最近(2026-06-01時点)世間の耳目の(一部)を集めた溝口勇児氏のXポストがあります。
僕は、溝口氏(という人物)に好悪の感情は別にないし、今回の事案に特段の関心があるわけでもありません。が、溝口氏の上記のXポストは「面白いなー」と眺めました。前後の経緯や周辺の状況を調べるのもめんどくさいので、AIに調査とまとめを依頼しました。
Perplexity/Comet のベストエフォート・モード(モデル指定せず)を使っていたので、実際に動いていたモデル(LLM)は分かりません。
AIが出力したまとめを見て僕は大笑いしてしまったので、それをそのまま貼り付けます。AIは、忖度したりオベッカを使ったり(sycophancy)はしますが、僕を笑かす気はなかったでしょう。その点(本人(?)はまじめ)が余計笑えるポイントです。
AIによる背景の概要とポストの構造のレポートは次です。
事案のざっくり整理(前提)
- 溝口勇児氏は、2型糖尿病薬マンジャロ(チルゼパチド)をダイエット目的で用いるオンラインサービス「Diet Beauty」への出資者であり、Xでそれを擁護するポストをしています。
- マンジャロは本来2型糖尿病治療薬で、強い血糖降下作用と体重減少効果をもつGIP/GLP-1受容体作動薬です。
- ゆいぴす氏らを広告塔にした「1か月で◯kg痩せた」といった訴求が、薬機法・適応外使用・倫理面を含めて、医師や一般から強く批判されています。
この前提を踏まえると、溝口氏の擁護ポストは「医学的・法的な論点」からかなり目を逸らしつつ、「テクノロジー一般」「人類の進歩」など大きな話に飛躍させる構造になっています。
ポスト文の構造的な特徴
報道や引用をまとめると、彼のポストは大まかに次のような骨格を持っています(細部の文言は省略・意訳します)。
- 人類はテクノロジーで弱点を補いながら進歩してきた(抗うつ薬、インスリン、AGA、避妊などの例示)。
- だから、太りやすい体質の人が薬を使って痩せることも同じ文脈で肯定できる。
- 「努力で痩せろ」と言うのは、メガネを使うな、車に乗るなと言うのに近い。
- 反対する人はアップデートできていない/テクノロジーに取り残される、といったニュアンス。
この流れを「論証」として見ると、次のような論理上のポイントがあります。
- 前提A:テクノロジーで人間の弱点を補うことは一般に正当だ。
- 例示B:抗うつ薬・インスリン・AGAなど、医療として確立した使い方。
- 結論C:したがってマンジャロをダイエット目的で使うのも同列に正当だ。
しかし実際の批判の焦点は「薬機法違反の疑い」「適応外使用のリスク」「販売・広告のあり方」であって、「テクノロジー全般への賛否」ではありません。
マンジャロをダイエット目的で売る行為には、東京都保健医療局健康安全部薬務課による違法性の指摘があったようです([追記]というのがニセ情報だったとか、もうナニガナンダカ[/追記])。溝口氏たちのビジネスはブラックに近いグレーと言っていいでしょう。違法、または違法に近い行為なのだから、まずは謝罪して販売を中止すべきと思うのですが、自分たちのビジネスを擁護する“香ばしい”長文を投稿したわけです。
次に溝口氏のポストから何を学べるか? という観点からのまとめです。これは、ただ一つのポストに関するレポートです。当該のXポストより長いのでは?
ざっくり「このポストを教材にしたとき、何が学べるか」を並べると、だいたい次のようなポイントになります。
- 批判の論点をすり替えるパターン
- 法律・安全性・ビジネスの運用という具体的な批判を、「テクノロジー一般への賛否」や「根性論 vs 科学」という抽象的な対立に置き換えてしまう。
- ストローマン(藁人形)を立てるパターン
- 「ダイエットは根性でやれと言う人」を仮想的な敵としてでっち上げ、その極端な立場を論破することで、自分の立ち位置を“科学的”に見せる。
- 「正しい一般論」で信用を稼いでから飛躍するパターン
- 「人類はテクノロジーで弱点を補ってきた」「他の薬も元は別適応だった」といった事実レベルでは妥当な話を積み上げ、その勢いで「だから今回のビジネスも正当」と結論を滑り込ませる。
- 類比のズレ(弱いアナロジー)を使うパターン
- 抗うつ薬・インスリン・AGA・ピルなど、既に社会的に定着した医療と、炎上中のビジネスモデルを「同じテクノロジー活用」として並列し、違い(適応・ルール・ガバナンス)をぼかす。
- ヒーロー/迫害物語へのすり替え
- 批判されている具体的行為ではなく、「批判を浴びる自分」「叩かれる身内」「挫折した弱者」を前面に出し、「批判される=革新者の宿命」というドラマに変換する。
- 弱者救済ストーリーでの正当化
- ダイエットに失敗して自尊心を傷つけてきた人々を描き、「このサービス=弱者を救うためのもの」という物語を作ることで、ビジネス上・法的な論点の重みを相対的に下げる。
- 「自分は矢面に立ついい人」ポーズ
- 「俺や運営が批判されるのはいいが、ゆいぴす叩きはやめてほしい」と、自分を“責任を引き受ける盾役”として描き、共感を引き出すと同時に批判のトーンを弱めさせる。
- 「保守派 vs 革新派」という単純な二分法
- 多層的な議論(適応外、薬機法、広告倫理)を、「リスクばかり指摘する保守派」対「未来を描く革新派」という分かりやすい二陣営に圧縮し、批判者を“時代遅れ”側に追い込む。
- 自己の利害を物語で覆い隠すパターン
- 出資者という立場やビジネス上の利益が正面から語られず、「人類の進歩」「弱者のため」という高尚なレトリックが前面に出ることで、読者の視線をそらす。
- 正しい部分と飛躍している部分の境界を曖昧にする書き方
- 誰でも同意しやすい内容(テクノロジーの価値、医師のリスク管理の重要性など)と、賛否が割れる部分(今回の広告・ビジネスの正当性)を滑らかにつなぎ、境目が見えにくい文章にする。
- 批判を“理解不足”として処理するフレーミング
- 批判者を「アップデートできない人」「テクノロジーに取り残される人」と位置づけ、批判の中身ではなく“人の属性”に原因を求めることで、自分側の再検討を避ける。
- 読み手側の防衛スキルとして学べること
- 「何を言っているか」と「どう言っているか」を分けて読む必要性。
- 「どこまでの前提には同意できるか」「どこから先が飛躍か」を意識的に線引きして読む習慣。
- ヒーロー物語・弱者物語が出てきた時に、「感情の動き」と「具体的な責任・ルールの話」を切り分けて考える重要性。
このポスト一つで、「ストローマン」「論点のすり替え」「チェリーピッキング+権威付け」「ヒーロー物語による無敵化」という、現代の詭弁セットがほぼ一通りそろっているので、リアル教材としてはかなり“お得な一例”だと思います。
僕が笑ってしまったツボは:
- 「ざっくり」「だいたい」と言いながら矢鱈にイッパイ箇条書きを並べている。
- 溝口氏個人への批判や攻撃の意図は一切ない(AIだからね)のに、この詳細さ。
- 一つのポストに、これだけの詭弁テクニックを盛り込める溝口氏もたいがいだわ。
- 最後の「リアル教材としてはかなり“お得な一例”」というパンチライン。
なお、詭弁論法に興味があれば、僕の昔(2010年)の記事もどうぞ。