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参照用 記事

米田の「よ」とニンジャ米田の補題

本日二投目。まだ、米田の「よ」だったりします。過去の2つの記事は:

  1. 米田の「よ」 ≒ ディラックの「δ」
  2. 米田の「よ」、米田の「米」、米田の「Yo」

上記2つの過去記事で、次のようなことを言いました。\newcommand{\cat}[1]{ \mathcal{#1} }

  1. 米田の「よ」はディラックの「δ」やクロネッカーの「δ」に似ている。
  2. ディラック密度に似ていることから、「よ」を米田密度と呼んでよいだろう。
  3. 米田密度「よ」はエンド/コエンドと一緒に使うと便利。

米田密度とエンド/コエンドの関係を表す公式はニンジャ米田の補題〈ninja Yoneda Lemma〉と呼ばれます。この呼び名はロージエンの教科書の Proposition 2.2.1 (ninja Yoneda Lemma) として出てきます。「ニンジャ」は、『ベーシック圏論』の著者レンスター〈T. Leinster〉のコメントから採用したようです。

ニンジャ米田の補題(のひとつの公式)は、「米田の「よ」 ≒ ディラックの「δ」」で述べたように、ディラック密度の公式と似ています。しかし、ディラック密度は少し難しい概念なので、クロネッカーの「δ」を含む公式を下に示します。

\quad
{\displaystyle
f(n) = \sum_i f(i) \times \delta_n(i)
}

ここで、i は離散変数で f の総和が意味を持つとします。例えば、i\in \{1, 2, 3, 4, 5\} とか思ってください。\delta_n(i) は次のように定義されます。

  • \delta_n(n) = 1 、その他はすべて \delta_n(i) = 0

\delta_n(i) の定義から、上の総和の公式は当たり前でしょう。

総積〈総乗〉に関しても同様な公式が成立します。

\quad
{\displaystyle
f(n) = \prod_i f(i)^{ \delta_n(i) }
}

これもいいですよね。

さて、圏論の標準的記法では、総和に相当するコエンドも総積に相当するエンドも、どっちも積分記号で表します。僕はこれがイヤでしょうがありません。エンドのほうを、総積記号(大文字パイの形)をグンニャリさせた記号で表して欲しいです。が、総積記号のグンニャリ版の記号ってないんですよね。致し方なく積分記号なんでしょう。

ここでは、標準的記法とは違いますが、次の書き方をします。

  1. コエンドは、総和記号に下線〈underline〉を付ける。
  2. エンドは、総積記号に上線〈overline〉を付ける。
  3. 米田の「よ」を使う。

共変関手 F:\cat{C} \to {\bf Set} 、反変関手 G:\cat{C}^{op} \to {\bf Set} に対して次が成立します。


\quad {\displaystyle
 F(A) \cong \underline{\sum}^X F(X)\times { よ^A(X) }
}\\
\quad {\displaystyle
 G(A) \cong \underline{\sum}^X G(X)\times { よ_A(X) }
}\\
\quad {\displaystyle
 F(A) \cong \overline{\prod}_X F(X)^{ よ^A(X) }
}\\
\quad {\displaystyle
 G(A) \cong \overline{\prod}_X G(X)^{ よ_A(X) }
}

\times は集合の直積、指数記法は関数集合を表します。これらの同型がニンジャ米田の補題です。この形なら、総和、総積、クロネッカー・デルタの性質と類似しているので憶えやすいと思います。