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参照用 記事

弱2-圏内のモナドに関する補足:モナドが作る2-圏の多様性

モナド論をヒントに圏論をする(弱2-圏の割と詳しい説明付き)に補足をしておきます。

Bが弱2-圏(双圏)として、B内のモナドからなる弱2-圏を次のように構成しました。

MonadBの対象(0-射、0-セル)であるモナドはいいとして、1-射や2-射とその結合演算に関しては他の選択肢もあります。

0-射であるモナドと1-射である左斜め加群はそのままとして、2-射を変更してみます。Mが対象X上のモナド、Nが対象Y上のモナドとします。F, G:X→Y in B、α::M*F⇒F*N:X→Y in B、β::M*G⇒G*N:X→Y in B で、(F, α)と(G, β)は左(M, N)-斜め加群になっている状況を考えます。

このとき、左斜め加群のあいだの準同型φを、φ::F⇒G:X→Y ではなくて、φ::F⇒G*N:X→Y の形の2-射だとします。Bの2-射φは次の条件を満たすとします。

この図で、白丸はφ、線の交差は“斜め作用”αとβ、黒丸はモナド乗法です。

このような準同型を、図の形状からバイデント準同型(bident homomorphism)と呼びましょう。バイデントとは下のオジサンが持っている二股槍のことです。(BSDのデーモン君は三股槍です。)

*1

バイデント準同型の横結合「*」と縦結合「;」は次のように定義します。白丸がバイデント準同型の2-射、交差は斜め作用、黒丸はモナド乗法です。

こうやって定義したバイデント2-射が準同型の条件を満たすことは良い練習問題です。

以上から、次のような弱2-圏も作れることが分かります。

左斜め加群の代わりに右斜め加群にしても事情は同じでが、両側斜め加群という構造も定義できます。両側斜め加群を1-射とする弱2-圏も定義できます。

斜め加群ではなくて、通常の両側加群(双加群)を1-射とすることも考えられます。両側加群のときは横結合が難しくなります。代数的な発想では、両側加群の横結合はテンソル積です。行列計算の発想では、横結合は行列の積です。どちらの発想に基づいても、具体的な構成に手間がかかることもあります。

モナド概念を固定しても、「モナドのあいだの準同型」「モナドのあいだの準同型のあいだの準同型」という概念は一意的には決まらないようです。適用分野や目的ごとに選ぶことになるのでしょう。