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参照用 記事

米田の「よ」 ≒ ディラックの「δ」

米田埋め込みをひらがなの「よ」で書く例はチラホラと見るようになりました。最初に使い出したのは(おそらく)リ・ブランド〈David Li-Bland〉(https​://davidlibland.github.io/)です。
\newcommand{\cat}[1]{ \mathcal{#1}}
\newcommand{\In}{ \text{ in }}

上記論文の脚注によると、ジョンソン・フレイド〈Theodore Johnson-Freyd〉(http​://categorified.net/)が「よ」を提案したようです。

「よ」の普及(?)に大きな影響力があったのはロアギアンロージエン〈Fosco Loregian〉*1の論文(むしろ教科書)です。ロアギアンロージエン論文は過去の記事「米田の「よ」とか: ちょっと変わった記法・名前達」で紹介しています。そのとき(2018年)は、次のように書いていました。

URLは変わってませんが、今確認してみたら:

  • Title: Coend calculus
  • Pages: 328p

ドヒャー、ページ数がメチャクチャ増えている。タイトルも当たり障りない(つまらないとも言う)ものに変わってます。もうこれは書籍ですね。

編集履歴を見ると:

  • [v1] Sun, 11 Jan 2015 22:24:02 UTC (61 KB)
  • [v2] Mon, 9 Feb 2015 14:20:59 UTC (55 KB)
  • [v3] Tue, 3 Jan 2017 22:14:09 UTC (1,139 KB)
  • [v4] Mon, 4 Dec 2017 10:26:19 UTC (1,504 KB) ← 2018年記事
  • [v5] Sat, 21 Dec 2019 11:02:04 UTC (291 KB)
  • [v6] Fri, 11 Dec 2020 10:02:20 UTC (332 KB) ← 2021年現在

KB表示がなんか奇妙だけど、ここ数年書き足されてサイズは5倍くらいに膨らんだようです。

[追記 date="翌日"]ページ数で見ると、最初が39pだったので、8.4倍ですね。v4からv5の増加が84pから340pで、いきなり4倍になりました。インターネット上に98pバージョンも存在しました。

[/追記]

そのロアギアンロージエン教科書の Remark 2.2.6 に「米田埋め込みはディラックのデルタ / The Yoneda embedding is a Dirac delta」と書いてあります。どういうことでしょう?

コエンドを積分記号で書くことにすると、次の同型が成立します。

\quad
{\displaystyle
 F(A) \cong \int^{X\In \cat{C}} F(X) \times よ_A(X)
}

これは、関手 F の米田埋め込み(前層圏への埋め込み)による表現です*2。ここで、


\quad F:\cat{C} \to {\bf Set} \In {\bf CAT}\\
\quad よ_{-}:\cat{C} \to [\cat{C}^{op}, {\bf Set}] \text{ (Yoneda embedding)}\\
\quad よ_A:\cat{C}^{op} \to  {\bf Set} \In {\bf CAT} \:\text{ i.e. }よ_A\in |[\cat{C}^{op}, {\bf Set}]|\\
\quad よ_A(X) := \cat{C}(X, A)

ロアギアンロージエンのリマークは、米田埋め込み「よ」を含む上の同型が次の等式にソックリだろう、ってことです。

\quad
{\displaystyle
 f(a) = \int^{x\in {\bf R}} f(x) \delta_a(x)\, dx
}

行きがかり上、積分範囲を示す x\in {\bf R} は上に書きました。\delta_a は“一点 a に集中したディラック密度”です。

そう思って「よ」と「δ」を眺めると ‥‥ 確かに似ている。

*1:発音を見つけて聞いたら、「ロージエン」に近いようです。

*2:ディラックのデルタと揃えるために よ_A と書きましたが、よ^A のほうが辻褄が合う気がします。