自然変換や2-射はギリシャ文字小文字で書くのが習慣です。例えば次のように:
一部のギリシャ文字は、その用途が習慣的に決まっています。習慣なので破っても問題ありませんが、あえて習慣から外れたことをしたいとは思いません。
内容:
モノイド圏 α, λ, ρ, σ
モノイド圏の結合律子〈associator〉、左単位律子〈left unitor〉、右単位律子〈right unitor〉はそれぞれ、α, λ, ρ で書くのが習慣です。
左単位律子のラムダは、ラム記法のラムダとかぶりますが、まー、しょうがないです。
モノイド圏が対称モノイド圏のとき、その対称〈symmetry〉は σ で書くのが習慣です。
僕は、 より象形文字記法の をよく使います。
デカルト/余デカルト圏 π, ι, θ
デカルト圏では直積からの射影を持ちます。射影は π で書くのが習慣です。
余デカルト圏では直和からの入射(余射影〈coprojection〉とも呼ぶ)を持ちます。入射は ι で書くのが習慣です。
僕個人の習慣ですが、始対象からの唯一の射は θ で書いています。
逆感嘆符(¡)で書くのが辻褄が合っていると思いますが、逆感嘆符は入力が容易ではないのでシータ〈テータ〉を使っています。ゼロ対象(始対象かつ終対象)を持つ圏のゼロ射もシータを使っています。
モナド μ, η
モナドの乗法と単位は μ, η で書くのが習慣です。
η が随伴系の場合とかぶってますが、同じ自然変換を指すので問題ありません。
[追記]あっ、随伴系の左関手とモナドの台関手に同じ文字 を使ったので、「η が同じ自然変換を指す」がピンと来ないかもしれませんね。モナドの台関手を にすると、 として、随伴系の左関手/右関手からモナドの台関手が定義されます。自然変換 は随伴系とモナドで同じものを流用します。[/追記]
2-関手 ν, κ
さて、問題の2-関手です。2-関手は2-圏のあいだの準同型射であって、2-圏達の3-圏の1-射です。2-関手(ラックス2-関手を考える)にはモナドのときと同様な、乗法/単位と呼ぶべき構造射が備わっています。ギリシャ文字で書くべきでしょうが、特に定着した習慣はないようです。
僕は「乗法/単位だからモナドと同じでいいや」と μ, η を使っていましたが、やっぱり紛らわしいときがあります。それで、ν, ε とか ν, ι に変えました。しかし、ε も ι も既に習慣的に使われています。かぶってます。
まだ使われてなくて、ラテン文字と区別できるギリシャ文字を探したら、κ〈カッパ〉が使えそうです。
ν, κ が他の習慣とかちあわない限り、ν, κ を使おうと思います。