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参照用 記事

XyJaxの基本的な使い方

2021年、あけましておめでとうございます。新年とは何ら関係ない記事ですが‥‥

曲がりなりにもブログ記事内でXyJax(XyPic)が使えるようになりました(経緯は以下の記事参照)。

XyJaxの基本的な使い方を記しておきます。内容は、XyPicのユーザーガイドを拾い読みしたメモです。

内容:

マトリックス配置

レイアウトの基本はマトリックス配置です。1行あたりn個のエントリーをm行に配置します。次は、n = 3, m = 2 の例です。

\xymatrix {
A1 & B1 & C1 \\
A2 & B2 & C2
}


\xymatrix {
A1 & B1 & C1 \\
A2 & B2 & C2
}

行の末尾の空エントリーは完全に省略可能です。行の末尾でない空エントリーは、区切り記号 '&' を書く必要があります。

\xymatrix {
A1  \\
  & B2 & C2
}


\xymatrix {
A1 \\
  & B2 & C2
}

アロー

エントリーとエントリーのあいだにアロー〈矢印〉を引くことができます。アローの出発点となるエントリーをベースエントリー〈base entry〉、アローの行き先となるエントリーをターゲットエントリー〈target entry〉と呼びます。

アローの記述は、ベースエントリーの場所に \ar コマンドで行います。ターゲットエントリーの指定には、ベースエントリーからターゲットエントリーまでの縦横の移動経路(ホップ〈hop〉と呼ぶ)で指定します。

例えば、A1からC2に向かう矢印を引くには、行き先であるC2へ至る経路(のひとつ)は「下〈down〉、右〈right〉、右〈right〉」なので(下図)、ホップの指定は [drr] となります。d = down, r = right, u = up, l = left です。


\xymatrix {
A1 \ar@{.>}[d]_{down} & B1 & C1 \\
A2 \ar@{.>}[r]^{right}& B2 \ar@{.>}[r]^{right} & C2
}

\xymatrix {
A1 \ar[drr] & B1 & C1 \\
A2          & B2 & C2
}


\xymatrix {
A1 \ar[drr] & B1 & C1 \\
A2          & B2 & C2
}

アロースタイル

アローは、テール〈tail | 根本〉、シャフト〈棒線 | shaft〉、ヘッド〈先端 | head〉の3つの部分からなり、それぞれの部分に形状を指定できます。スタイル指定には、@{テール シャフト ヘッド} の構文を使います。各部の形状の指定には、1,2文字の短い記号列が使われます。

\xymatrix {
A1 \ar@{|-->}[drr] & B1 & C1 \\
A2          & B2 & C2
}


\xymatrix {
A1 \ar@{|-->}[drr] & B1 & C1 \\
A2          & B2 & C2
}

形状指定の例を幾つか挙げます。


\xymatrix@R-1.8pc{
\txt{ 指定なし } & A \ar[r] & B \\
\txt{ @{->}     } & A \ar@{->}[r] & B \\
\txt{ @{|->}     } & A \ar@{|->}[r] & B \\
\txt{ @{||~>} チルダに注意  } & A \ar@{||~>}[r] & B \\
\txt{ @{<->}     } & A \ar@{<->}[r] & B \\
\txt{ @{->|}     } & A \ar@{>|}[r] & B \\
\txt{ @{.>}     } & A \ar@{.>}[r] & B \\
\txt{ @{}     } & A \ar@{}[r] & B \\
}

ハープーン〈銛形〉と二重シャフト/三重シャフトは、アローのバリアント〈variant | 変種〉と呼び @バリアント{スタイル} の構文で書きます。


\xymatrix@R-1.8pc{
\txt{ @{->}     } & A \ar@{->}[r] & B \\
\txt{ @^{->}     } & A \ar@^{->}[r] & B \\
\txt{ @_{->}     } & A \ar@_{->}[r] & B \\
\txt{ @2{->|}     } & A \ar@2{->}[r] & B \\
\txt{ @3{->}     } & A \ar@3{->}[r] & B \\
}

アローの一部にだけバリアントを適用することもできます。包含写像を表す矢印は次のように指定します。


\xymatrix@1{
\txt{ @{^{(}->}     } & A \ar@{^{(}->}[r] & B \\
}

なお、二重矢印は @{=>} でも描けます。その他、利用できる形状指定とバリアント、それらの組み合わせ方はXyPicのマニュアルを参照してください。

アローのラベル

アローのラベルは、\ar コマンドのホップの後に指定します。ラベルの位置を示す '^', '_' を先頭に置きます。

  • \ar[r]^ラベル : 上側にラベル
  • \ar[r]_ラベル : 下側にラベル
\xymatrix{
A \ar[r]^{label} & B \\
C \ar[r]_{label} & D
}


\xymatrix{
A \ar[r]^{label} & B \\
C \ar[r]_{label} & D
}

上側、下側と言いましたが、これは紙面や画面に対する上下ではなくて、矢印の方向を左から右としたときの上下です。矢印が上から下へ向かうなら、“上側”は右側です。

\xymatrix{
A \ar[r]^{top} \ar[d]_{left}  & B \ar[d]^{right} \\
C \ar[r]_{bottom}  & D
}


\xymatrix{
A \ar[r]^{top} \ar[d]_{left}  & B \ar[d]^{right} \\
C \ar[r]_{bottom}  & D
}

ラベルを、アローを割って挿入することができます。|ラベル の構文を使います。

\xymatrix{
A \ar[r]|{top} \ar[d]|{left} \ar[dr]|{diag} & B \ar[d]|{right} \\
C \ar[r]|{bottom}  & D
}


\xymatrix{
A \ar[r]|{top} \ar[d]|{left} \ar[dr]|{diag} & B \ar[d]|{right} \\
C \ar[r]|{bottom}  & D
}

ラベルに比べてアローの長さが短か過ぎますが、調整法は後述します。

アローを割ったところに空白を入れるには \hole というコマンドを使います。

\xymatrix{
  A \ar[r]|\hole & B
}


\xymatrix{
  A \ar[r]|\hole & B
}

もちろん、ラベル内でTeXコードを使えます。

\xymatrix{
A\times B \ar[r]^{\pi_{A,B}^1} & B
}


\xymatrix{
A\times B \ar[r]^{\pi_{A,B}^1} & B
}

この例で、ラベルの位置が左過ぎです。次節で調整法を述べます。

ラベルの位置

デフォルトでは、アローのラベルはベースエントリー/ターゲットエントリーも含めた寸法の真ん中の位置に置かれます。前節最後のラベルが左過ぎるのは、ベースエントリーの領域が広いからです。アロー自体の中央にラベルを置くには \ar[r]^-ラベル と、ラベルの直前にマイナスを付けます。

\xymatrix{
A\times B \ar[r]^-{\pi_{A,B}^1} & B
}


\xymatrix{
A\times B \ar[r]^-{\pi_{A,B}^1} & B
}

マイナス記号はプレース〈place〉指定子のひとつで、他に次のようなプレース指定子があります。


\xymatrix@R-1.8pc{
\txt{^<{\bullet}} & A \ar[r]^<{\bullet} & B \\
\txt{^>{\bullet}} & A \ar[r]^>{\bullet} & B \\
\txt{^<<{\bullet}} & A \ar[r]^<<{\bullet} & B \\
\txt{^>>{\bullet}} & A \ar[r]^>>{\bullet} & B
}

寸法の数値を使ってラベル位置のより細かい制御もできます(割愛)。

アローのカーブと自己ループ

異なるエントリーを結ぶアローをカーブさせるには、@/^/@/_/ を使います。

\xymatrix{
 A \ar@/^/[r] \ar@/_/[r] & B \\
 C \ar@/^/[u]  & D \ar@/_/[u]
}


\xymatrix{
 A \ar@/^/[r] \ar@/_/[r] & B \\
 C \ar@/^/[u]  & D \ar@/_/[u]
}

例によって '^' が上側、'_' が下側を意味しますが、アローの進行方向に対して反時計回りに90度の方向が“上側”で、上側の反対方向が“下側”です。

自己ループ、つまりベースエントリーとターゲットエントリーが同じアローを \ar[​] とだけ指定してもうまくいきません。@(出る方向,入る方向) という特別な指定をします。方向は、u, d, l, r 以外に、斜め方向として ur, ul, dl, dr が使えます。

例えば、上左方向(ul)から出て下左方向(dl)から戻って来るアローは次のように書きます。

\xymatrix{
 A \ar@(ul, dl)[]|{id}
}


\xymatrix{
 A \ar@(ul, dl)[]|{id}
}

平行なアロー

カーブを使うと交わらない平行なアローを作れますが、まっすぐなアローを平行に並べるには位置をずらす必要があります。“上下”に位置をずらすには、@<寸法> で修飾します。寸法がプラスなら“上”に、寸法がマイナスなら“下”にアローがずれます。

\xymatrix{
 A \ar@<0.5em>[r] \ar@{.>}@<-0.5em>[r] & B \ar@<0.5em>[d] \ar@{.>}@<-0.5em>[d] \\
 & C
}


\xymatrix{
 A \ar@<0.5em>[r] \ar@{.>}@<-0.5em>[r] & B \ar@<0.5em>[d] \ar@{.>}@<-0.5em>[d] \\
 & C
}

次は2本以上の平行アローの例です。

\xymatrix{
   {\Delta^0} \ar[r]
 & {\Delta^1} \ar@<0.3em>[l] \ar@<-0.3em>[l] \ar@<0.3em>[r] \ar@<-0.3em>[r]
 & {\Delta^2} \ar[l] \ar@<0.6em>[l] \ar@<-0.6em>[l] \ar@{.}[r]
 & 
}


\xymatrix{
   {\Delta^0} \ar[r]
 & {\Delta^1} \ar@<0.3em>[l] \ar@<-0.3em>[l] \ar@<0.3em>[r] \ar@<-0.3em>[r]
 & {\Delta^2} \ar[l] \ar@<0.6em>[l] \ar@<-0.6em>[l] \ar@{.}[r]
 & 
}

列間と行間の寸法

マトリックス配置の列間寸法と行間寸法を指定できます。\xymatrix コマンドの直後に間隔〈spacing〉指定を入れます。

  • @R=寸法 行間寸法指定
  • @C=寸法 列間寸法指定

デフォルトに対する相対的な増減は次の構文です。

  • @R+寸法 行間寸法増加分指定
  • @C+寸法 列間寸法増加分指定
  • @R-寸法 行間寸法減少分指定
  • @C-寸法 列間寸法減少分指定
\xymatrix@C+2pc@R+1pc{
A \ar[r]^{top} \ar[d]_{left} \ar[dr]|{diag} & B \ar[d]^{right} \\
C \ar[r]_{bottom}  & D
}


\xymatrix@C+2pc@R+1pc{
A \ar[r]|{top} \ar[d]|{left} \ar[dr]|{diag} & B \ar[d]|{right} \\
C \ar[r]|{bottom}  & D
}

おわりに

XyJaxは豊富な機能を備えたMathJax拡張で、まだ紹介してない機能がたくさんあります。が、この記事で紹介した基本的な使い方だけでも、けっこう描画ができると思います。何か足りないと思ったら、XyJax/XyPicのマニュアルを探すと必要な機能が見つかることが多いでしょう。

もし、ここでは書いてなくて便利でよく使う機能が出てきたら、そのときはまた紹介します。