米田埋め込みは頻繁に登場するので、短く印象的な記法を使いたいのは人情でしょう。「米田の「よ」とか: ちょっと変わった記法・名前達」で、ひらがな「よ」を使う書き方を紹介しました。
僕も「よ」を使ってみたのですが、ちょっと問題があるのに気付きました。英文(より一般には非日本語文)内では、「よ」は目立つのですが、日本語のなかだと地の文にまぎれてしまうのです。太字にして「よ」ならいいかも知れません。
頻繁に使う操作なら、演算子記号を割り当てるのも良い方法ですね。下の引用(PDFの画像コピー)では、上付きの黒丸を使っています。
この引用は次の論文からです。
- Title: Categories and Grothendieck Topologies
- Author: Jorg Zintl
- Pages: 35p
- URL: http://www.mathematik.uni-kl.de/~zintl/de/vorlesungen/KAT/categories.pdf
X●の定義は:
- (-)●:C→[Cop, Set]
- for X∈|C|, X●:Cop→Set
- for Y∈|C|, X●(Y) := C(Y, X)
- for h∈C(Y, Y'), X●(h:Y→Y') := (h*X := λk∈C(Y' X).kh)
「困った時の米田頼み、ご利益ツールズ // ラムダ記法と米田の星」で僕は、「米田の星」として上付きの「米」を使ってみたのですが、これは「米田の丸」ですね。
エミリー・リエル〈Emily Riehl〉の教科書"Category theory in context"(公開PDFはhttp://www.math.jhu.edu/~eriehl/context.pdf)のp.153に
the category theorist's joke that "all theorems are Yoneda."
という文言が出てきます。他でも、"category theorist"とは、何でも"a special case of Yoneda's lemma"で片付ける人だ、とか見たことがあります。([追記]「象を冷蔵庫に入れるには?」参照。[/追記])
「米田の「よ」とか: ちょっと変わった記法・名前達」で紹介した、
- Title: This is the (co)end, my only (co)friend
- Author: Fosco Loregian
- Pages: 84p
- URL: https://arxiv.org/abs/1501.02503
のp.16、Remark 2.2によると、レンスター〈Tom Leinster〉が次のように言っていたそうです。(なんでninjaなのか、よく分からないのですけど。)
Australian ninja category theorists call everything the Yoneda Lemma.
レンスターは、『ベーシック圏論』を書いた人です。
というように、何でも("all theorems", "everything")米田から派生するみたいですよ。