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参照用 記事

マトリックスとツリー

どうでもいいけど、掛け算の順序の話」とそのコメント欄のやりとりで、思い出したことがあります。

以下のウサギの絵ですけど、耳を短い線分、顔を円にしてしまうと、ウサギは「枝が出たマル」の図形とみなせます。

以下の左の絵では、「枝が出たマル」の図形が4つ描いてあります。この絵は、以前僕が話した内容をSS君が描いてくれたものです。マルには、左、右、上の枝が出ていて、それぞれの枝の先に整数値がラベルされています。この「3本の枝が出たマル × 4」が持つ整数値情報を2次元マトリックス(テーブル)にまとめようという話です。

枝の順序を、時計回りで「上→右→左」と決めます。また、4つの図形にも順番を決めます(太い矢印が順序を表しています)。枝の順序、マルの順序という2つの線形順序が導入されましたが、これは恣意的です。もともと順序構造を持ってなくても、記述や整理のために順序を導入することはしばしばあります。2つの線形順序、つまり2次元のインデキシング構造が入ったので、右側のようなマトリックスを書き下すことができます。マトリックスのインデックスが0始まりなのは、コンピュータで扱うインデックスが0始まりが多いからです。

いったんマトリックスになってしまうと、もとの絵にあった図形としての性質や情報は失われます。もとの図形では「無理がある」「不自然な」操作も、マトリックスに対してなら平気で行えます*1。例えば、整数値をツリー状に配置してみましょう。

僕の自然な感覚では(人により自然さは違う)、4つのマルをそのまま兄弟ノード群にして、親としてルートノードを新たに付け加えてツリーを作ります。しかし、次のツリーは、あえて自然な構成とは違う配置にしています。マトリックスで見ると、縦と横のどちらを先に見るかの問題なので、まー「どっちもアリ」でしょう。

たいしたオチはないのですが; 生の事実や現象を、適当な方法で抽象化した構造を作って、それを形式的に操作すると別な側面が見えてくるかもよ、ってなことです。このとき、事実や現象の一部を捨象しないと、(ときに心理的な理由から)形式的な操作が適用できないときがあります。抽象化は、豊かささ自然さを忘れることでもあるのですね。

*1:[追記]幾何的イメージだと、ファイバーバンドルのファイバーと底空間の役割りを交換することは一般には出来ないけど、自明なファイバーバンドルで、標準的な自明化がある(つまり、直積とみなせる)なら、ファイバーと底空間の役割りを入れ替えてもいいよ、ってことでしょうね。[/追記]