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参照用 記事

米俵再考、あるいは父親の思い出

昨日の「女性が300kgをかつぐって、ホントかよぉ!?」において、「江戸時代は誰もが、60キロの米俵をヒョイと持ち運んでいた! 〜なぜ私たちは「身体」を見失ったのか?」という記事の写真に僕が反応した事情は、僕が米俵について見聞きする機会があって、ある程度の知識は持っていたからです。

僕の父親や一緒に働いていた人々が60kgの米俵をかついで運ぶのは、日常的に目にしていた光景です。ですから、下の写真に違和感はありません。

[*1]

中学校の先生に「おまえの父ちゃんは米俵2俵を運んでいた」と聞いたとき、体力がピーク時の父親なら出来たのかも知れない、と思いました。しかし、父は完全に否定していて、「そんなこと、やるわけないだろう」という口調でした。

それで僕は、1俵と2俵は大違いで、1俵は普通に運べるが2俵を運べる人はいない、と認識したわけです。ましてや3俵以上は、人間が扱える限界を超えているでしょう。

ところで父は、「かつぐだけなら、やったことはある」とも語っていました。理由は「遊びでやった」と、そんな感じでした。このことについてそれ以上考えたことはなくて、人前で力自慢をしてたんだろう、くらいに捉えていました。

しかしあらためて考えてみると、父は自分の筋力・体力を誇示するようなところはなかったし、そもそも米俵2俵でさえ、自力で抱え上げるのは無理なような気がします。それで思い起こした光景は、トラックから倉庫に米俵を運ぶとき、運ぶ人とは別にトラックの荷台に人がいて、運ぶ人の肩に米俵を載せてあげていたことです。

たぶん、こんな事情だったんだろう、と想像します。

誰か「おまえなら、米俵2俵いけんじゃねーの」
父親「どうかな」
誰か「やってみろよ」
父親「んー、ふんじゃまー、やってみっか」
父親「よいしょ」(1俵目)
誰か「もう1俵載せるぞー」
父親「おっしゃー」
誰か「それ」(2俵目)
父親「ムグッ、ンググググ、ンガー」
誰か「おおおー、やったなー」
父親「はぁーっ、重かった! 二度とやらね

いずれにしても、屈強な男でも米俵2俵かついで立ってるのがやっとで歩くのは辛い、というのが父から聞いた内容です。それを踏まえれば、女性が米俵5俵をかつぐのはあり得ないでしょう。ですから、「米俵5俵300キロ(!)を担ぐ女性」というキャプションが付いた写真を見た僕の最初の印象は「んなバカな! お父ちゃんでも2俵が限界だったのに」です。

写真自体は本物だと思いますが、300kgは信じられません*2。おそらく俵に軽い詰め物を入れてるんだろう、なんかのお祭りとか余興とか、そんな状況での写真では? と思いました。ブックマーク・コメントに「再利用するための俵で中はからっぽだったらしいよ」という情報もありました。完全にからっぽだと形が崩れるので、何か入っているとは思います。

*1:オリジナル画像:http://www.pref.akita.jp/fpd/towns/sennan/tougenkyou19.jpg in http://www.pref.akita.jp/fpd/towns/sennan/tougenkyou.htm

*2:[追記]パワーリフティングのスクワット種目が「荷物をかつぐ」ことに近いような気がします。http://www.jpa-powerlifting.or.jp/japan-rec/recordmain-power.htm によると、日本女子・最強と思える北村真由美さんの記録が 212.5kg なので、300kgには遠く及びません。[追記]