「はてなブログでもXyJaxが使える」で、自前で設定をすることによってXyJaxが使える、と書きました。確かに使えるのですが、問題もありますね。
XyJaxの使用は、「はてなブログ」がサポートしているものではないので、「はてなブログ」オリジナルのMathJax機能と競合することになります。カスタム設定のMathJaxと「はてなブログ」オリジナルのMathJaxが、どのように相互作用するかは不明です。お互いに悪さをして不具合が発生する可能性があります。
実際、複数記事をまとめて表示したときは、TeXコードの一部または全部が生で表示されます。レンダリングの一部または全部が欠けることになります。単一記事なら、今のところうまく表示されています。[追記]これはブラウザ依存の現象のようです。[/追記]
「はてなブログ」オリジナルのTeXブロックの構文 [tex: ‥‥ ] とカスタム設定のTeXブロックの構文 $` ‥‥ `$(インライン数式)、$$ ‥‥ $$(ディスプレイ数式)は共存できません。一箇所でも [tex: ‥‥ ] を使うと、カスタム設定の構文は使えなくなります。
そこで、XyJaxを使う記事内ではカスタム設定の構文で書けばいいと思いました。が、「はてなブログ」の仕様変更があって、カスタム設定やその構文が無効になるリスクがあります。一時期「はてなブログ」で、インラインTeXブロックを \( ‥‥ \) と書けたのですが、今はダメです。正式にサポートされている構文は [tex: ‥‥ ] だけです*1。
カスタム設定をして、[tex: ‥‥ ] 内にXyJaxコード(構文はXyPic)を書くと、これはレンダリングされるようです。この方法だと、仮に仕様変更でカスタム設定が無効になっても、表示されなくなるのはXyJaxコードだけなので、リスクが少ないと言えるでしょう。
以下は、[tex: ‥‥ ] 内にXyJaxコードを書いています。
この方法にも嫌な問題があります。「はてなブログ」構文だと、閉じブラケット ']' がTeXブロックの終端なので、TeXコード内の閉じブラケットはエスケープする('\]' と書く)必要があります。XyJaxはブラケットを多用するので、エスケープはけっこうシンドイです。
以下に、もとのXyJaxコードとブラケットをエスケープしたコードを並べます。
\xymatrix{ U \ar@/_/[ddr]_y \ar@/^/[drr]^x\ar@{.>}[dr]|-{(x,y)} \\ & X \times_Z Y \ar[d]^q \ar[r]_p & X \ar[d]_f \\ & Y \ar[r]^g & Z }
\xymatrix{ U \ar@/_/[ddr\]_y \ar@/^/[drr\]^x\ar@{.>}[dr\]|-{(x,y)} \\ & X \times_Z Y \ar[d\]^q \ar[r\]_p & X \ar[d\]_f \\ & Y \ar[r\]^g & Z }
「はてなブログ」オリジナルでは、https://cdn.blog.st-hatena.com/js/external/mathjax からMathJaxをロードします。カスタム設定では、https://cdn.jsdelivr.net/npm/mathjax@2/ と https://cdn.mathjax.org/mathjax/contrib/ からロードします。これらは重複してロードされている可能性があります。いずれにしても xyjax/xypic.js は余分にロード(と初期化)が必要です。
このため、Webページが遅くなるかも知れません。僕の環境では体感で分かるほどではないですが、影響が出る環境もあるでしょう。
というわけで、「はてなブログでもXyJaxが使える」と言っても一筋縄ではいかないですね。