思います。なんらかのファイブレーション XCat があって、次の図式が引き戻しになるのです。Gr(F) は、インデックス付き圏Fのグロタンディーク平坦化だとします。

Gr(F) ---> X
| |
| |
v F v
C -----> Cat

なんか成立しそう、ひょっとしてよく知られた事実か? と思うのですが、面倒なのでこれ以上追求はしてません。

謎の圏Xを作るヒントになりそうなことは、Setアンダー圏 1/Set となっていることです。

Cとその対象Aに対して、F(A) := A/C と定義すると、Fは CCat という反変関手となるので、インデックス圏を定義します。0, 1 をそれぞれCの始対象、終対象(それがある)として、自明な射 01 に対するFの像 F(1)→F(0) は、1/C0/C となります。ここで(大きさの議論は気にしないことにして)、C := Set と置くと、SetSet のファイブレーションと同値(より強く同型)となります。

以上で使った 0, 1 などを、もっと次元が高い図形に置き換えれば、謎の圏Xが構成できるんじゃないのかなー。確信はないけどさ (^^; 。