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参照用 記事

過剰高次射を認めるn-圏の便利さ

\newcommand{\cat}[1]{ \mathcal{#1} }
本日(2022-01-17)2投目の小ネタ。

上記2つの記事で、n-圏(n次元の圏)のk-射(k次元の射)の話をしました。

通常の圏(つまり1-圏)の議論に高次圏は出てこないと思うかも知れませんが、そうではありません。\cat{C}, \cat{D} が2つの圏のとき、そのあいだの関手を考えますよね。F, G:\cat{C} \to \cat{D} が2つの関手のとき、さらにそのあいだには自然変換 \alpha::F \Rightarrow G:\cat{C} \to \cat{D} があります。圏、関手、自然変換の総体は2-圏(2次元の圏)を形成します。“圏達の2-圏”は圏論が扱う対象物です。

とりあえず、n = 0, 1, 2 に対するn-圏を考えるだけでもいいです。

  • 0-圏とは、単なる集合
  • 1-圏とは、通常の意味の圏
  • 2-圏とは、“圏達の2-圏”のように2-射(2次元の射)を持つ圏

今、n < k だとして、n-圏のk-射を過剰高次射〈excessively higher dimenshon〉と呼びました(「n-圏の過剰高次射と反転原理」参照)。過剰高次元の射〈morphism of excessively higher dimenshon〉と呼んでも同じです。

過剰高次射をどこまで認めるかでn-圏を分類するために、(N, m, n)-圏という概念を導入しました(「負次元の圏と(N, m, n)-圏」参照)。負次元の圏を認めるバエズの世界観・宇宙観から言うと、(n + 1, n, n)-圏が適切なn-圏です。しかし、バエズの世界観・宇宙観を絶対視する必要もありません。

利便性の観点から言うと、(∞, n, n)-圏が使いやすいn-圏だと僕は感じます。どんなn-圏でも、いくらでも高い次元の過剰高次射を持っているという立場です。(n + 1)次元の過剰高次射はn-射の等式、(n + 2)次元の過剰高次射は(n + 1)-射の等式、‥‥ 以下同様です。

すべてのn-圏は無限次元圏になります。では、n-圏の“次元n”という値が無意味かというと、そんなことはありません。値 n より大きな次元〈過剰高次元〉では次が成立しています。

  1. n-圏の過剰高次元部分はやせている。つまり、両端(域と余域)を指定された過剰高次射は高々ひとつしかない。
  2. n-圏の過剰高次元部分は可逆である。つまり、どんな過剰高次射も逆を持つ。

上記の2つの性質と、k-射にはその恒等(k + 1)-射が必ずひとつだけ存在するという性質を組み合わせると、等式的推論、等式推論のメタ推論、等式推論のメタ推論のメタ推論、‥‥ をうまく定式化できます。

「利便性(がある)」「使いやすい」と言った根拠は、等式的推論との相性の良さです。