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参照用 記事

圏の鎖複体を作りたい

「圏上のチェーンの畳み込み積」において、圏Cに対して1次元のチェーン(鎖)を定義しました。圏の射を1次元単体(有向線分)とみなして、1次元単体の形式的線形結合を作ったものがチェーンでした。もっと高次元の単体(n-単体)を定義して、n次元チェーン(n-チェーン、n-鎖)を作れないかな? 既に誰か定義していそうですが、スターバックスのナプキンペーパーに落書きしながら考えてみましたよ。

0-単体は圏の対象、1-単体は圏の射、ここまでは自然です。f:A→B に対して、その境界δ(f) は、0-チェーン B - C と定義すればいいでしょう。

さて、2-単体と2-チェーンはどうすべきでしょう? 高次圏の文脈で考えるべきかも知れませんが、とりあえず三角形ABCを描いてみると、3辺は f:A→B, g:B→C, f;g:A→C で与えられます。辺の向きを符号で表すなら、f, g, -f;g とすべきでしょう。三角形ABCは、2辺f:A→B, g:B→C を指定すれば決定するので(残りの辺はf;g、ただし向きは逆)、cod(f) = dom(g) である[f, g]を2-単体とみなすことにします。

2-単体[f, g]の境界δ([f, g]) = δ[f, g] は、f + g - f;g とします。δδを計算してみると:


δ(δ[f, g])
= δ(f + g - f;g)
= δ(f) + δ(g) - δ(f;g)
= (B - A) + (C - B) - (C - A)
= 0
となるので、0, 1, 2次元までは鎖複体(chain complex)ができます。

次は3-単体。三角形と同じように四面体ABCDを考えると、3辺 f:A→B, g:B→C, h:C→D を指定すると四面体ABCDが決まります。つまり、3-単体は [f, g, h] の形をしてます。絵を描いてゴニョゴニュしてみると、[f, g, h]の境界δ([f, g, h]) = δ[f, g, h] は、

  • [f, g] + [f;g, h] - [f, g;h] - [g, h]

とすれば良さそうです。ここでまたδδを計算してみると:


δ(δ[f, g, h])
= δ([f, g] + [f;g, h] - [f, g;h] - [g, h])
= δ[f, g] + δ[f;g, h] - δ[f, g;h] - δ[g, h]
= (f + g - f;g) + (f;g + h - f;g;h) - (f + g;h - f;g;h) - (g + h - g;h)
= 0

オーッ、めでたい。

一般に、[f1, f2, ..., fn]の形のn-単体があると、f1, fnを取り除く操作と、fj, fj+1 の部分を fj;fj+1 で置き換える操作を行い、適当に符号(プラス・マイナス)を付けて足し合わせれば境界が定義できそうです。

こんな素朴な組み合わせ的定義でも、高次圏の(コ)ホモロジーや係数の一般化のとっかかりにはなるんじゃないかと。