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参照用 記事

n-圏の過剰高次射と反転原理

n-圏のなかで、nを超える次元の射の有無や性質が問題になることがあります。そのような射、つまり n < k であるk-射を過剰高次射〈excessively higher morphism〉と呼ぶことにします。

過剰高次射に対する態度には次の3つがあるでしょう。

  1. 過剰高次射なんてものは考えない。
  2. 適当な正自然数 w に対する n < k ≦ n + w であるk-射だけは考える。
  3. 任意の n < k に対してk-射を考える。

一番目の立場では「考えない」ので、言うことはなくなってしまいます。

最近書いた記事「等式的推論と高次圏論」では、三番目の「任意次元の過剰高次射を考える」立場をとっています。

二番目の立場をとる一つの根拠は、「ファンタジー: (-1)次元の圏と論理*1で述べた反転原理〈reversing principle〉です。

反転原理は、n-圏の過剰高次射である (n + 1)-射、(n + 2)-射、… が、圏論的宇宙の負次元の部分である (-1)-圏、(-2)-圏、… の構造を反映することを主張する仮説(あるいは経験則)です。「胎児の成長過程が人間の進化過程を再現している」というヘッケル〈Ernst Heinrich Philipp August Haeckel〉の反復説〈recapitulation theory〉とどことなく似ています(反復説が正しいとは言ってません)。

通常、(-1)-圏とは真偽値だと考えるので、過剰高次射である(n + 1)-射はn-射のあいだの等式になります。ここは三番目の立場と同じです。しかし、圏論的宇宙の負次元部分は無限には続かないので、任意の n < k に対してk-射を考えるわけではありません。

もし三番目の立場をとって、反転原理も仮定すると、圏論的宇宙の負次元部分はずっと真偽値が続くことになります。まー、それも有りかも知れません。

僕は、利便性から三番目の立場をとっています。今のところ、過剰高次射をどう考えるべきかの指針として利便性しか思いつかないのです。もっと説得力がある指針・根拠があれば、宗旨替えするでしょうが。

*1:この記事は2017年12月25日の記事ですが、そこから4日続けて関連する話題を書いています。4日目の記事「圏論的宇宙の対象化原理 」からリンクがあります。