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『調和積分論』と無駄な出費と飾って満足

今日は暖かくていい天気、山手線は長時間止まっているし、無為な時間を過ごすには絶好な日ですね。で、渋谷で本をまとめ買いしてしまった。意味もなく。

本は買っても読まないから、金とスペースの無駄。なのだが、トラウマを刺激されての衝動買い。

キマイラ/サイトのこの記事の注にも書いたことだけど、僕はよく本を紛失する。竹内外史さんの『層・圏・トポス』は、日本語で読める圏論の(おそらくは)最初の本だったと思うけど、紛失。割と最近、古本が7,8千円で出てるのを見たが(高いとは思わないけど)もう一度買う気は起きなかった。

秋月康夫 著『調和積分論』(上下2巻構成だが、「下」は結局出なかった)は、内容は理解できなかったが、独特の骨董品のような文体がいたく気に入ってよく眺めていた。当時、岩波の本は固い箱に入っており、さらに半透明のセロハンをかぶっていた。箱もセロハンもとっておこうと思ったが、なんかシワシワ・グチャグチャになって捨てた。

今では30近い甥が幼児だった頃、ボールペンで『調和積分論』のあちこちにさんざんに落書きをした(今、ウチの次男が同じ年頃で落書き大好き)。こうなると、モノとして大事にする気はなくなり、ノート代わりに盛大に書き込みをした。その結果、いかにも読み込まれたふうなド汚い外観になったが、やっぱりさっぱり理解できなかった。

後になって、あの本は「ふつー、理解できない」とも聞いたが、額面通りにself-containedと思って挫折していたわけだ。気が付くと、いつのまにか手元からなくなっていた。

今年(2005年)になって出た2冊の本(これらも岩波)『微分形式の幾何学』と『複素幾何』を合わせると、だいたい『調和積分論』に書いてあったことをカバーするような気がする。いまさらどうでもいいのだけど、なんだかムラムラッとして(って、なんだソレ?)、レジに持って行ってしまった。それぞれ、3,800円、3,600円で、このての本としては特別高くはない。もっとも、岩波は講座として出したものを単行本に編成し直して出しているのだから、無闇と高かったら許せないけど。

はずみがついて(?)、実はもっと高い本も買ってしまった。こっちは、たぶん別なエントリーのネタにするだろう(たぶんね)。-- いずれにしても、やっぱり金とスペースの無駄な気はする。が、なくしてしまった『調和積分論』の代わりだと思って本棚に置いてみると、得体の知れぬ満足感があるからよしとする。なるほど、本は読まずに飾る価値もあるとは、こういうことか(違うかもしれない)。